竹永知弘  

SLOTH MAGAZINE 🦥 1991年生。日本現代文学研究者/ライター。 書いてきたもの、など↓ https://researchmap.jp/t-takenaga

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最近の記事

#17|2024.11.21

HBO『THE PENGUIN -ザ・ペンギン-』 --- Now Writing ---

    • #16|2024.11.14

      吟遊詩人の世界 --- Now Writing ---

      • #15|霊的最前線と政治的最前線|2024.11.07

        武田崇元・横山茂雄『霊的最前線に立て!ーーオカルト・アンダーグラウンド全史』 よんだ。 学研『ムー』創刊時に顧問を務め、オカルトブームの火付け役となった武田崇元と、オカルト研究者であり作家としても知られる横山茂雄が対談形式で、オカルト史・アンダーグラウンド史を縦横無尽に語る、という内容の分厚い本。でも、対談形式なので意外とすいすい読める。 魚豊『ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ』とか、小川哲『スメラミシング』とかと読みたい。 正直まったく知らない固有名詞がバン

        • #14|家|2024.10.31

          ホーム・スイート・ホーム 家族で四国いった。その道中で、香川県の丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(MIMOCA)で、企画展「ホーム・スイート・ホーム」みた。 会場には「ホーム」(家、家族、故郷、祖国 etc.)をテーマに、複数の作家の作品が並べられていた。個人の問題であると同時に、社会や政治の問題である「ホーム」というテーマの多面性をコンパクトに示す、よい展示だったと思う。 巡回展で、去年には大阪の国立国際美術館で開催されてたらしい。神戸在住なので、そっちで見たほうが近くて楽

          #13|料理の話|2024.10.24

          坂口恭平『新装版 cook』 よんだ。 2018年にでた同名の料理本の新装版。著者がつくる日々の料理の写真に、手書きの一言コメントを添えたハンドメイド感溢れる料理本で、読んでてたのしい。 プラス興味深いのは、料理が著者の「躁鬱病」の治療にそのままなっていく点である。 それは「料理」という行為のふたつの側面と関係している。つまりひとつに、料理は超根源的かつ超身近な「創造」で、もうひとつに、料理は「毎日」する必要がある作業だということである。料理さえしてれば(上手く作れた

          #13|料理の話|2024.10.24

          #12|ムーミンと星新一|2024.10.17

          横道誠『なぜスナフキンは旅をし、ミイは他人を気にせず、ムーミン一家は水辺を好むのか』 タイトルで興味もって、よんだ。 タイトルの問いに一言で答えるなら、それは彼らが「ニューロマイノリティ(脳の少数派)」的な特性を持つからだ、ということになるのだろう。自身も「ニューロマイノリティ」(「自閉スペクトラム症」)の当事者だという著者は、そこから「ムーミン・シリーズ」の作者トーベ・ヤンソンもまた「ニューロマイノリティ的特性」を有していたのかもしれない、という仮説を立てる。本書冒頭、

          #12|ムーミンと星新一|2024.10.17

          #11|空音央『HAPPYEND』みた|2024.10.10

          空音央『HAPPYEND』 シネ・リーブル神戸でみた。 作中だとたぶん東京が舞台の設定だが、撮影の大半は神戸で行なわれたらしい。たとえば、主人公のひとり・ユウタが、自分たちの遊び場の「クラブ」(という名の廃墟っぽいところ)まで、盗み出したウーファーを台車で運ぶ道は、あまりにも見慣れた場所で、神戸に住んでて良かった系映画がまた増えた。 もちろん、そのひとつは、本作のタイトルと確実に響きあう濱口竜介の映画『ハッピーアワー』だ。 あの『ハッピーアワー』から約10年、合間にコ

          #11|空音央『HAPPYEND』みた|2024.10.10

          #10|最近のWebのしんどさ|2024.10.03

          山本龍彦『アテンション・エコノミーのジレンマーー〈関心〉を奪い合う世界に未来はあるか』 あんまこういうジャンルの本は手に取ってこなかったけど、最近の自分の関心との重なりもあって、よんだ。 その関心を一言でいえば、アテンション稼ぎと、広告に埋もれた最近のWeb、まじで不便では?ということに尽きる。 ちょっと言葉の意味を確認するのに数秒のCMを見せられたり、読みたい記事のあいだに無数のトキシックな広告が挟まってたり、急にムービーが流れ始めて聞いてたポッドキャストが止まったり

          #10|最近のWebのしんどさ|2024.10.03

          #9|魚豊|2024.09.26

          魚豊『ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ』 昨年末に1巻が出て、1年経たないうちにしっかり完結。 このスピード感が、まずすごい。このテーマをこの速さで語り切れちゃうってのは、本当に現役マンガ家最速級かも。 デビュー作『ひゃくえむ。』が「100m走」、続く出世作『チ。』が「地動説」と、ニッチな題材ながら、壮大な物語を生み出してきた作者が、次に題材に選んだのが「陰謀論」と聞いたときには、思わず膝を打った。

          #9|魚豊|2024.09.26

          #8|豊岡演劇祭2024|2024.09.19

          マームとジプシー『Chair/IL POSTO』 演劇みた。 豊岡演劇祭2024。 2020年から開催されている街おこし的な演劇祭。何年か前から豊岡に拠点を移した劇団・青年団の平田オリザがフェスティバルディレクターを務める。 毎年この季節になると、いろんなアーティストやカンパニーが豊岡(とか、城崎温泉とか)に集まって、劇場以外を使った施設で公演があったり、いろんなお店で演劇関連のイベントが開催されたりで、ぎゅっと集中して演劇成分を吸収できて、結構たのしい。 真面目な

          #8|豊岡演劇祭2024|2024.09.19

          #7|おしゃれでかわいい本買った|2024.09.12

          A24 『Hey Kids, Watch This!』 おしゃれでかわいい本を買った。 ご覧のとおり、おしゃれでかわいい。一家に一冊あるといいと思う。 有名どころだと『ミッドサマー』や『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』などの制作配給で知られる映画スタジオ・A24が発売した映画紹介本。サイズとしては、図鑑をひとまわり小さくしたくらいの感じ。 本だけの値段なら5000円ほど(38ドル)だけど、いろんな費用がかかって結局、10000円弱くらいで買った(お

          #7|おしゃれでかわいい本買った|2024.09.12

          #6|神戸の話|2024.09.05

          安田謙一『神戸、書いてどうなるのか』 神戸に住むようになってから10数年。もう数年経てば、人生の半分以上を神戸で過ごしたことになる。 神戸ポートタワー、六甲山、鉄人28号の巨大モニュメント、元町映画館、野生のイノシシなど、神戸がテーマの800字ほどのエッセイが108つほど収録されてて、おなじ神戸在住の人間として楽しく読んだ。 大学時代には、この本に出てくる口笛文庫や、サンボーホールの大古本市で時々バイトさせてもらってたので、店主の顔がぱっと思い浮かぶ古本屋さんの名前がた

          #6|神戸の話|2024.09.05

          #5|箱男とインターネット|2024.08.29

          石井岳龍『箱男』 頭からダンボールを被り、長方形にくり抜いた覗き穴から、一方的に世界を眺める者となり、都市を徘徊する「箱男」(永瀬正敏)。元カメラマンの彼は、街を撮影しながら、思考をノートにひたすら書き溜めている。そこに迫り来るのが、偽医者(浅野忠信)、軍医(佐藤浩一)、看護師の葉子(白本彩奈)、ワッペン乞食(渋川清彦)らで……。 正直言うと、前半のコミカルなアクションをもっと見たかった。箱男が映画泥棒のアイツみたいに街中を走り回ってるだけで、結構楽しかったし。自撮り棒的

          #5|箱男とインターネット|2024.08.29

          #4|夕日みた|2024.08.22

          『アンアン』『ポパイ』のデザイン 新谷雅弘の仕事 3泊4日の旅行の道中、島根県立美術館の新谷雅弘展に寄った。 新谷雅弘のことは、初めて知った。デザイナー・堀内誠一の弟子で、『anan』『POPEYE』『BRUTUS』『Olive』とか、超知ってるマガジンハウス系のおしゃれ雑誌(あと、文芸誌『鳩よ!』)をデザインしてて凄い。DTP以前の職人的な雑誌制作と、当時のカルチャーの雰囲気を味わえる展覧会だった。雑誌風の図録も展覧会以上の情報量で良い(個人的にはもっと雑誌っぽくてもよ

          #4|夕日みた|2024.08.22

          #3|黒沢清『Chime』みた|2024.08.15

          黒沢清『Chime』 黒沢清『Chime』みた。 このポスターの橋のシーン、悪夢版『ルックバック』の畦道だった(映画内の実際のシーンと鏡写しなのも不気味)。 料理教室の講師の松岡(吉岡睦雄)が、レッスン中に、生徒の田代(小日向星一)から「謎のチャイムが聞こえる」「誰かがメッセージを送ってきている」と告げられることにはじまる、45分間の恐怖映画(その田代の衣装のなんとも微妙な袖丈からして不穏で最高)。 黒沢清の映画を観るとき、わたしの脳裏にしばしば浮かぶのは、癌細胞(が

          #3|黒沢清『Chime』みた|2024.08.15

          #2|人類総シンパイ時代|2024.08.08

          楊駿驍『闇の中国語入門』/ケルシー・マン『インサイド・ヘッド2』 キラキラした、意識高めのワードが並ぶ、どこか現実味を欠いた中国語教科書の更新を目指したという『闇の中国語入門』。「何らかの「闇」の一面を日常的に抱えて生きているという状態のほうが、はるかにリアルなのではないか」。そう問う著者は「心の闇」「社会の闇」をめぐる語彙を紹介しつつ、人間を、世界を「闇」から眺め直す。 冒頭、印象的な引用がある。中国旧満州が舞台の、小説家・小川哲による直木賞作品『地図と拳』の一節である

          #2|人類総シンパイ時代|2024.08.08