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良い会社を決める「ライフスタンス」

column vol.1011

昨日は高校生起業家の素晴らしき取り組みを共有させていただきましたが

記事を読んでくださったどまんだかっぷさんから、このようなお言葉をいただきました。

高校生起業は素直に凄い!しかも起業意思からスタートしている。
感心します。

〈note / どまんだかっぷさんアカウント〉

予測不能なVUCA時代こそ起業意思は非常に重要になる。

起業でなくても会社経営においても、「パーパス・ミッションが大事である」というのは毎日のように聞く言葉ですが、自社でそれが体現できているかというと…、下を向いてしまいそうです…(汗)

実際、中川政七商店会長の中川政七さんは、Forbes JAPANの記事でこのように仰っています。

昨今、ビジョン、ミッション、パーパスがブームのように騒がれていますが、言葉をつくっても、会社の活動として本気ではないことが散見されます。

〈Forbes JAPAN / 2023年5月9日〉

そんな中川さんが重要視している考え方が「ライフスタンス」です。

「ライフスタンス」とは何か?

一般的には「ライフスタイル」です。

しかし中川さんは

洋服からインテリアまで、丸ごとうちの商品を選んで欲しいわけじゃない

という考えをお持ちで

あくまで生活の一部に取り入れて貰えれば嬉しい、くらいの感覚で。我々が大切にしているのは、ものづくりの背景や想いを理解いただいた上で、ちゃんと選んでもらうこと。

その価値観を「ライフスタンス」と呼んでいらっしゃるのです。

つまり、「モノをトータルに提供できますよ」ではなく、「あなたの価値観(ライフスタンス)に共感するもの選ぶことができますよ」というイメージ。

そして、そんな中川哲学に共感して人々が集まった「PARaDE」という団体があります。

Takramのビジネスデザイナーである佐々木康裕さんと共にこの組織を率い、同じ志を持つ11の会社が集結。

イベント勉強会コンテンツづくりを行っています。

PARaDEは「良い会社」を定義し、広めていくことを志している。

中川さんたちが思い描く良い会社とは、「共通善・個別善・利益」という3つの要素が揃っていること。

共通善…地球や社会、人々への配慮
個別善…企業独自のビジョンと行動の連動
利益…人々の役に立っているという証

この3つを兼ね備えている会社が、手を取り合って経済を動かしていく世界が「ライフスタンス・エコノミー」と呼んでいます。

そしてその想いを実現していくため、今年の3月“つくる。買う。選ぶ。の未来” をテーマとした「Lifestance EXPO」を開催。

ライフスタンスを体験するイベントを実施しました。

初対面でも「日本の未来」を語る

「Lifestance EXPO」は品川のコクヨ「THE CAMPUS」を舞台に、トークセッションの他、参加企業のブースでの買い物ワークショップなどが楽しめるという内容。

入口エリアでは、ライフスタンスについての詳細な説明が展示されていた他、参加企業のブースには、それぞれビジョンミッションを記したパネルが設置され、お客さんはそれをじっくり読み込みながら商品に触れていく、という体験が提供されました。

普通EXPOは、出店者と来場者の間で商品について話し合うものですが、ここでは「ビジョンや想い」を語り合う

また、お客さん同士も初対面同士であっても「日本はこの先どうなっていくんですかね」といったことまで言葉を交わし合っていたそうですよ…(汗)

こうしたEXPOの哲学に触れると、会社組織の新たな理想に辿り着きます。

もちろん、会社のパーパス個人のパーパスをつなぎ合わせることは大切なのですが、各社員で共感のグラデーションはあるわけです。

でも、EXPOの「この先の日本話」のようなこれからの社会について語れる土壌が社内にあると良いと思ってしまいました。

同僚と会社の話だけだともったいない。

お互いのライフスタンスを共有し、尊重しながら、社会に対する目を養っていけると逆に会社の成長につなげることができるのではないかと思っています。

会社は社会の中にある。

社会という広い視野で、会社を見つめられると、より自社が果たすべき役割、個人が果たすべき役割が顕在化すると感じているからです。

そして、中川さんはこんな理想を掲げています。

例えば、会社が自分の考えとは違うことをやっていても、これは仕事だと割り切ってやらざるを得ない状況って、少なからずあるじゃないですか。
願わくば、自分が良いと思う感覚で、素直に生活も仕事もできるのがヘルシーな状態。

そういう意味でも会社も個人もライフスタンスを明確にしてつながり合うという考えが肝要なのかなと思いました。

「ライフスタンス起業」した人気アーティスト

そうした「ライフスタンス」を持った起業ということで最近注目したのが、フェムテック企業の「Cradle(クレドール)」です。

代表取締役社長を担うのは、東京藝術大学美術学部デザイン科准教授でアーティストのスプツニ子!さん

〈日経BizGate / 2023年5月2日〉

フェムテックとは、「生理・月経」「妊活・妊よう性」「妊娠期・産後」「プレ更年期・更年期」など女性の心身の課題をテクノロジーで解決するというもの。

Cradleでは、このようなメニューを提供しています。

●ヘルスケアやダイバーシティーなどに関する多様な動画を視聴できる
●月に2回、専門家によるリアルタイムのオンラインセミナーを開催
●北海道から沖縄県まで100以上の医療機関と提携し、卵巣の予備機能を調べる『抗ミュラー管ホルモン(AMH)』検査といった診療サポート

スプツニ子!さんは同社について次のように語っていらっしゃいます。

正しい情報に早くアクセスできるのがポイントです。企業でも女性の健康やダイバーシティーに関するセミナーが開催されていますが、人事部などの担当者の多くは、そもそもどんな先生を呼べばいいかわからず困っている。Cradleでは専門家のネットワークを築き、動画をすべて独自制作しています。

「正しい情報に早くアクセスできる」というのは、非常に大きなメリットなのではないでしょうか?

もともと、スプツニ子!さんは生理など女性の課題に対する社会全体のリテラシーの低さを感じていらっしゃいました。

そうした課題を解決するため、アーティストとして作品を通じて理解促進に励んでこられたわけですが、今回の起業はそうした想いの結実とも言えるでしょう。

先ほどの中川さんのお話にもありました通り、一日の大半を仕事に費やすのであれば、できればライフスタンスに共感する企業で働きたいと思う人も多いはずです。

一方で、そうした企業が見当たらないのであれば起業するという選択肢も考えられるでしょう。

昨日もお話しした通り、年々、起業に関するさまざまな支援体制が整ってきています。

最近面白いと思ったのが、山形県酒田市で6月に行われる「しくじり起業」というイベント。

〈PRTIMES / 2023年5月14日〉

起業家のしくじり談を聞いて学べるという企画なのです!

きっと、テレビ朝日の人気番組『しくじり先生』からインスパイアされているのでしょう(笑)

成功話だけ聞くと、「まぁ…特別な人なんだろうね…」と対岸を見るような気分になってしまうことが多々あります。

しくじりを聞くことで、より起業のハードルを低くしていく。

これも起業標準社会への大切な一歩です。

ということで、本業は無理でもパートタイム起業をして、そこではライフスタンスを叶えるというような前進ができると良いですね。

私も24時間をライフスタンスで生きれるように心がけたいと思います😊

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