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誰にも会えない

若いことは、辛い、と思う。若いね、羨ましい、と会社の人に言われても、どこが、と思ってしまう。早く楽になりたい。自分の一番の理解者をささっと見つけて誰にも何も言われない世界に行きたい。

そんなこと考えたこともなかった、とか、そんな人初めて、とか、聞いたことない、とか、変わってるね、とか。常識的な、普通な、思考から抜け出せない人たちによる、型にはめられない私を型にはめて理解できる形にするための、発言。そんなこと考えたこともなかったって言えるのは、そんなこと考えたこともなかった自分を恥ずかしいとか全く思わないからだ。別に恥ずかしいと思えというわけではない。ただ何も、自分に対して疑問を持たないで居られるところが、恵まれているなと感じる。自分には疑問を持たず、私の存在に対してのみ大きな疑問を持てるところが。

私は本当に、誰にも会えない。誰かに会っても、ずっと一緒にいて話していたとしても、ずっと一人でいたとしても、もう、何も変わらない、変われない。

みんなは、昔住んでいた町を見に行くのは楽しいものだと言う。私はよくそんなことができるなと思う。懐かしいという感情は、マイナスに近い感情だというのが私の感じかただからだ。哀しい、寂しい、失った、という方の感情に限りなく近く、胸が痛む。痛みやすい胸をしている。

ブラック企業だった。同期の事が好きだった。同期が薬物でもやっているかのような表情をするようになって、そんな表情を見るのが辛くて、だから早く辞めて欲しいと思っていた。私も辞めたかった。だけど、大好きな同期の唯一の味方だった私が辞めたら、同期はこんな会社に一人取り残されて、死んじゃうんじゃないかと思った。だから、私は平気なふりをして、同期の後に辞めると決めて、笑顔でいた。そんなことが、できた。ボロボロになった。2ヶ月前のこと。

今は転職をして、普通の人たちと働いている。少しづつ心身共に人間に戻れてきて、だけど、ずっと、何気ない辛さがほんのりと残る。それは、全員が全員地獄を知っている人ではないから。長い間ストレスにさらされる経験は人を老けさせるが、そうでなくとも人は年をとれるからだ。釣り合わない、と思ってしまう。私が23だなんておかしいと。もっと35歳くらいでも可笑しくないのにな、と。


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