目線を遥か先へ
column vol.1312
一昨日、昨日と、我が社では上期の評価会があったのですが、こうした機会は会社を深く考えるきっかけを与えてくれます。
そんな中、改めて大切だと思ったのが「目線の行方」です。
通常、仕事をしていると、ついつい近視眼的になってしまう…
自分も経営を司る身としては、なるべく中長期視点を心がけようとするのですが、気がつくと “短中期” 視点になってしまいます…
もちろん、日々の忙しさもあるのですが、もう1つ理由があると思うのです。
近視眼的になってしまう理由
その理由というのは「怖さ」です。
やはり、見えない未来を見るのは怖い。
特に不確実性の高い今の時代は、先行きに不安の霧が立ち込めています。
だからこそ、まずは目に見える部分を見続けたくなる…
しかし、それを絶対にやっちゃいけないのが、経営者です…
リーダーが不安から目を背けてしまうと、それこそ組織は指針を見失ってしまう…
今回の評価会でも、様々な社員と対話する中から、時折皆が抱える「未来への不安」に気付かされるわけです…
…そうすると、自分が「先々のことを明確に示せてなかったからだな」…と自戒の念が…
一方、良いリーダー、成功者と呼ばれる方々はちゃんと「不都合なこと」に目を向けられています。
自分の不都合な部分、会社の不都合なこと、そして不都合な未来。
そうしたことに真摯に向き合い、見誤らないからこそ良き方向に進むことができるわけです。
自分も「そうならないように」と思って日々過ごしてはいるものの、きっと歩いているうちに、気がつくと視界が足元に向いている…
その反省を、次にどう活かすかが重要だと思いました。
…ということで、個人的な反省はこの辺にしておいて…、そうした話として最近、刺激を受けた若き経営者がいます。
北陸製菓の髙﨑憲親社長です。
同社の名前をご存知ない方も、こちらのお菓子はお馴染みなのではないでしょうか?
そうです!北陸のソウルフード「ビーバー」です。
髙﨑社長は北陸製菓が創業100年の節目の年に、若干26歳で引き継ぎ、このお菓子を全国的にヒットさせた方。
6年経った現在、そのヒットの秘訣を語っているのですが、そこに “目線力” を感じるのです。
〈食品新聞 / 2024年10月20日〉
冷静かつ勇気にある「目線力」
今でこそヒット商品の仲間入りを果たしたビーバーですが、髙﨑さんが社長を引き継いだ時は、まだまだ北陸だけで愛されていたお菓子。
それを、髙﨑さんは何と8割ほどの経営資源を注いで世に広げたのです。
まず、その勇気に感服いたしますが…、それだけビーバーのキャラクター性にポテンシャルを感じていたとのこと。
その時のことを
と、ご本人は語っております。
そして、キャラクターを立たせてSNSで発信したり、売場では社員がぬいぐるみやお面を配るなどして提案を強化。
すると、プロジェクト始動から間もなくして強力な追い風が吹きます。
2019年7月、NBA・八村塁選手からお裾分けされた「白えびビーバー」をチームメートが絶賛する動画がSNSで拡散されると大ヒット。
ここで一気に全国展開〜、といきたいところですが、髙﨑さんはここで浮き足立ちません。
まずは、北陸3県で圧倒的一番に立つことを選択。
これが功を奏し、ビーバーの売上は反動減に陥ることなく右肩上がりに推移したのです。
その上で全国展開を果していったのですが、市場が拡大するにあたって次の壁にぶつかります。
それは、老舗企業ならではの工場の老朽化です。
この問題をクリアするためにOEMという判断もあるわけですが、そこは熱き髙﨑社長。
と、現在、新工場・新事務所について現在各所と連携しながら進めているとのこと。
楽な選択ではなく、自分たちにとって一番良い選択をする。
近い未来の利益ではなく、遠い未来の利益を考えて判断していく。
髙﨑社長の未来を見る力、そしてそこに紐づく勇気と冷静さに非常に刺激を受けました😊
社員みんなで遠くを見つめる
まずはリーダーがしっかりと不安な未来に目を向ける。
その上で、社員みんなにも目を向けてもらうことが重要になります。
それにはどうすれば良いかということを考えていくと、改めてヒントとなるのが「京セラフィロソフィ」です。
〈JBpress / 2024年10月10日〉
豊かな人生を送るためには、未来に夢を描き、日々情熱を燃やし生きることが求められる。
…最近では、「ドリハラ」(ドリーム・ハラスメント)という言葉があるように、夢を語りにくい時代です…
〈東洋経済education×ICT / 2024年10月18日〉
〈GOETHE / 2024年7月8日〉
でも、そっと社員一人一人の向かいたい先を見える化し、導いていく。
そうすることで、熱気や努力が生まれ、自分に自信が芽吹き、好循環が生まれる。
こうした心の文化が京セラにはあったからこそ、理想的ではありつつも、周辺部門とのあつれきが生じやすい「アメーバ経営」は成り立ったわけです。
会社全体で「目線を遥か先へ」向けていくために。
改めて『京セラフィロソフィ』を読み直しながら、今後の方針をしっかりと示していきたいと思います🫡
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!