竹永知弘  

SLOTH MAGAZINE 🦥

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最近の記事

#14|家|2024.10.31

ホーム・スイート・ホーム 家族で四国いった。その道中で、香川県の丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(MIMOCA)で、企画展「ホーム・スイート・ホーム」みた。 会場には「ホーム」(家、家族、故郷、祖国 etc.)をテーマに、複数の作家の作品が並べられていた。個人の問題であると同時に、社会や政治の問題である「ホーム」というテーマの多面性をコンパクトに示す、よい展示だったと思う。 巡回展で、去年には大阪の国立国際美術館で開催されてたらしい。神戸在住なので、そっちで見たほうが近くて楽

    • #13|2024.10.24

      江戸川乱歩『江戸川乱歩 トリック論集』 --- Now Writing ---

      • #12|ムーミンと星新一|2024.10.17

        横道誠『なぜスナフキンは旅をし、ミイは他人を気にせず、ムーミン一家は水辺を好むのか』 タイトルで興味もって、よんだ。 タイトルの問いに一言で答えるなら、それは彼らが「ニューロマイノリティ(脳の少数派)」的な特性を持つからだ、ということになるのだろう。自身も「ニューロマイノリティ」(「自閉スペクトラム症」)の当事者だという著者は、そこから「ムーミン・シリーズ」の作者トーベ・ヤンソンもまた「ニューロマイノリティ的特性」を有していたのかもしれない、という仮説を立てる。本書冒頭、

        • #11|空音央『HAPPYEND』みた|2024.10.10

          空音央『HAPPYEND』 シネ・リーブル神戸でみた。 作中だとたぶん東京が舞台の設定だが、撮影の大半は神戸で行なわれたらしい。たとえば、主人公のひとり・ユウタが、自分たちの遊び場の「クラブ」(という名の廃墟っぽいところ)まで、盗み出したウーファーを台車で運ぶ道は、あまりにも見慣れた場所で、神戸に住んでて良かった系映画がまた増えた。 もちろん、そのひとつは、本作のタイトルと確実に響きあう濱口竜介の映画『ハッピーアワー』だ。 あの『ハッピーアワー』から約10年、合間にコ

        #14|家|2024.10.31

          #10|最近のWebのしんどさ|2024.10.03

          山本龍彦『アテンション・エコノミーのジレンマーー〈関心〉を奪い合う世界に未来はあるか』 あんまこういうジャンルの本は手に取ってこなかったけど、最近の自分の関心との重なりもあって、よんだ。 その関心を一言でいえば、アテンション稼ぎと、広告に埋もれた最近のWeb、まじで不便では?ということに尽きる。 ちょっと言葉の意味を確認するのに数秒のCMを見せられたり、読みたい記事のあいだに無数のトキシックな広告が挟まってたり、急にムービーが流れ始めて聞いてたポッドキャストが止まったり

          #10|最近のWebのしんどさ|2024.10.03

          #9|魚豊|2024.09.26

          魚豊『ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ』 昨年末に1巻が出て、1年経たないうちにしっかり完結。 このスピード感が、まずすごい。このテーマをこの速さで語り切れちゃうってのは、本当に現役マンガ家最速級かも。 デビュー作『ひゃくえむ。』が「100m走」、続く出世作『チ。』が「地動説」と、ニッチな題材ながら、壮大な物語を生み出してきた作者が、次に題材に選んだのが「陰謀論」と聞いたときには、思わず膝を打った。

          #9|魚豊|2024.09.26

          #8|豊岡演劇祭2024|2024.09.19

          マームとジプシー『Chair/IL POSTO』 演劇みた。 豊岡演劇祭2024。 2020年から開催されている街おこし的な演劇祭。何年か前から豊岡に拠点を移した劇団・青年団の平田オリザがフェスティバルディレクターを務める。 毎年この季節になると、いろんなアーティストやカンパニーが豊岡(とか、城崎温泉とか)に集まって、劇場以外を使った施設で公演があったり、いろんなお店で演劇関連のイベントが開催されたりで、ぎゅっと集中して演劇成分を吸収できて、結構たのしい。 真面目な

          #8|豊岡演劇祭2024|2024.09.19

          #7|おしゃれでかわいい本買った|2024.09.12

          A24 『Hey Kids, Watch This!』 おしゃれでかわいい本を買った。 ご覧のとおり、おしゃれでかわいい。一家に一冊あるといいと思う。 有名どころだと『ミッドサマー』や『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』などの制作配給で知られる映画スタジオ・A24が発売した映画紹介本。サイズとしては、図鑑をひとまわり小さくしたくらいの感じ。 本だけの値段なら5000円ほど(38ドル)だけど、いろんな費用がかかって結局、10000円弱くらいで買った(お

          #7|おしゃれでかわいい本買った|2024.09.12

          #6|神戸の話|2024.09.05

          安田謙一『神戸、書いてどうなるのか』 神戸に住むようになってから10数年。もう数年経てば、人生の半分以上を神戸で過ごしたことになる。 神戸ポートタワー、六甲山、鉄人28号の巨大モニュメント、元町映画館、野生のイノシシなど、神戸がテーマの800字ほどのエッセイが108つほど収録されてて、おなじ神戸在住の人間として楽しく読んだ。 大学時代には、この本に出てくる口笛文庫や、サンボーホールの大古本市で時々バイトさせてもらってたので、店主の顔がぱっと思い浮かぶ古本屋さんの名前がた

          #6|神戸の話|2024.09.05

          #5|箱男とインターネット|2024.08.29

          石井岳龍『箱男』 頭からダンボールを被り、長方形にくり抜いた覗き穴から、一方的に世界を眺める者となり、都市を徘徊する「箱男」(永瀬正敏)。元カメラマンの彼は、街を撮影しながら、思考をノートにひたすら書き溜めている。そこに迫り来るのが、偽医者(浅野忠信)、軍医(佐藤浩一)、看護師の葉子(白本彩奈)、ワッペン乞食(渋川清彦)らで……。 正直言うと、前半のコミカルなアクションをもっと見たかった。箱男が映画泥棒のアイツみたいに街中を走り回ってるだけで、結構楽しかったし。自撮り棒的

          #5|箱男とインターネット|2024.08.29

          #4|夕日みた|2024.08.22

          『アンアン』『ポパイ』のデザイン 新谷雅弘の仕事 3泊4日の旅行の道中、島根県立美術館の新谷雅弘展に寄った。 新谷雅弘のことは、初めて知った。デザイナー・堀内誠一の弟子で、『anan』『POPEYE』『BRUTUS』『Olive』とか、超知ってるマガジンハウス系のおしゃれ雑誌(あと、文芸誌『鳩よ!』)をデザインしてて凄い。DTP以前の職人的な雑誌制作と、当時のカルチャーの雰囲気を味わえる展覧会だった。雑誌風の図録も展覧会以上の情報量で良い(個人的にはもっと雑誌っぽくてもよ

          #4|夕日みた|2024.08.22

          #3|黒沢清『Chime』みた|2024.08.15

          黒沢清『Chime』 黒沢清『Chime』みた。 このポスターの橋のシーン、悪夢版『ルックバック』の畦道だった(映画内の実際のシーンと鏡写しなのも不気味)。 料理教室の講師の松岡(吉岡睦雄)が、レッスン中に、生徒の田代(小日向星一)から「謎のチャイムが聞こえる」「誰かがメッセージを送ってきている」と告げられることにはじまる、45分間の恐怖映画(その田代の衣装のなんとも微妙な袖丈からして不穏で最高)。 黒沢清の映画を観るとき、わたしの脳裏にしばしば浮かぶのは、癌細胞(が

          #3|黒沢清『Chime』みた|2024.08.15

          #2|人類総シンパイ時代|2024.08.08

          楊駿驍『闇の中国語入門』/ケルシー・マン『インサイド・ヘッド2』 キラキラした、意識高めのワードが並ぶ、どこか現実味を欠いた中国語教科書の更新を目指したという『闇の中国語入門』。「何らかの「闇」の一面を日常的に抱えて生きているという状態のほうが、はるかにリアルなのではないか」。そう問う著者は「心の闇」「社会の闇」をめぐる語彙を紹介しつつ、人間を、世界を「闇」から眺め直す。 冒頭、印象的な引用がある。中国旧満州が舞台の、小説家・小川哲による直木賞作品『地図と拳』の一節である

          #2|人類総シンパイ時代|2024.08.08

          #1|読書のあとの暴動|2024.08.01

          ナージャ・トロコンニコワ『読書と暴動ーープッシー・ライオットのアクティビズム入門』 東京都知事選のいろいろを見て、疲れてたときに読んで元気をもらった本(自分は都民じゃないけど)。 カラフルな目出し帽をかぶって抗議活動する、ロシアのアート集団、プッシー・ライオット。著者は、その創立メンバーである。2011年の結成以降、「パンクフェミニズム」を合言葉に、ときに大統領プーチンに、ときにロシア正教会大司祭に、セクシスト、レイシスト、ファシストに、勇猛果敢な「政治的芸術行動」を行な

          #1|読書のあとの暴動|2024.08.01

          #0|noteはじめる🦥|2024.07.31

          気軽に文章を書いて、自由に公開できる場所がほしいので、noteをはじめる。 昔ならTwitterとかに書けたのかもしれないけど、いまはそんな気分でもないので、ここに書き貯めていくことにする。何かしらのカルチャー系の話題で、その週に考えたことを、雑に吐き出す場所にしようと思う。 唯一決めているのは、毎回800字で書くこと。あんまり長い文章だと、読むのも書くのも疲れるから、それぐらいがいい気がする。 更新頻度は、週1が目標。 連載タイトルは、いろいろ迷って「SLOTH M

          #0|noteはじめる🦥|2024.07.31