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AI時代に何を「学び直す」のか
column vol.1182
昨日はGW前ということで「旅行」についてお話ししましたが
この大型連休をきっかけに「学び直し」を始めようと考えている方もいらっしゃるでしょう。
もともと予想不能なVUCA時代において学び直しが必要と言われていたところに、生成AIが日常に登場し、
誰もが何となく「今のままではいけないんだろうなぁ…」と思っている今日この頃…
…ただ、お金と時間が限られている中、
「何を学んだら良いの…?」
と迷う方は多いのではないでしょうか?
そこで、今日はそんな悩みを解決するヒントを探ってみたいと思います。
日本のリスキリング「約4割」
まず、「リスキリング」と「リカレント」という言葉がよく聞かれますが、それぞれの一般的な定義をご紹介させていただきます。
まず、リスキリングとは、企業が従業員に学ぶ機会を与えるもの。
それに対して、リカレントとは、社会に出てから一度仕事を離れ、大学などで教育を受け直してからまた仕事に戻るという本人の選択による循環を指している。
学び直しという言葉も、個人が主導する場合に使われています。
ちなみに、リスキリングといえば、政府が2022年10月に「リスキリングの支援に5年で1兆円を投じる」と表明したことで話題になりました。
では、各企業での進捗はいかほどなのか?
企業における経営・人事課題の解決および、事業・戦略の推進を支援するリクルートマネジメントソリューションズが行った調査によると、
「リスキリング」「学び直し」への期待がある企業は6~8割。
一方で、具体的なメッセージの発信は4割前後に留まっているとのこと。
(182社の人事・人材開発の責任者・担当者から回答)
まだまだ道半ばという感じですね。
ちなみにリスキリングを提供している企業は
●IT関連の知識やスキルを向上させ生産性を高める
●中高年人財の次なる活躍を期待する
といったことを目的にしているのです。
そして、今日の本題に移ります。
AI時代にふさわしい学び直しとは何なんでしょうか?
的確な「問いたて」がカギ
ヒントとなるのは、ビジネスインサイダージャパンの【AIによる大失業時代、リスキリングで生き残るための“意外な方法”】という記事です。
〈BUSINESS INSIDER JAPAN / 2024年4月4日〉
日本におけるリスキリングの第一人者で、ジャパン・リスキリングイニシアチブの後藤宗明さんは、このように仰っています。
現在において、AIの得意分野は「正解を出すこと」です。今はまだ人間の側が、AIが導いた答えについて不正確な部分を見抜く力が必要ですが、AI翻訳の精度をみても分かる通りさらに正確さは増していきます。
AIが正解を出してくれる世界で人間が求められるのは、「問いをたてる力」や「課題を発見する力」です。
「問いたて」と「課題の発見」。
確かに非常に大切だと思います。
生成AIを使いこなす上で重要になるのが「プロンプト」です。
つまり、良き「問いかけ」が必要になります。
質問や指示が上手くないと、トンチンカンな答えが返ってくるからです。
そうしたことにもつながるのですが、私は生成AIの活用のポイントを「引き出すこと」への意識だと感じています。
少なくとも私よりかは賢いchatGPTに対して期待したいことは、私が知らないような知識だったり、思いつかないようなアイデアです。
それには、それ相応の引き出すための問いかけが必要となります。
「何を引き出すか」を意図する
これは、対人間でも同じだと考えています。
例えば、食通で料理が大好きなクライアントからホームパーティーに招待されたとします。
それに対し、私がお土産にワインが良いと思ったとします。
そこで、後輩に
「何か良いワインがないかな?」
と相談したら、どうでしょう?
そうですね、当たり前ですが「オススメのワイン」が答えとして返ってくるはずです。
しかし、
「食通で料理好きなあの人に、何をお土産に持っていたら喜ぶだろう?」
と聞いたら、どうでしょう?
ちなみに、これは実話だったのですが、その時、後輩から返ってきた答えは
おしゃな入浴剤
だったのです。
その理由は、「食通で料理好きな人なら、食べ物でいっても刺さらない」と思ったらしく、それよりも
「おもてなしをしてくださった後の疲れをゆっくり癒していただきたい」
と考えたそうです。
結局のところ、クライアントはこのプレゼントに大喜びでした😊
「自分の考えに沿ったアイデアを引き出したいのか?」
それとも
「自分では考えつかないようなアイデアを引き出したいのか?」
問いたての中に「引き出したい」意図を明確にすることが肝、
ということなのでしょう。
特に自律型組織を目指している時流において、ますます問いの中身が問われていくはずです。
「問いかけ」という新しい職業
そして、この「問いかけ」について、新しい仕事が生まれています。
まだ、日本では一般的ではありませんが、「プロンプトデザイナー」なんかはそうでしょう。
これは、AIや機械学習モデルに対して、具体的なタスクを効果的に実行させるための指示や質問(プロンプト)を設計する専門家のこと。
AIが適切な応答や行動を取れるように、質問や指示を工夫します。
つまり、AIの機能を最大限に引き出すための重要な役割を担っているのです。
アメリカなど海外では進んでいるので、日本でも注目されてきています。
もちろん、数学的な知識も必要なのですが、やはり試されるのは「言語能力」。
そのため、文系の人が未経験からプロンプトデザイナーを目指すパターンもあるそうです。
例えば、コピーライターから転身する方もいると聞いています。
ちなみに、気になる年収ですが、アメリカでは30万ドル以上の求人もあるそうです…
ざっくり言えば、約4,500万円ですか……(汗)
儲けてますね〜
プロンプトデザイナーははあくまでも一例ですが、重要なのは、社会の変化や業務の変化など、「変化」をいかに見抜くかがカギとなります。
変化に寄り添い進化していく
そうした考え方で、何を学び直していくかを見つけられると良いですね😊
私も5年後、10年後、ちゃんと進化していられるように日々アンテナを張りつつ、トライアルしていきたいと思います!
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。