My history ㉚(終)
前回は情熱を注いだSHAPIT馬車道ジムを退職した経緯についてお伝えしました。
今回は本シリーズ最終回となりますので、その後から現在までを一気にお話したいと思います。
少し長くなりますが、よろしければ最後までお付き合いください。
2020年1月
前回お話したとおり、今年の1月はお誘いを受けたヘルスケアテックのベンチャー企業で仕事をしました。
都心の開放的でお洒落なオフィスに、高学歴で優秀な人たちが集い、聞こえてくるキーボードのタイピング音は爆速。
フィットネス企業で現場から叩きあがった僕には不相応に感じるほどのキラキラIT企業でした。
ただ、事業の選択と集中を迫られるフェーズにきていて、社内の大幅な人事や諸々の事情によりで僕がこの会社に籍を置いていたのは3ヶ月間で、2月以降は次の場所での準備にも動いていたので、フルタイムで出勤したのは実質1ヶ月間ほどでした。
たった1ヶ月間でしたが、その短期間で、僕は3つのプロジェクトに携わらせてもらいました。
テレビ収録
まず1つ目は、格闘技系やトレーニング、ヨガピラティス系の短いエクササイズをするフィットネス系のテレビ番組の制作に伴い、出演するタレントさんや、インフルエンサーの指導と演出を担当しました。
テレビ番組の制作や収録の現場に入って仕事をさせてもらったことは、とても貴重な経験となりました。楽しかったし。
健康体操制作
2つ目。
大手製薬会社が北海道のとある小さな町に、公式健康体操を提供することになり、そのスポンサー企業に所属していた僕がその体操を制作しました。
その町の人口や属性などを調査し、イメージに合った音楽を選び、楽しいながらも機能的な動作を組み込んでいきました。
この仕事をした時に、音楽の著作権問題についても勉強させてもらい、今僕がやろうとしていることにも役立っています。
↑体操と直接関係ありませんが、その町のCMです。
あのCMのパロディですね!(昭和生まれの人はわかりますよね。笑)
任天堂Switchフィットネス用ゲームソフト
そして3つ目。
任天堂Switchのフィットネス用ゲームソフトの制作の総監修をしました。
もちろん音楽やコリオも監修しましたが、登場する4人のバーチャルキャラクター動きも、僕のモーションキャプチャーです。
女性インストラクターのキャラクターも全部僕の動きで作られています。笑
10月29日発売で、今先行予約受付中です!(ちょっとだけ営業トークね。笑)
この1ヶ月間で僕の経験値は爆上がりしました。
2020年4月
今年の4月は、上述の企業から別の企業へ転籍して、前職で頓挫したプロジェクトを再構築しようとしました。
既存のフィットネススタジオを買い取り、そこを拠点に前職で一緒に仕事をしたインフルエンサーの人たち数十名をインストラクターとして育成して、リアル店舗とオンラインの両面で集客する計画でした。
新型コロナの影響は免れない
そんな中、新型コロナ禍で例にもれず僕らも打撃を受けました。
当初予定より資金調達も大幅に遅れたため、スタジオ買い取り計画も一度白紙に戻すことになり、オフィスの一部を改装して、オンラインレッスンの配信ができるように準備をしていくことになりました。
この時のスケジュールがとてもタイトで、僕は20人くらいのインフルエンサーの人たちと、ぞれぞれ個別でメールやチャットを使ってやりとりをしていました。
彼ら彼女らの拡散力による集客(インフルエンサーマーケティング)をして、集まってくれた人たちのコミュニティを作り、そこでレッスン配信や繋がりを作っていくという構想だったんですね。
成功イメージが持てなくなってしまった
一緒に仕事をしたインフルエンサーの人たちの多くは、時間がない中でも誠実に対応してくれました。
ですが、中には途中で返信が途絶えたり、こちらの問いかけに応えてくれない人がパラパラと出てきました。
この感じはマズいなと。。
僕らがやろうとしていた事業は、コンテンツや繋がりを提供して、フィットネスの観点から、身体の悩みや不安を解消していくというものでした。
ですから、集客はもちろん大事なのですが、その集まってくれた方々のことをより良くしていくということが、この事業の根幹なわけです。
一緒にプロジェクトを進めていたインフルエンサーの人数もギリギリで、1人抜けても厳しい状況でしたから、全員の協力が必要でした。
彼ら彼女らは、芸能事務所に所属してモデルやタレントをしていた人も多く、自分が目立つこと、自分が脚光を浴びること、自分がカメラに写ってなんぼ、という仕事をしてきています。
もちろん、その華やかさと影響力が企業の集客や売上の一助なっているし、誰でもできるような仕事ではないし、それ自体は素晴らしいことです。
僕らトレーナーやインストラクターも、イベントやレッスンで脚光を浴びることはあるし、集客力も必要だし、タレント性やカリスマ性を求められる一面もあります。
僕もイベントやクラスでステージに立って、大人数の前でパフォーマンスしてきました。
しかし。
しかしです。
僕らの仕事の本質は相手のサポートをすることです。
目立つことが必要な時もありますが、裏側からサポートするというマインドがないと、中長期的に活躍していくのは難しいと思っています。
インフルエンサーの人たちは、周りの人たちにサポートされ、光を当ててもらってきた側の人たちで、そもそもの性質が違うから、集客はできても、その先のリテンションについては、成功イメージが持てなくなり「無理ゲー」じゃないかと思うようになりました。
さらに、仕事上のメールやチャットをシカトしてしまうような、社会人としての基本動作や道徳感が備わっていない人が紛れていると、その綻びは広がるだけで、全員と信頼関係を築くのは難しいと感じました。
20歳前後の子なら、基本動作から指導して育てていくことも必要かもしれませんが、30歳前後の大人に対してそれはちょっとキツい。。
問題があった人はほんの数人でしたが、そこに労力を割けば明らかに生産性が落ちます。
この時僕は、過去に在籍していたフィットネスクラブにいた、ある業務委託のインストラクターのことを思い出しました。
僕の部下だったスタジオ担当のスタッフが、そのインストラクターに何度も何度も電話しているのに、一向に応答も折り返しもないと。
で、スタッフの上司で役職者である僕が電話をしたら一発で出るんですね。
これは完全に人を選んで仕事をしている人の典型なわけです。
自分の利害関係が最優先で、この人のことはスルーしてもいいけど、この人には尻尾を振っておこう、みたいな。(僕がいちばん嫌いなタイプの人種です)
今回の一部のインフルエンサーからすれば、僕もなめられてるということです。
もちろん、なめられる僕にも問題があります。
実力、影響力、伝える力、巻き込む力・・・どれかが不足しているのかもしれないし、全部足りなかったのかもしれない。
でもだからといって、相手や周りに迷惑がかかるとわかっている行為には変わりがないし、僕の個人的な感情を差し引いても、そういう仕事の仕方をする人とは信頼関係が築けないし、大切な仕事を任せることはできないですね。
フォロワーを何万人も抱えているインフルエンサーでなくても、周りの人をより良くしたいと本気で思っているトレーナーやインストラクターは全国にいます。
地道な活動になったとしても、牛歩の進捗だとしても、僕はそういった人たちと組んで仕事をする方が合っているなと思いました。
繰り返しになりますが、一緒に仕事をしたインフルエンサーの多くは、最後まで誠実に対応してたし、こんな僕に気遣いまでしてくれた人たちもいました。
かかる迷惑を最小限にするために
僕はこのプロジェクトの最高責任者で、コリオ作成やインストラクター養成なども含め、全て僕が担当することになっていたので、僕がいなければ成り立たないものでした。
ここで僕が抜けたら、ここまで協力してくれた人に迷惑がかかるし、プロジェクトそのものが頓挫することはわかっていました。
でも、実際に集客を始めて、色々なことが本格的に動き出した後に「やっぱり抜けます」なんてことになれば、より迷惑をかける範囲が広がり、コストや工数も膨れ上がり、外部からの信用も失うことになります。
だから「抜けるなら今しかない」ということで、5月から始動する予定だったプロジェクトを4月末に降りることにしました。
起業へ向けて
今度こそ自分で事業をやろうと思っています。
ただ、またしても突然辞めてしまったものですから、当然次の準備をしていたわけでも、資金を貯めていたわけでもなくて。。
現在はその準備中です。
5月から現在までは何をしているかというと・・・
日中は出張パーソナルトレーナーとして活動していて、夜は運送会社でトラックドライバーのアルバイトをして、自己資金を集めているところです。
そんな生活ですから、毎日寝不足ぎみで身体はしんどい時もあります。
が、自分で決めた道を進んでいるので、プレッシャーはありますけどストレスはありません。笑
今一番苦労しているのは資金調達ですが、来年には良い報告ができるように
したいと思っています!
今後の発信について
元々、今のこの状況に至る経緯をお話する目的で始めた「My hisutoryシリーズ」でしたが、気づけば30回という長編となりました。
僕自身も、学校や職業、スポーツや付き合う人など、どういう基準で
選択してきたかを再認識できたし、自分がどういう人間で、これからどうなっていきたいのかということが、よりクリアになり、良い振り返りとなりました。
また、多方面からさまざまなお声がけをいただく機会も増え、自己開示することの大切さを学びました。
今後は、数日間のインターバルをいただいた後、起業へ向けた準備で大変なこと、楽しいこと、迷っていることなどをはじめ、学んだことや気づいたことを現在進行形のnoteとして発信して、僕自身の思考軸を太く強化していきたいと思います。
シリーズ最終回も最後までお付き合いくださり、本当にありがとうございました。
改めまして、今後ともよろしくお願い致します。
青野 達彦