好循環を生む「ポジティブ・スピルオーバー」
vol.172
…という方もいるでしょうから…、先にこの言葉の意味から説明させていただきます。
ポジティブ・スピルオーバーとは、複数の役割を持つことで互いに良い影響を及ぼす現象のこと。
一方の役割で経験したことが、別の役割にスピルオーバー(流出)すると、能力や収入の拡張などが起こるというわけです。
〈日本の人事部 / 2025年1月9日〉
例えば、仕事と家事・育児の両立です。
総務省の「労働力調査(2023年)」によると、1985年には718万世帯だった共働き世帯が、今では1,278 万世帯に。
共働き世帯比率(共働き世帯数 ÷共働き世帯と専業主婦世帯の合計数)は 71.2%と、7割を超えています。
…きっと、「仕事と家庭の両立は大変」と思う方は多いでしょう…
2年前の日経新聞で紹介されていた、「家事に充てた時間に働いていた場合に得られた金額の推計」によると、1時間あたりでは1,574円。
〈日本経済新聞 / 2023年9月22日〉
それだけ労働価値が高いことをやっているわけで、それだけ大変なことであるという裏返しでもあり、仕事と合わせれば、昭和の「24時戦えますか」状態なわけです…
…ただ、一方で両立することでの成長も大きい。
日本の人事部でも、このようにその恩恵を説明しています。
確かに、育児に勤しむことは、マネジメント能力を大きく高めてくれるでしょう。
特に今の幼児教育・児童教育は、ビジネスの現場での人財育成につながるヒントに溢れています。
一方、仕事で培ったスキルやノウハウが、家事・育児にもたらす好影響もあるでしょう。
ですから、前向きに両立を捉えれば、ポジティブ・スピルオーバー効果は高い。
そうした話は納得できる部分はあります。
これは、職場単体で考えてみても、そうです。
今の時代、人手不足もあって、どうしてもマルチタスクになってしまう。
それをポジティブに捉えられるようにしていけば、様々なことに取り組んでいるからこそ得られる相乗効果はあるでしょう。
一方で、両立による負担により、心が沈んでしまえば、「ネガティブ・スピルオーバー」、つまり仕事も家事もパフォーマンスが下がったりするなど、良くないカタチで影響し合ってしまう…(汗)
そこで、「ライフ」と「ワーク」が共鳴し合うには、自律性を発揮できる仕事である必要があると言われています。
例えば、働く場所や時間を自分で決められたり、意見が尊重されたりする環境であること。
また、両立に対する会社の支援も不可欠です。
柔軟に働くことができる制度に加え、職場の雰囲気を醸成する上司・同僚の理解も欠かせない。
私も経営を司る人間として、そうしたことにより意識を向け、向上させたいと思ったのですが、職場でも、家庭でも、改めて「感謝」の循環が必要だとも思いました。
仕事でも、家庭でもタスクを分け合うわけですが、どうしても「自分の方が〜」と思ってしまいます。
そこで、相手を責めてしまえば、お互いが相手のマイナス点に目が向き合う循環が生まれてしまう…
特に、家庭では夫婦でシェアすることが多いので、その傾向が強くなってしまいがちかと思います…
一方で、感謝からスタートすることで、お互いが肯定し合える循環も生まれる。
やはり、職場でも家庭でも、制度やルールだけでは限界があるので、リスペクトできる点を入口に感謝の交換が生んでいくことが理想ですね。
もちろん、そんなに簡単には行きませんが…、ポジティブ・スピルオーバーの利点を共有しながら、良き職場、良き家庭のムードをつくっていきたいものです😊
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!