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文具業界から学ぶ革新のコツ

column vol.1285

住友不動産ヴィラフォンテーヌ株式会社が運営する「ヴィラフォンテーヌ グランド 羽田空港」が、コクヨの文具をテーマにしたコラボルームを企画。

4月1日より予約を開始し、話題になりました。

〈Walkerplus / 2024年4月18日〉

日本の文具は国内だけではなく、海外の方々にもウケている

非常に今後ますます面白くなりそうな業界ですが、実際にユニークな考え方や取り組みが見られる会社も多いと感じます。

そして、それが新しいイノベーションの源泉になっている。

今日はそんな文具業界から学ぶ「革新のヒント」についてお届けしたいと思います。

本日もぜひ最後までお付き合いくださいませ。


人気を生み出す“狂気”

イノベーションとは、「常識に囚われない発想」が必要ですが、“狂気” の力ユーザーの心を捉えている企業があります。

それが、キングジムです。

〈@DIME / 2024年8月21日〉

キングジムといえば、「キングファイル」「テプラ」など、うちのオフィスでも活躍する文具が揃う人気メーカー。

こちらは、他社が真似できない商品が豊富です。

例えば、「雑学罫線ノート」

@DIME / キングジム 雑学罫線ノート
@DIME / キングジム 雑学罫線ノート

2枚目の写真をよく見ていただけると分かる通り、何と罫線が百人一首になっているのです…(汗)

別バージョンに、罫線が市名バージョンや素数バージョン、元号バージョンがあるようで…

…確かに、@DIMEが語るように “狂気が満ち溢れた” 商品開発というのは分からなくもありません…

他にも、デバイスに顔を近づけるとブザーがなる「近視対策ライト」など、ユニークな商品は盛りだくさん。

文具という枠を超えた独自のアイデアで幅広いジャンルの商品を次々と生み出しているのです。

同社によると

「弊社では、『10人に1人が強く欲しいという声があれば企画GO!』という商品開発の方針があります。代表的な商品のデジタルメモ「ポメラ」も、その方針で開発が決まった商品なんです」

と商品開発における想いを解説。

ポメラについては、役員が全員出席する開発会議ほとんどの役員が否定的な反応を示す中、一人の役員

「これは絶対に買う!」

熱く主張

その一人の意見によって商品化したそうです。

ヒットは熱意から生まれる

狂気というと、ちょっと怖いですが…、「偏愛」言い換えるとファンマーケティングの色彩を帯びてきます。

これだけコモディティ化(同質化)しやすい世の中において、偏愛がカギを握る。

偏愛個性、個性は独自を生むからです。

ちなみに同社では、商品開発における信念について、次の三ヵ条にまとめております。

(1)他社にはない独自性のある商品であること
(2)他社にはない機能を持っていること
(3)一部に深く刺さる「絶対欲しい」と思うような商品の作り込み

「他にはない」を生み出すならば、みんなが思いつくようなアイデアでは難しい

もちろん、単に変なものを出せば良いわけではありません。

やはり、つくり手が

「これ、(自分にとっては)凄く良い!」

偏愛(熱意)が爆発していることが前提となります。

さらに、誰か強烈な賛同者がいるものだとヒットの可能性は高い

だからこそ、「10人に1人で採用」という判断基準につながるのでしょう。

そうして、生み出された商品は

偏愛 → 強い共鳴 → トレンド → 一般の人(マス)の理解 → さらに広がる

というように雪だるま式支持が膨れ上がっていくわけです。

共感の起点をどうつくるのか?

ちなみに、ジャポニカ学習帳「おじいちゃんのノート」大ヒット“熱意の伝播” から生まれました。

〈JBpress / 2024年7月11日〉

おじいちゃんのノートとは、ノートを開いた際に中心部分が膨らまず、水平に開けるノート。

こちらは、有限会社中村印刷所中村輝雄社長

「絶対に売れる」

と自信を持って開発費用を投じて生まれた商品。

魂のこもったノートだったのですが、卸からは相手にされず、数千冊の在庫が残ってしまうという状況に…

それを救ったのは孫娘さん

「おじいちゃんがあまりにも可哀そう」

と思い、2016年、ツイッター(現:X)でこの商品をツイート

すると、このツイートにショウワノート株式会社が反応し、同社から発売されることに。

大ヒットにつながりました。

これも、卸には相手にされないながらも

社長 → 孫娘さん → ショウワノート

熱意が伝播して広がったという好事例でしょう。

キングジム、おじいちゃんのノートに共通するポイントは、共感の受け皿をつくるということ。

なぜなら偏愛商品は、最初はマイノリティ(ニッチ)だからです。

キングジム商品開発&決定という会社の仕組みづくり受け皿をつくり、おじいちゃんのノートは、SNSで共感者という受け皿をつくった。

まずは熱烈な仲間をつくる、これがカギなのです。

色んな仲間を頼る

仲間づくりという点で、もう1つご紹介したいのが三菱鉛筆の事例です。

同社の6代目社長数原滋彦さん野村総研で務めた後、2020年41歳の若さで社長に就任

コロナ禍で多くの企業がコストカットに乗り出す中、すぐさま新規事業のチームを結成し、オンラインレッスンサービスの「Lakit(ラキット)」をローンチしました。

〈賢者の選択サクセッション事業創継 / 2024年4月1日〉

そうしたチャレンジ精神で2022年、三菱鉛筆は過去最高を更新する680億円超の売上げをたたき出しています。

…さぞかし、敏腕でイケイケな社長さんかと思いきや、自らのリーダーシップの秘訣について

「自らの弱さを分かっていること」

と仰っています。

社長になる人の多くは、「自分は強い」「強くならなければいけない」という自意識を持っている。

しかし、自分は弱い

でも、それを受け入れて、仲間を頼れば良いと。

そのように数原さんは考えていらっしゃるのです。

社員が力を発揮すれば、自分は目立たなくてもいい。 社長は縁の下の力持ちで、主役は社員だ」

というご自身の想いが、6代続く三菱鉛筆のレガシーを活かし、快進撃を続ける要因になっているのだと思います。

キングジム宮本彰さんも、社員一人一人の偏愛を頼りにしている

だからこそ、同社では

「とにかくやってみて、ダメだったらやめればいい」

の精神を大事にしているそうです。

偏愛の力を信じ、偏愛を活かせる環境をつくる。

これこそ、イノベーションが常態化する企業の根本姿勢なのではないかと感じます😊

私も、こうした企業の社長に共感し、学びながら、人を活かせる企業を目指していきたいと改めて思いました。

本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます!


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