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飛躍させる発想

column vol.1324

テレビ東京『カンブリア宮殿』の先週の放送に、株式会社アサヒコ池田未央社長が出演されていました。

〈テレ東・BSテレ東 / Webサイト〉

池田さんといえば、春日井製菓時代に「キシリクリスタル ミルクミントのど飴」ヒットさせるなど、鳴物入りでアサヒコに入社されたヒットメーカー

現在の職場でも「豆腐バー」を流行らせました。

そんな池田さんが、ヒット生み出し続けるための秘訣を問われ、答えたのが

「既成概念に囚われない」

という言葉でした。

ビジネスパーソンにとっては、「そんなの当たり前だよ〜」と思うでしょうが、実は結構難しい

なぜなら、いつでも判断する時「過去の経験」基づくからです。

何かアイデアを考えても、「…ちょっと奇抜かな…?」と考える “奇抜”「過去の経験に比べると」という注釈がつきます。

人は過去から逃れらないように、それだけ既成概念から抜け出すというのは難儀なものです…

〜ということで、本日は柔軟な発想カタチにしている事例を紹介したいと思います。

そこから、発想「飛躍する」のではなく「させる」という意思が重要であることが分かるのです。


「ネオ発想」をキャッチする

まずは、伝統のあるものを、今の時代にマッチさせるためのヒントです。

その代表例となるのが、「わらび餅ドリンク」ではないでしょうか?

〈cookpad news / 2024年9月7日〉

最初は「タピオカドリンク」ネクストトレンドとしてニュースに取り上げられていました。

わらび餅といえば、大人のお菓子

若い人たちには、なかなか縁遠いわけです。

それを自由な発想ドリンク化し、ブームをつくったと言われるのが、わらび餅専門店「とろり天使のわらびもち」でしょう。

2020年8月に大阪・中崎町1号店を開業し、わずか1年10ヵ月100店を超え、日本の外食チェーン店最速記録を更新しました。

この商品開発の背景に飛躍のヒントがあるのです。

同店ではもともと希少な本わらび粉を使うなど、こだわりを見せていたのですが、特徴的なのが “柔らか過ぎる” わらび餅としても有名でした。

そこに目をつけたのが、アルバイトの女子高生です。

「これストローで飲めるじゃん!」

という一言が、「わらび餅ドリンク」の着想につながったとのこと。

牛乳ホイップクリームなどを加えて混ぜ合わせながら、ヒット商品を形づくっていったのです。

女子校生柔らか発想だから気付けたはずですし、それを面白がれたお店側素晴らしい

経験からの呪縛から逃れるヒントが見えてきますね。

危機感からのブレイクスルー

同じお菓子ということでいえば、ミスタードーナツの戦略に注目が集まっています。

〈Business Journal / 2024年9月30日〉

ミスドといえば、ドーナツも美味しいですが、飲茶もウマイ😊

それもそのはず、同店では「ミスドゴハン」というカテゴリーを設け、ピザホットドッグピッツァ飲茶パイなどを展開しています。

今年6月には揚げたパンに具材を挟んだ「ザクもっちドッグ」シリーズとして「ザクもっちドッグ カレー」「ザクもっちドッグ メキシカンミート」「ザクもっちドッグ タマゴ」を投入。

「ミスドゴハン」にカテゴリーされるメニュー数は約20にも上ります。

そして、このゴハンもの力を入れていることで、競争優位性が高まっている。

そのことをビジネスジャーナルでは、このように解説しています。

「基本的にミスド主要顧客ターゲットとしては、イートインでは学生など10~20代のグループ客であり、個人では違ったニーズを持つグループ客選ばれるためには『ドーナツもあるけど、スイーツ以外のメニューや、ちょっと小腹を満たしたいという人向けのメニューもある』というかたちで、それなりにバラエティー豊かで違った嗜好を満たすメニュー構成にしておく必要があります。そしてミスドはずっと以前からドーナツ以外のメニューを扱っており、頻繁に新商品を投入していることを見る限り、ゴハン系メニュー一定の売上をあげていると考えられます」。

いろいろなニーズが満たせるから、みんなで入りやすいし、一人でご飯屋に入りにくいと思っている方にも利用しやすい空間になっている。

かなり守備範囲が広いわけです。

普通は、そうなると店の特徴が薄まってしまうものですが、やはり「ドーナツ」というシンボリックな商品があることで、そのリスクを回避することができている。

非常に注目の店舗なのです。

では、なぜゴハンもの力を入れるようになったのか?

そのきっかけは、2014年セブンイレブンレジ横でのドーナツ販売を本格的に開始したことを契機に、コンビニ各社ドーナツに力を入れ始めたことにあると言われています。

危機感をテコにして、大胆な発想を試みる。

そうしたイノベーション方法の、まさに好事例ですね。

「デパ地下」を「デパナナ」に

最後も食の話で締め括りたいと思います。

百貨店の食品フロアといえば、「デパ地下」と言われるように地下にあることが常識ですが、2025年1月リニューアルオープン予定西武池袋本店が、ある実験を実施。

7階に移動させ、その変化効果を見ているのです。

〈ITmediaビジネスONLINE / 2024年11月5日〉

7階なので「デパナナ」

従来の食品売り場と比較して面積が3分の1弱になったことから、ブランド数も従来の約200から約70に厳選

リニューアル前の暫定措置ということではありますが、8月2日に開業して約3ヵ月が経過した現在、当初の目標をほぼ達成できているそうです。

西武池袋本店 ブランドマネジメント部 デパ地下担当BMマネージャーの溝部智弘さん

「一例ですと、いなり寿司の専門店は地下よりも現在のほうが売れ行きが良いです。地下にあった際は約80の総菜ブランドがひしめいていましたが、デパナナでは約30ブランドに厳選されているので、個性が際立って認知されやすくなったのだろうと分析しています」

と、手応えを口にされています。

店舗が厳選されたことで、フロアのカニバリゼーションが起こりにくくなったということでしょう。

その上で、季節限定のポップアップストアも好調とのことで、厳選×限定の相乗効果で今のところは理想通りのこと。

今回、7階に上げたことで、溝部さんは

「幅広く何でもそろうという従来のような打ち出しではなく、適正な面積で一つひとつのブランドや商品の価値が伝わる見せ方をしていかなければという視点が芽生えた

と、リニューアルに向けてのヒントを得たとコメントされています。

致し方ない対応として単に代替策を行うのか、次の「実験」として何かを得ようとするのか

こうした違いからも、既成概念を打ち破る学びはありそうですね😊

〜ということで、経験からの呪縛を逃れることは簡単ではありませんが、他者の力コトの力を活用し、ブレイクスルーできることは多々ある。

ただ、そうした力を生かせるのも、より能動的で積極的な姿勢が大切でしょう。

「飛躍した発想」は結果そうなっている感じがしますが、「飛躍される発想」という “させる” 意識を持つと違う。

今日も何かのヒントになったら幸いです。

最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!

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