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Z世代の高度なバランス感

column vol.772

昨日、Z世代の新入社員の話をさせていただきましたので、今回は「若者マインド」をテーマに執筆したいと思います。

ちょうど一昨日、Web担当者Forumの記事で【意外な実像? Z世代は「新商品への興味が薄い」「SDGsへの関心も薄い」】という記事があったので、まずはこちらの記事から共有させていただきます。

〈Web担当者Forum / 2022年9月6日〉

ネオマーケティングの調査なのですが、調査結果がマーケティング業界のステレオタイプの若者像と異なる部分があって面白いのです。

Z世代は実は圧倒的に「ラガード」?

ネオマーケティングの行った「日本のZ世代意識調査:SNSのイメージや消費感度編」では、Z世代(15~25歳)492人とY世代(26~41歳)500人を対象にしています。

面白かったのは、以下の項目です。

「経済感覚は安定志向」「モノをあまり買わない」「ブランドにこだわらない」「環境問題への関心が高い」

については、Z世代よりも年上のY世代の方が意識が高いという結果になっています。

図1

また「Z世代は『SDGs』への関心が高いといわれていることについてどのように感じますか?」と聞くと、Z世代自身、Y世代から見たZ世代それぞれで大きな差はありません

そして、『SDGs』への関心が高いかについては「とても思う+やや思う」2割前後であるのに比べ、「あまり思わない+まったく思わない」4割近くとなっています。

ですので、この調査結果だけを見ると、世代が下がるにつれてSDGsへの意識が高くなるとは言えません

この辺が、私がこれまで見てきた調査結果と違ったので、興味深いと感じたのです。

また、イノベーター理論をもとにした消費意識でも「ラガード」が多く、想像していたよりもトレンドへの意識が低いと感じました。

1. 「イノベーター」…革新的な商品・サービスは誰よりも先に購入する
2. 「アーリーアダプター」…流行には敏感で、世の中で流行り始める少し前の段階で商品を購入する
3. 「アーリーマジョリティ」…テレビやネット、SNSなどで取り上げられて、世の中で流行り始めてから購入する
4. 「レイトマジョリティ」…流行や新しい商品には懐疑的で、身近な人も含め大多数が購入して始めて購入を検討する
5. 「ラガード」…流行や、世の中の動きに関心が薄く、影響は受けることはない

普通は、その名の通り「マジョリティ(意味:多数派)」が多いはずなのですが、ラガードが多数派ということです。

一方で、周りのZ世代を見ていても情報感度は高い

ですので、私はZ世代にとっては「ラガード(遅滞者)」という意味ではなく、トレンドを重要視していない(左右されにくい)と捉えております。

“多面性”“不完全性”“かじる”に注目

その私の仮説の後押しをしてくれそうなのが、TikTok(TikTok For Business)が2年前に実施した「Z世代白書(2020.6)」です。

〈Web担当者Forum / 2020年6月30日〉

こちらは、全国15~69歳の男女17,333人、および関東地区内16~27歳の男女80人に、リサーチとインタビューを行っています。

この調査では、Z世代の“多面性”“不完全性”“かじる”といった3つの特質が明らかになっているのです。

“多面性”については、「周囲の人と比べて、自分が浮いていないかいつも気になる」という設問については、Z世代より上(25歳以上)の33.2%を、46.9%で上回っているのに、「人と違う個性が重要だ」でもZ世代より上の64.0%を、74.9%で上回っている。

そして、“不完全性”では、情報の信頼性について聞いているのですが、「失敗などのネガティブな面がある動画・投稿は信頼できる」49.2%(Z世代より上は27.4%)という結果で、全てに完璧を求めないZ世代の特徴が垣間見えます。

最後の“かじる”「つまみ食い」です。

つまり、1つの価値観に執着するのではなく、何でも満遍なくタッチしておきたい。

人間関係においても“かじる”スタイルは通じており、「SNS上でも友人を作ったことがある」は、Z世代は49.3%(Z世代より上は35.9%)。

そして、「SNS上でしか話していない友人がいる」35.9%(Z世代より上は19.0%)など、SNS限定でも人間関係を成立させているのです。

“かじる”特性は変化の激しいVUCA時代を乗り切るための高度なバランス感が垣間見えます。

こうして若者の心理を読み解いていくと、「絶対」は無く、「ねばならない」と断定しない人たちという姿が見えてきます。

このニュートラルな意識がZ世代の特徴なのでしょう。

男子が多い「お嬢様部」

そして、今回出した結論を表しているなぁと思った事例が、佐賀大学の非公認サークル「お嬢様部」です。

〈ENCOUNT / 2022年9月2日〉

今年6月、佐賀県佐賀市でバイク集団による暴走行為の後に残されたゴミ清掃を行う姿が多くのメディアで紹介されたことで一躍話題となったこのサークル。

活動内容は、お嬢様っぽい服を着て、お嬢様言葉でお茶会をするなど、「お嬢様」であることを楽しむことをモットーとしています。

興味深いのが、メンバー構成です。

佐賀大学のお嬢様部には17人のメンバーが在籍しているのですが、何と女子は7名しかいません。

残りは8名が男子、後はどちらでもない人が2名なのです。

“心がお嬢様であれば性別は関係ない”というスタンスで、普段と違う口調、キャラクターになりきるギャップから男子の方がハマりやすいとのこと。

元祖は京都大学ではないかと言われており、大阪大学のお嬢様部には40人ほどが在籍。

大学間の交流も行っているそうです。

お嬢様部の男子は、基本、部活内でお嬢様を楽しむのであって全てではない

個性的でありながら、自分の通う大学を超えて仲間をつくる

やはり、高度なバランス感を体現しています。

これが今のところの、Z世代に対する私の理解です。

とは言え、同じ世代であっても、一人一人違いますし、聞く対象や人数によって調査結果は異なりますので、あくまでも参考程度に留めていただけると幸いです。

また、新しい傾向が分かりましたら、ご報告しますね。


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