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走り出す“予防医療”
column vol.1276
昨日は【知的好奇心を育む秘訣】と題して、生涯現役の心得を書き綴りましたが
それには、「健康」についても併せて考えていきたいところです。
特に注目したいのが「予防医療」。
病気を未然に防ぎ、心身ともに病気になりにくい体をつくる。
経済効果も大きく、三菱総合研究所の試算(2021年)によると、2030年には約1.5兆円の医療介護費の削減が期待されているからです。
そんな中、9月に興味深い試みが開催されます。
〜ということで、本日はその話を皮切りに、気になる予防医学のトピックスをご紹介したいと思います!
1日で健康寿命が延びる?祭典
そのイベントとは、9月14日(日)に東京ビッグサイトで開催される「YOBO万博2024」です。
〈GOETHE / 2024年8月24日〉
こちらは “ホリエモン” こと堀江貴文さんが理事を務める予防医療普及協会が主催。
診療科の枠を超えて予防医療を考えるためのイベントです。
21のトークセッションでは、様々な専門領域のドクターと共に、堀江さんや、タレントの宮迫博之さん、インフルエンサーのゆうこすさん、ファッションモデルの長谷川万射さんなど、著名人も登壇。
内容も
「ホリエモンが選ぶ予防医療」
「胃がん・大腸がん予防」
「子供の『スマホ近眼』を予防する」
「糖尿病の『本当の怖さ』を知る」
「美肌をつくるスキンケア」
などなど、どれを選ぶか悩むほど、面白そうなテーマばかりとなっております。
イベントの肝は何と言っても「診療科の枠を超える」という点。
複数の専門領域の医師が関わったからこそ分かることが多く、
例えば、咽頭がんの原因の多くはウイルスだと知られてきたのは、耳鼻咽喉科の医師ではなく、歯科医が患者の唾液に様々なウイルスが含まれていることを突き止めたからという話もあります。
しかし、これまで予防医学への取り組みは専門領域別の “縦割り” 構造で、“横串”を刺した形での学会はほとんどありませんでした。
堀江さんも
「予防医療普及協会には、オールジャンルの医者、専門医がたくさん所属しています。たまに行っている交流会の場では、けっこう貴重な意見交換がなされているんです。それを見て、異なる専門分野の医師がざっくばらんに話せる場って意外とないことに気づきました」
とコメント。
このイベントが予防医療の横断的な取り組みへのトリガーになることが期待されているのです。
究極の予防医学「プラネタリーヘルス」
予防医学の中でも、最近仕事を通して広がりを感じているのが「プラネタリーヘルス」です。
これは、地球の健康と人間の健康を一体で考えるという概念。
例えば、良い土壌で育った農作物と悪い土壌で育った農作物のどちらが人間の体に健康的かと問われれば、その答えは言わずもがなでしょう。
「地球環境を守る」というと、なかなか自分事化できない方もいると思いますが、「地球の健康と人間の健康は相関する」と言われれば、意識も変わる(…かも)。
そんなことを期待されているのがプラネタリーヘルスなのです。
取り組む企業も、NTT、三菱UFJリサーチ&コンサルティング、三菱地所、島津製作所などなど、日に日に増えており、私自身も某企業と一緒に進めております。
そんな中、最近ニュースになった事例の1つが、JR東日本と東京大学が高輪ゲートウェイシティで進めている「Planetary Health Design Laboratory」。
昨年10月に立ち上がったプラネタリーヘルスに関するプロジェクトですが、今年5月31日に、マルハニチロを加え
「人と地球に優しい食『プラネタリーヘルスダイエット』を通じて、地球益の創造を目指す」
と発表。
〈Forbes JAPAN / 2024年7月3日〉
「環境負荷が少ない魚食が人口増と食料難の問題を解決し、プラネタリーヘルスに貢献するポテンシャルを秘めている」
という考えで推進されています。
ビジネスの観点でも、魚食のハードルが高い海外にリデザインのノウハウを輸出することによって、ビジネスチャンスにつながると期待されている。
一方で、日本での魚食が減り続けているという課題も。
これについて、マルハニチロの小関仁孝さんは
「魚食のリデザインの柱は、エフォートレスな食材にすることと陸上養殖といった新たな養殖技術を開発し、広めることの2つです。調理スキルが必要で、食肉に比べ可食部が少なく、鮮度劣化が早い水産物は、現在の消費者にとって必ずしもユーザーフレンドリーな食材とはみなされなくなりました。これをエフォートレスな(手間のかからない)食材に変えていくことが第一です。次に、国内で消費されるサーモンなどは空輸されていますが、カーボンフットプリント(原材料調達から廃棄、リサイクルに至るまでの排出CO2)やヴァーチャルウォーターなど地球環境への影響を考えると、地産地消が可能となる陸上養殖のような仕組みを構築していくべきです」
とコメント。
もしも、陸上養殖を通じて都市を生産拠点にすることができれば、ネイチャーポジティブ(生物多様性の損失を止め、軌道回復に乗せること)と地方創生の両面で貢献することになります。
今後の展開が楽しみな取り組みですね。
さり気なく予防医学なカフェ
最後は今週末30日(金)から始まる注目のポップアップカフェについてご紹介いたします。
サントリー食品インターナショナルが東京・下北沢に「~悩みごとから注文するカフェ~CAFÉ menphys」を9月1日(日)までの3日間オープン。
〈AMP / 2024年8月25日〉
同カフェは
“人に言いづらい若者の悩みを、心と体の両面からサポートする”
ことをコンセプトとした、「menphys(メンフィス)プロジェクト」の一環として、心身の不調や悩みに気づき、セルフケアを始めるきっかけをつくることを目的としています。
面白いのが、オーダーの仕方です。
普通はメニューから料理を選びますが、ここではオリジナルのカルテシートから自身の不調や悩みを選択する。
そうすると、その不調・悩みの緩和が期待される栄養成分ある食材を使った、オリジナルオープンサンドが提供されるのです。
んん??何で「オープンサンド」なの??
と思った方はスルドイです(笑)
これは
「自分自身の不調や悩みを抱え込まず、一人ひとりが学びながら向き合い、前向きな一歩を踏み出して欲しい」
という、つまり「心をオープンにして欲しい」という想いが込められているのです🤔
メニューは、今やSNSフォロワー50万超の人気インフルエンサーでもある、料理家・管理栄養士の長谷川あかりさんが監修。
若者の街シモキタで、若者の健康リテラシーを高めるきっかけとなるか?
こちらも非常に楽しみなイベントです〜
〜ということで、本日は「予防医学」について最近気になった事例をご紹介させていただきました。
ちなみに、インドの調査会社「Mordor Intelligence」が試算した世界の予防医療技術およびサービス市場規模は、今年3,257億4,000万ドル(推定)であるのに対し、2029年には5,907億6,000万ドルに達すると予測されております。
今後もこの分野に熱視線を送りながら、その展開に期待していきたいと思います🫡
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!