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#18|10日間で作文を上手にする方法|2024.11.28

笠井康平『10日間で作文を上手にする方法』

よんだ。

制作集団・いぬのせなか座の笠井康平による「文章術」論。前回の文フリ(文学フリマ東京38)で買って積読になってたけど、このタイミングで読んだ。

ブックレットでさくっと読めるわりに、現在の自分の関心にフィットする、かなりアクチュアルな内容だった。

とはいえ、タイトルに惹かれ、縋るように本書を手に取ったひとは、きっと面食らう。「10日で作文を上手にする方法」と銘打ちながら、本書は、肝心なその「方法」をいっこうに教えてくれないからだ。そこで思案されるのはむしろ、人々がそんな「文章術」を欲するとき、その背景にあるのはいったいどんな思考か、リテラシーとは、読むとは、書くとは何か、といった俯瞰的かつ根本的な問いである。タイトルに鼻白むひとほど、腹落ちする点が多いと思う。

一箇所、自分が付箋を貼った箇所を引用しとく(なんで貼ったかは、紙幅に余裕がなくて書けない)。

使い古された言い伝えになぞらえれば、「何を書くか」も「どう書くか」も「誰が書くか」も「なぜ書くか」も「いつ書くか」も副次的な問いであって、「どこで書くか」こそが致命的である。あなたがどの言語体系で生まれ育ち、どの文化圏に暮らしながら、どのような制作目標の影響下に置かれて、どのメディアが市場競争の優位に立つ情報環境で、どんな価値観が支配的な地域に向けて、どの種類の文章を読み・書くのか。その選択はーーといってもほとんど選びようがないのにーーあなたが従い、抗い、捨てるべき「文章術」の自由度をかなりのところまで規律する。

Day12のラストが「つづく」となってるから、また続編が出るのかもだし、出るなら読みたいが、それは本質的な問題じゃない。「(10日間で)作文を上手にする方法」をめぐる思考に「おわり」は来ない。

今週末の文フリ(文学フリマ東京39)行くよ。ほぼ事前情報は知らないけど、なにかしら買う。

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