「女性の健康」の強い味方
column vol.1089
私は小売業のマーケティングに軸足を置いているのですが、当社はもう1つ、健康関連事業をクライアントに持つチームがあります。
もともと女性が多い会社ということもあり、毎週火曜日に行っている時流分析会議「イマジナス」では、多くの「女性の健康」についての事例が集まってきます。
そこで今回は、その中から私が気になった記事をいくつかお裾分けさせていただきます。
女性の健康に特化した国立センターが誕生
まずは医療現場の事例から。
政府は来年度、「女性の健康」に特化した国立高度専門医療研究センターを開設する方針を固めました。
〈読売新聞 / 2023年8月21日〉
女性に多い更年期障害などの病気に関する最先端の研究・治療を行う方向で、全国の医療機関や自治体などとの官民学連携に向けた司令塔役とする狙いがあるそうです。
更年期障害を始め、摂食障害、貧血などについては、これまで医療機関や大学などの研究機関の間で情報共有が少ないという指摘が出ていました。
今回の国立センターでは、こうした病気の治療を行うだけでなく、全国の医療機関や研究機関の情報を集約。
女性の健康に特化した最先端の研究を実施し、得られた成果を各機関とも共有する予定とのこと。
また同センターでは、女性の健康に関して、一度に複数の相談・支援が可能になる機能も持たせます。
例えば、不妊に悩む女性のメンタル面での相談を受け付けるとともに、希望者には不妊治療を専門とする医療機関での治療の橋渡し役も務めるとのこと。
政府は、こうした体制を整えることで、仕事と健康の両立を後押しすることを目指しているのです。
少し話は違うのですが、「施設」ということでいえば、新しい発想のホテルを次々と生み出す株式会社水星代表取締役、龍崎 翔子さんが昨年、産後ケアリゾート「HOTEL CAFUNE」を開業させたことが話題になりました。
〈朝日新聞DIAIOG / 2022年7月14日〉
こちらでは、24時間体制の託児を通じて産後のお母さんの回復を促し、赤ちゃんの健やかな成長のためのサポートをしています。
一番リーズナブルなショートプラン(7泊8日)でも300,000円となかなかのお値段ですが、大変人気とのこと。
こうした女性の健康の味方をしてくれる施設は今後とも生まれていくでしょうね。
ヘルスケアのステルス化に注目
続いては「お家」を舞台にしたトピックです。
昨年は、ただのテーブルだと思ったら実はテーブルの形をした冷蔵庫など、「ステルス家電」が話題になりました。
そして今年は「ヘルスケアのステルス化」に注目が集まっています。
〈WOMAN'S LABO / 2023年7月26日〉
これは、ただ家電を使うだけで「気づいたら健康行動をしていた」という状態に導くもの。
有名なのが、住宅内に溶け込ませたテクノロジーで健康管理の習慣化をサポートする「cheercle(チアクル)」。
例えば、手洗いや歯磨き時に洗面台に立つだけで、鏡が肌温度などを自動で取得。
同時に、床に埋め込まれた体組成計は体重・体脂肪率・BMIを自動測定してくれます。
そして、取得されたデータはタッチパネル式のミラーに表示され、情報はスマホでも確認可能。
生活動線上の自然な動作の中でデータが収集されていくため、健康行動を自らの意思で起こす必要がなく面倒や負担がないことが特長です。
こうしたステルス化は、なかなか継続できない健康習慣の強い味方になってくれます。
女性の認知が進むフェムテック分野でも、ステルス系商品の開発が加速しています。
吸収型サニタリーショーツブランドを展開するベアジャパンと、ウェアラブルソリューションを開発するミツフジが開発を進めているのは、穿くだけで経血量を測定できるショーツ。
こちらは、電気を通す糸をショーツに組み込み、電気抵抗値から経血量を測定し、専用アプリに自動記録するというもの。
毎月測定することで過少月経・過多月経などの変化に気づけるというわけです。
これにより、婦人科系疾患の早期予測・早期発見・適切な治療へつなげていく。
フェムテックは、センシティブな分野だけにステルス化は一層重要なテーマになっていくでしょう。
心を守る「インティマシーコーディネーター」
最後は少し趣向を変えたトピックをお届けしたいと思います。
女性の「心」を守るための職業の話です。
「インティマシーコーディネーター」というお仕事をご存知でしょうか?
〈ハルメク365 / 2023年6月20日〉
2021年、中村珍さんのマンガ「羣青」を水原希子さんとさとうほなみさんのダブル主演により実写化したNetflix映画『彼女』が公開されたこともあり、知っている方は多いかもしれません。
インティマシーコーディネーターは、映画やドラマの撮影現場において、主にインティマシーシーン(性的なシーンやヌードシーン)を演じる俳優と監督の間に立ち、調整する仕事です。
撮影前に俳優からの質問、疑問、要望を制作者側を伝え、本人が安心して臨めるようにしていきます。
もちろん、撮影の立ち合いは当然のこと、撮影後まで一貫してケア。
ハリウッドでの「#MeToo運動」が発端となり、アメリカなどで起用され始めた職業です。
今、世界的に急激に需要が増加し、日本でも活躍の場が広がりつつあります。
私はこの「間に入る職業」が今後はますます増えていくような気がしています。
AI時代においても、AIが人と人の間に立って調整することは当分ないと思うからです。
つまり、それだけ代替されにくい役回り。
今後は、例えば上司(会社)に希望を伝えるために調整役を部下が雇う姿が頭に浮かびます。
これは、上司からしても感情的になっている部下と直接話をするよりも、良い意味でビジネスライク(冷静)に接してくれる調整役と話す方が精神的楽かもしれません。
他にも、友人・知人関係のトラブルを解消する調整役や、学校の先生と生徒の親御さんの間に入る調整役など、さまざまなコーディネーターが生まれるような気がします。
ちょっと「女性の健康」というテーマから外れてしまいましたが、おまけ話ということでご容赦くださいませ🙇
同テーマでまた興味深い記事がストックされたら、都度ご共有させていただきます。
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。