常識が変わる瞬間
column vol.1284
ある化粧品メーカーの仕事を担当しているのですが、最近、クライアントともに注目しているのが「キッズメイク」です。
つまり、「化粧品の低年齢化」が進んでいる。
子どもがおめかしするイベントも増えていて、例えば8月にパシフィコ横浜で開催された少女漫画雑誌の祭典『ガールズコミックフェス』では『美容体験ブース』が登場。
多くの小学生がコスメを楽しみました。
〈日テレNEWS / 2024年8月22日〉
…と、聞くと心配する方々は多いのではないでしょうか?
と。
キッズメイクはお習い事の1つに
私も小学校どころか、高校まで「化粧はしてはいけない」時代の中で育ってきたので、最初に「キッズメイク」という言葉を聞いた時は、大変驚きました…
しかし、当社のママさん社員の話によると、発表会やお祭りなど、ハレの日にメイクする子は多いとのこと。
そもそもキッズメイクを容認する学校も増えているそうです。
さらに、中学校の「ダンス必修科目」と小学校の「表現運動」によって、ダンスが子どもにとって身近になったことも大きいとのこと。
ダンスの発表会では、メイクをして舞台に上がるからだそうです。
そして、何よりこれだけネットやSNSで情報が得られると、広がりを抑えることは難しいかもしれません。
しかも、最近は「キッズメイクがお習い事」の1つという考えも出てきているそうなのです…(驚)
これは、個性教育の一環で、メイクによって自分を表現し、もっと愛せる自分になるという考え方とのこと。
自己肯定感を上げていくためのお習い事ということなのです。
もちろん、小学校のお子さんがいる親御さんの中でも賛否両論はありますし、そもそも幼い頃から化粧品を使うことで肌への影響だってあるでしょう。
これからもこの両論は続くとは思いますが、化粧品メーカーとして誠実なアクションが求められていくということはあるはずです。
実情をふまえて、「子どもが安心して化粧品を使える」環境を整えていく。
例えば、資生堂では「キッズのための キレイクラブ」というWebサイトを立ち上げており、メイクに興味を持ち始める小学校4〜6年生向きに、化粧の話はもちろんのこと、にきびの話、洗顔のことなど、お肌のケアも含めてキレイの基本を発信しています。
また、ハリウッド化粧品の若年層向けブランドのアヴァンセでは、7月7日、6歳~13歳の子どもを対象に親子参加型のイベント「ファーストメイクスクール」 を開催。
〈PRTIMES / 2024年7月11日〉
親御さんの安心にもつながる学びの場を用意しています。
子どもに安心は、大人も安心
ちなみに、親御さんが求めている安心への要望トップ2が
とのこと。
私は、この声に触れ、実はキッズメイクを通して、改めて化粧品メーカーの商品の在り方を見直すチャンスが到来しているのではないかと感じています。
もしも、子どもでも安心できる化粧品ができるなら、それは大人にも安心できる化粧品であるからです。
大人の肌にも負担があるから、親は心配する。
昔、コピーライターの岩崎俊一さんが積水ハウスの広告で
という名作コピーを生み出しましたが、まさに
なのではないかと感じています。
最近は、食品を買う際、 食品ラベルをチェックしてから購入される方が増えていますが、食品リテラシーの急速な高まりは、子どもの安全と健康という視点があったからこそなのではないかと思っています。
〜ということで、クライアントとはキッズメイクに参入するか否かは置いておいて、「誰もが安心して使える化粧品を目指していこう」ということを確認し合いました。
きっと、これまで以上に化粧品に安心・安全が求められる時代が来ると思うから。
20年以上、マーケターという仕事を通して時流を眺めていると、常識が変わる節目に何度も立ち会えています。
そうした瞬間を起点にアップデートしていこうとする企業は、やはり強いし、愛され続けている。
そんなことを思う今日この頃です。
私も時流を読む力とマーケティング力を高め、そうしたクライアント企業に寄り添えるよう日々精進していきたいと思っております!
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました😊
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