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うしととら

縦糸横糸

10年前の”東北”で始まった、30路男二人の活動。5年後、縦糸横糸合同会社を仙台で創立し、今、40路。

知っている、わかっているつもりで生活し、見聞きしていたけれど、実は何も知らない、わからないことだらけ。なぜだか知ろう、わかろうとしなかったんだと気づかされ、廻り合わされた10年前でした。

知らない、わからない”東北”に何があったのか、何があるのか、歩いて見て聞いて、組み合わせ、伝えてみよう。そこに縦糸横糸の原点があります。

<あの日から 東日本大震災10年>被災地の民俗芸能 支え つなぎ 守る 東京新聞 2021年3月12日

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丑寅

東北。北東、丑寅(うしとら)の方角、鬼門。蝦夷(えみし)なる人か鬼か、何だかわからない者たちが住む地。

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その強烈なイメージ・レッテルを押し貼られながらも、ひたむきに豊かな自然に向き合い、想像し、生み出し、満たされようとした先人の想いを、今も伝わる多様多彩な「地域文化」に見出すことができます。

食べたい、踊りたい、美しくありたい、子孫が平和に生きていってほしい。そんな願い祈りが、芸能や祭りに込められています。

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宮城県沿岸を中心に伝わる郷土芸能「法印神楽(ほういんかぐら)」。この神楽は舞いながら、とても複雑な足踏みをしますが、これを「(トラ)を踏む」といいます。地面の邪気を祓うために踏み締める「反閇(へんばい)」という呪術の一種で、反閇は能の翁や三番叟でも使われていたり、岩手の有名な芸能 鬼剣舞(おにけんばい)の名前の元にもなっています。反閇や寅を踏むと、地面の悪霊が鎮まり(鎮魂)清らかになって、私たちが生きる糧である作物が生み出され育まれます。大切な祈りの方法です。

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今年の干支は(うし)。丑の字は、握っていた指、腕をのばしてモノを掴もうとする形の象形文字と言われています。紐にも通じ、土の中で草木の根が紐のように結ばれ合い、春を待って忍んでる様子。芽が出る前段階にあって、着実な準備をしているさまだそうです。

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10年後の東北

縦糸と横糸を、ほどいては結び直し、新たな方法(仕組み)を編み出していくことで、次世代へ繋ぎたい「東北」像を織り上げる。それが縦糸横糸合同会社の社名の由縁です。

丑寅の方角、東北に関わる私たちは、次の人たちに向けて、東北で生きる糧や希望を生み出せるよう、着実に物事を進める準備をする、”うしとら”な存在でいたいなと思っています。

鬼か人か。下か上か。裏か表か。

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東北の、そんないくつもの目や考えや楽しみ方、関わり方を縦糸横糸合同会社は提供してまいります。そのかわりに、次の10年2031年には、こんな見方や味方、なりわいやあきないが増えているといいな、そう思っています。

2021年3月12日 縦糸横糸合同会社 一同(今は2人)

※このnoteでは、私たちの生活に密着した干支や二十四節気をもとに、芸能をはじめとして地域文化を綴っていきます。


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