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「古着」ブームは「文化」になるのか?
column vol.1191
「3COINS」原宿本店が5月5日までの期間中、初の古着を販売。
〈FASHIONSNAP.COM / 2024年4月24日〉
古着の波が300円ショップにも及んでいるのですね…(汗)
そうなのです、
ただ今、古着は「第2次ブーム」と呼ばれるほど活況を迎えています。
もちろん、菅田将暉さんや小松菜奈さんなど、古着を愛する著名人の影響力もあるとは思いますが、他にもメルカリなど、生活者にとってリセール市場が身近になったことも大きいでしょう。
“古着の聖地” 東京・下北沢でも古着屋は年々増加していますし、他の街でも同様だと感じています。
そして最近では、ユニークな店舗も出てきている。
〜ということで、本日はそんな加熱する「古着市場」について、お話ししたいと思います。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ。
ここ3年で約1万トン
その活況ぶりを、まずは数字で確認いたと思います。
財務省の貿易統計によれば、中古の衣類やその他物品の輸入量は、ここ3年は1万トン前後。
過去10年間、右肩上がりで伸長しております。
〈AERA.dot / 2024年4月14日〉
京服飾専門学校ファッションビジネス科、学科長の石川誠さんは
「古着市場の拡大の要因は、消費者の古着へのアクセスの方法が変わってきたからだと思います。かつては高円寺や下北沢に代表されるような、70~80年代のいわゆるヴィンテージと呼ばれる古着を扱う店舗で購入するのが主でしたが、リユース、リサイクルを目的にブランド品を含めた古着を取り扱う店舗が全国的に増えたことで、古着に対する意識の垣根がなくなってきたのです」
と解説。
“一点もの” であることに希少価値を感じ、宝探しをするような楽しさがあることもウケている理由でしょう。
もう1つ石川さんのお話で面白いと思ったのが、学校の生徒募集の際に聞かれた高校生たちの声。
「どんな服が好きか聞くとファストファッションのブランド名は出てこず、『古着屋巡りにハマっているんです』という高校生が4人に1人はいます」
ということ。
「特定のブランドの新作を買う」という以前の常識が、今の若者にとっては希薄なっているのです。
これは、社会全体における「SDGsへのリテラシーの向上」ということも後押ししていると聞きます。
そして、何よりも古着屋さんの努力もあると感じます。
古着屋の新しい風
まず、「清潔感」に対しての配慮が強まっている。
例えば、デニムやスニーカーを中心に扱っているお店は古着特有の匂いがきつく、足を踏み入れることを躊躇する人も多かったのです。
しかし最近は、仕入れから店頭に出すまでの間のケアはどこのお店も徹底しています。
そうした甲斐もあって、「クリーン」なイメージが根付いてきたといえます。
また、総合リユースショップの「セカンドストリート」の存在が大きいでしょう。
3月末現在、店舗数は国内839店舗を中心に900店舗超。
同店では、一般的な古着屋の「買い付け型」ではなく、その土地に住む人たちが売りに持ち込んだものを販売する「地産地消型」で、各店舗で品ぞろえの趣向が異なるのが魅力となっております。
「一点もの(個性)」×「SDGs」で、時代の価値観に合っている。
また、石川さんは古着屋とのタッチポイントが増えたことをポイントにされておりましたが、「無人店舗」も増えていることも大きいと思います。
例えば、無人古着屋の「SELFURUGI」は、全国に14店舗を展開。
21年12月というコロナ禍真っ只中で1号店を出店したのですが、「非接触」が求められた時期を追い風にして顧客の心を掴んでいったのです。
また、無人店舗のGWのトピックといえば、大阪の無人古着店「STOPY」の3号店が、5月3日に大阪市天王寺区「玉造」に出店。
〈PRTIMES / 2024年4月25日〉
昨年10月に1号店(なんば店)を、そして今年の2月に2号店(布施店)をオープンしており、その存在感を強めています。
こうした無人店舗の存在が、より多くの生活者との接点を生み、新品と古着の垣根を溶かしていくことになるはずです。
「ブーム」を「文化」に
…とはいえ、「ブーム」である限り、いつかは熱が冷めてしまいます…
そんな中、そうした危機感に向き合って新たな挑戦を行う方もいらっしゃいます。
その方とは、古着屋の「カナリ 中目黒」「エブリシング イズ エブリシング下北沢」などを手掛けるメローカナリア代表、齋藤秀行さんです。
幻冬舎の箕輪厚介さんと組み、明日、「古着バー」をオープンします。
〈WWD JAPAN / 2024年4月9日〉
齋藤さんは
「私自身もこのブームは絶対に終わると考えている。古着業界にとって厳しい時代が来るからこそ、「何か新しい世界が作れたら」と言う気持ちで、あえて “お金っぽさ” を感じる箕輪さんに顧問を依頼した。私自身もアパレルだけではなく、カフェを展開したりなど様々なな事業を行う部分で、マルチに活躍する彼の考え方に共感できた」
と今回のチャレンジの意図をお話しされています。
そして、「バー」にした理由です。
箕輪さんは、その狙いについて、このように解説されています。
「『ファッションもコミュニティーなのでは』と考えた。ファッションが好きな人は、自分の好きな価値観や人との繋がりを共有するユニフォームのように服を選んでいる」。
クラフトビールも、以前「地ビールブーム(第1次)」が一旦落ち込んで、第2次ブームとして再び熱が高まっていますが
その牽引役となっている「よなよなエール」などを手掛ける「ヤッホーブルーイング」でもファンマーケティングをキーポイントにしています。
つまり、ビールというモノだけではなく、「同じ価値観の仲間と楽しい時間を過ごす」というコトを築き上げている。
「コミュニティの形成」こそがブームという一過性で終わらせず、「文化」として定着させるカギだと捉えているのです。
ということで、無人店舗やアプリを通じ、タッチポイントを増やしながら、コミュニティ(人と人のつながり)を通じて、ファン心理を高め、定着させていく。
広がりと深まりの両輪を走らせていくことで、古着はますます市民権を得ていくのでしょう。
こうした動きは、全ての業界で「一過性からの脱却」への大いなるヒントになりますね😊
ぜひ、ビジネスに活用してくださいませ。
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!