不満と不安を取り除く「情熱形成法」
column vol.432
昨日は、これからの仕事はいかに「夢中」や「熱意」を注いでいけるかという話をさせていただきました。
一方で、なかなか熱いものが込み上げてこない人も当然いるかと思います。
まず、すぐにでもできるモチベーションの処方箋は、「今の仕事をどうやったら楽しめるか」を考えることにあるかと思います。
成長や成果は意識していても、「楽しさ(働きがい)を見つける」ことは意外と疎かになっているような気がします。
「今日は、こんな『やりがい』を見つけられたぞ」「もっと今の仕事を好きになるのはどうしたら良いだろう」とワクワクしながら日々を過ごしている人をあまり見かけないからです。
ということで、今日は日々の業務が前向きになり、情熱を心に宿すためのマインドセットの仕方を考察したいと思います。
例えば、今の会社に対して不満と不安で心が充満している方がいらっしゃったとしたら、まずはプレジデントオンラインの【「この会社に定年までいられる気がしない」心理カウンセラーが転職を悩む人に出す"ある宿題"】をご参照くださいませ。
〈PRESIDENT Online / 2021年9月13日〉
不満や不満解消の第一歩は「理解」
「上司のやり方はもう古いのではないか?」
「今までのやり方よりも、このほうが効率的なんじゃないか?」
「新しい○○という方法を取り入れたほうがより生産性が上がるんじゃないか?」
「この会社のシステムはもう時代遅れだ。このままでは生き残れないんじゃないか?」
会社に勤めていれば、多くの不満や不安にぶち当たるのは当然です。
しかし、心理カウンセラーの根本裕幸さんはネガティブな気持ちが起こる対象に対して「理解」をすることが重要だと語ります。
例えば、上司のやり方は古い理由は、上司の若手時代には画期的で一番効率的なやり方(印象深い成功体験)だったかもしれません。
もしくは、効率性だけではない何か別の意図があるかもしれません。
このように相手を弁護していくと、不満が理解に変わります。まず、この時点で大きな違いが生まれます。
不満は怒り。
押し殺しても相手にネガティブな感情が伝わってしまいます。恐らく、不満を抱えても意見しづらいのは、本能的にそれが分かっているからかもしれませんね。
仕事をRPGに見立ててみる
もしも、相手に対してポジティブになれたら、次は「攻略」を楽しみます。
相手を肯定した上で、それでも新しいやり方を提案した方が良ければ、次はいかに上司が前向きに自分のアイデアを取り入れてくれるかを考えていきます。
しかし、意外とここで立ち止まってしまうことがあります。
なぜなら、自戒の念を込めて言うなら、不満や不安は「自分の実力不足」の表れであることが多いからです。
不満であるけど解決策が思いつかない…。
解決策は思いついたが、自分が実行するのは億劫…。
相手を傷つけずに理解してもらえる自信がない…。
などなど
それを解決するには、「学び(レベルアップ)」しかありません。
日本経済の父とも呼ばれる渋沢栄一先生もこのように話しています。
サライjp
上司という難敵を攻略するために、新しい武器(新しいやり方)や仲間(賛同する社員)を集め、自らのレベルアップ(学び)を図ることが必要です。
何かこのプロセスって、ロールプレイングゲーム(RPG)に似ていませんか?
立ちはだかる難敵に対して、新しい武器や仲間を揃え、レベルアップして攻略していく。「ドラゴンクエスト」も「ファイナルファンタジー」も、このプロセスに皆、熱狂したはずです。
そういうこともあってか、私は仕事で困難に直面した時、昔からドラクエの戦闘シーンの音楽が頭に流れてきます。
特別、意図したわけではないのですが、自分の心理的安全性を保つために、脳が勝手にRPGに見立て、少しでも楽しもうとしてきたのかもしれません。
私はこの会社版RPGを「カンパニークエスト」と呼んでいるのですが、RPGのプロセスで仕事の現状をトレースしていくと、とても冷静になり、かつ解決に向けて前向きに楽しむことができるようになります。
楽しめば、成果も成長もより大きなものになっていく。この良きスパイラルをどう生み出すかが、楽しく働く上でとても重要なのかなと思っています。
楽しむための「セーフティー」ネットをつくる
「いやいや、会社版RPGは生活(人生)かかっているんだから」
そんな風に感じられた方もいらっしゃるかと思います。それは正直、その通りだと思います(笑)
だからこそ、昨日の話に繋がるのですが、大切になるのが「自立心」です。会社に頼らない生き方を築いていく。
学びや副業、ボランティア、人脈づくりなどなど、会社に捨てられても生きていけるセーフティーネットを自らつくり、強固にしていくことが肝要です。
プレジデントオンラインの話に戻ると、根本さんは「理解」と共に「覚悟」を持つことが大切だと仰っています。
具体的なアクションとして「辞表」を書くことを挙げています。
今の会社を辞めることを前提にする。
そうすると、視野が広がり、行動も大胆になるはずです。
辞めることを前提にすることで自己研鑽に拍車がかかる。辞めることを前提にすることで今までよりも挑戦心が生まてくる。
辞めることを前提にしているなら、失敗も含めて次に繋がる経験を1つでも多く積んでおいた方が得策ですからね。
結局、「自立心」と「楽しめる気持ち」は両輪であり、お互いに支え合うものだと思います。
なぜリクルートでは「熱意」が生まれるのか?
主体性の高い社員が集まる企業として、すぐに頭に浮かぶのがリクルートでしょう。
実際、多くの社員の方々が独立しています。
その同社の主体性を生む企業文化について言及されている記事があったので共有させていただきます。
〈ビジネス+IT / 2021年9月21日〉
まず挙げられるのが「圧倒的当事者意識」です。
リクルートでは入社時から「君はどうしたいの?」と先輩たちから問われ続けられるそうです。
自分で思考し、提案し、最終的に自分が動くことを徹底的に求められる。
自分でPDCAを回していくので、「じゃあ次はこうしてみよう」「次はこれをやらなきゃ」という当事者意識が身につく。これが起業家精神を生み出すわけですね。
そして、もう1つ。この記事の筆者がリクルートのマネージャー時代に行ったという「アスピレーション目標」設定に非常に刺激を受けました。
会社から与えられた目標の「1つ先の目標を自らがつくる」ということです。
これによって、目標が会社から与えられたものではなく、自分事(主体的)になります。
これは秀逸な自己育成術だと感じました。
全ては「やらされていること」から「やっていること」、「やりたいこと」に変えられるからです。
一方、経営者側も1つ覚悟が必要です。
個人の目標は既存の会社を超えたところにあるかもしれません。
それも善しとするのが自律型キャリア時代においての経営者側が持つべき許容だとも言えます。
これからの会社組織は主従関係ではなく、共にビジョン、ミッションを叶えるための同志という認識が必要です。
この辺の話は、また別の機会に語りたいと思いますが、個人にフォーカスを戻すと、自律型キャリア時代を前向きに捉えていくことが、「夢中」「熱中」を生み出すマインドのインフラになると思います。
積極的に学び、人との繋がりを増やしていけば、自ずと「ピンと来ること」に出会える確率は高くなります。
それに、意外と何かを始めてみてハマることや、何かから派生して好きなことが見つかることもあります。
まずは、現状を前向きに捉えてみる。セーフティーネットを整えてみる。そんなところから、次の自分が見えてくるのではないかと感じています。
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