注目の「特化型」店舗
column vol.1325
昨日は【飛躍させる発想】と題して柔らか頭で考えたアイデアについてご紹介させていただきましたが、
今日は “大胆” に絞り込みを行っている小売業の話をしたいと思います。
最近は、テーマを絞った「特化型店舗」が増えていますが、その代表格がドン・キホーテでしょう。
コスメドンキ、お菓子ドンキ、お酒ドンキなどなど。
中でも「攻めてるなぁ〜」と感心してしまうのが、「ギラギラドンキ」です。
〈ITmediaビジネスオンライン / 2024年11月12日〉
“ヤンキー”から人気のお店とは?
「ギラギラ」という言葉にふさわしく、こちらのお店は“ヤンキー特化型”として4月に誕生しました。
正式名は「ドン・キホーテ貝塚店」。
ギラギラドンキは店のコンセプトで、ちょっとヤンチャな方をターゲットにしたお店なのです。
天井にはミラーボールが回っていて、ショーケースには金のネックレスが並んでいたり、スカジャンがあったり、私が若い頃のヤンキーたちが好んだテイストが店内に溢れている。
とにかく派手なのです。
スカジャンは私も10代の頃、横須賀のどぶ板通りまで買いに行った思い出があるので、胸がじわります😊
もともとギラギラドンキは「昭和レトロ」を感じされる店を考えていたそうですが、“南大阪の昭和” を突き詰めていたら、今のコンセプトが出来上がったとのこと。
もちろん、やんちゃじゃない方も訪れているのですが、明快な世界観がウケているということはあるでしょう。
実際、ドンキは全体的にコスメに力を入れていますが、このお店では「カラコン」が特に人気とのこと。
また、やんちゃの定番「金のネックレス」も、カットの断面が2ヵ所ある「2面タイプ」よりも、上下に2面、左右に4面カットを施している「6面タイプ」の方がよく売れているそうです。
(カット面が多いと、よりギラギラします✨)
オープン当初は「ボンタン型」(ワタリが太く、ヒザ下からスソ幅が極端に細くなるラインのパンツ)のジャージが販売されていたのですが、人気過ぎて数日で完売。
製造しているメーカーが少ないようで、追加販売はなかなか難しいとのことで、そこは残念なところ…
売り上げも計画を上回るペースで推移しているようで、こうした大胆な特化型店舗は、今後もドンキから誕生しそうですね。
お隣で進む「特化型コンビニ」
今後といえば、日本でも目を向けられるのではないかと思うのが、お隣り韓国の「特化型コンビニ」です。
さまざまな顔のお店が広がっているのをご存知でしょうか?
〈AFP BB NEWS / 2024年11月2日〉
韓国のコンビニ市場は、厳しい岐路に立たされています。
コンビニの店舗数拡大ペースは鈍化しており、韓国国税庁の統計によると、ソウルのコンビニ数は今年7月に8612店で、前年同月比44店減少。
さらに、業界の自主規約で既存店舗の50~100メートル以内での新規出店を避ける方針もあります。
そこで韓国が目指すのではなく量ではなく「質の成長」。
そういった理由で、ラーメンや酒類など特定商品に特化した店やスポーツ、金融など異なるカテゴリーに特化した店が登場しているのです。
韓国の大手コンビニチェーン「CU」は2022年12月から業界初のラーメン特化店舗「ラーメンライブラリー」を展開。
人気を博し全国で7店舗を運営しており、約100種類のラーメンを取り揃え、1日平均500食が売れています。
別の大手チェーン「GS25」も今年8月にソウルの仁寺洞にある「GS25グラウンドブルー49店」内「Kヌードルチャレンジステーション」を設置しているのです。
個人的に心惹かれるのは、スポーツ特化型の店舗。
GS25はプロ野球チームの「ハンファ・イーグルス」「LGツインズ」、プロサッカーチームの「蔚山HD」と提携し、3つのスポーツ特化店舗を運営しています。
LGツインズと提携した「GS25蚕室タワー店」は、チーム専用のロッカールーム風スペースを設け、応援グッズなど30種類以上のグッズを販売。
ファンの「聖地」となっています。
日本のセブンイレブンもライフスタイル特化店舗「ニューウェーブ・オリジン店」をオープン。
即席・新鮮食品や化粧品などをカスタマイズして陳列し、消費者の好みに応じた商品を提供しています。
今後もニューウェーブ店舗を基盤に、商圏ごとに合わせた店舗を拡大する計画とのこと。
こうした戦略が奏功し、コンビニを利用する消費者が増えているそうです。
韓国産業通商資源省の集計によると、今年上半期の流通業者の売り上げ割合でコンビニは16%を占め、全業種の中で第2位。
1位の百貨店(16.6%)と大差なく、売り上げ成長率は5.2%で百貨店(3.1%)を上回っているのです。
これからの展開に、ますます注目したいと思います。
新しい「接客力」強化型店舗
最後に紹介したいのが、無印良品の事例です。
先月、大阪の商業施設「ルクア大阪」にオープンした特化型店舗が話題になっています。
〈Lmaga.jp / 2024年10月11日〉
こちらは、全国初となるレディース向け衣料品とコスメ・ケア用品に特化した店舗。
「ルクア大阪」の利用客である20〜30代女性に合わせて化粧品や洋服に特化したラインアップに刷新され、昨年リニューアルした近隣の関西最大級規模を誇る「グランフロント大阪店」との差別化を図っています。
ただ、私が注目したいのは、接客力を強化した店舗であること。
店長の東濱さくらさんは
とコメント。
衣料品特化店ともあり、提案力や傾聴力が重要になることを考え、接客をより意識しつつ、さらにはスタッフの着こなしにもこだわっています。
スタッフの皆さんは、同店で販売されている衣服だけでなく、アクセサリー、帽子やメガネなどの小物を駆使してコーディネート。
「歩くマネキン」のごとく、商品の着用イメージがより鮮明になるよう意識しているそうです。
小売(特にアパレル)は、やはり接客が命。
AI時代においても、人の温かさ、寄り添う気持ちが、ますます価値になっていくでしょう😊
〜ということで、本日は「特化型店舗」の事例をご紹介して参りました。
コモディティ化している小売業界の中で、個性が重要視されていく時代。
こうした大胆に絞り込んだカタチが、今後も見られそうですね。
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!
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