口コミ発生のメカニズム
本日は、口コミ集客の考え方と実践方法を具体的に書かせていただきました。私が30年前より今日まで体験してきたことをもとに口コミを分析した内容となっています(7800文字にもなってしまいました)
お金をかけずに新規客を増やしたいという方にはある程度参考になるかと思いますので良かったら最後までご覧下さいね。
では、はじまり、はじまり~ (^^♪
●口コミ集客を考えるようになった訳と結果
私の職業は
学生服の小売りです。
もともと営業が嫌いだったので、お客様の所へ行くのがとても苦手でした。営業が嫌いというよりも、断られるのが嫌いだったのかもしれません。
しかし、学生服の予約を頂く為にはこの方法しかないと考え、雨の日も風の日も、毎晩飛び込み営業をして学生服の説明に回っていました。その為かなりのストレスを抱えていた事を思い出します。
まだライバル店が、飛び込み営業をしていなかったという事と、私の店に宣伝広告費がなかったというのも飛び込み営業を始めた理由の1つです。
その頃、6年生の名簿を集めるのに、市役所で閲覧ができたので、その名簿をもとに営業が出来たのは幸いでした。
しかし、1件閲覧するのにかかる費用は300円もするので1000件閲覧すれば、30万円の出費でかなりの痛手でした。
しかしこの条件はどこも同じです。
そして、いずれ私がやっていた飛び込み訪問営業は真似されるのではないかと考えていたのです。
案の定、すぐに飛び込み訪問営業は他店もやりだし、この方法では差別化が出来なくなりました。
もともと、営業が嫌いだった私は、外に何か方法はないかと試行錯誤しました。そこで口コミで集客できないかと考える事に。これが口コミ集客のきっかけとなったわけです。
★口コミ集客の道のり
口コミ集客とは
既存客から新規客を紹介して頂くやり方です。
それには、既存客に通常以上の満足をしていただき、喜んで頂き、さらに言えば、感動していただく必要があるのではと考えました。
あの手この手と実践を重ね、時間はかかりましたが、徐々に口コミで集客が出来るようになったのです。
口コミで来店して頂けるという事は、広告宣伝費がかかりません。
その為顧客獲得コストが以前の3分の1以下になりました。
飛び込み訪問営業や売り込みもしていないので、私自身のストレスもほとんどなくなり仕事自体が楽しくなりました。
売り込みをしないという事は、お客様へのストレスを与える事もありませんので、今までよりフレンドリーな関係を築く事も出来たのです。
肝心な売り上げも、飛び込み訪問営業をやっていた頃に比べると3.5倍に。その為、今までやっていた婦人服の取り扱いはやめ、学生服専門店となりました。
本当に色々と良いことずくめです。
●口コミが発生する訳を考えてみました
口コミ集客が本格的に成功し出してから、かれこれ20年以上経ちますが、その間どうして口コミが起こるのかという事を自分なりに考え続け、今に至っています。
口コミはどこでどのように起きているのかという事は正確には分かりません。色々な本を読んでみても、現場の詳しい声は書かれていませんでした。
その為、推測するしかないと思ったわけです。
私の考えですが
口コミ発生のメカニズムを予測も含めて下記に書かせていただきます。
・口コミが起こる原因
「口コミが起きる時ってどんな時なのだろう?」
この事を自分に当てはめてみると、どんな時に口コミをしているのかという事がある程度分かります。
それは、外的要因(自分では予想していなかった場合)で
・非常に珍しい体験をした時
・とても感動した時
・とてもうれしかった時
・衝撃的な事に遭遇した時
・とても嫌な思いをした時
つまり、日常生活とはかけ離れた体験をし、大きく心を揺さぶられた時に人に喋りたくなり、いわゆる口コミが発生するのではと推測しました。
たとえば珍しい体験でしたら、目の前で交通事故を見てしまい、自分が救急車を呼んだ場合。これは、先日私の妻が体験したことで、私には5回以上視点を変えて伝えてきました。それから何人もの知り合いにこの話をしていました。
よほど衝撃的で驚いた出来事だったのでしょう。
あと、とても感動した時とは、ある場所で素晴らしいサービスを受けた場合の事をイメージすると分かります。
私は以前台湾に旅行に行ったことがあるのですが、市街観光でバスガイドさんから珍しい(素晴らしい)サービスを受けたことがあります。
バスガイドさんがトイレ休憩のときに、タラップの途中に立ち、降りる方のひじに手を当てエスコートしてくれたのです。
ちょっとした事ですが、こんなサービスは受けたことがなかったので40年以上も前の出来事ですが、時々人に喋っています。あっ、ここでも書いていますね(笑)
それから嫌な思いをした時というのは
たとえば、あるお店に入って失礼な対応をされた時をイメージして頂ければ誰でも思い当たる節はあると思います。
このようなケースは、クレームとなりますが、その後も怒りが収まらない方は、人に何度もしゃべります。現在ではSNSで配信する方もいると思います。
私にも多くの経験がありますので間違ってはいないと思います。
図で書くと分かりやすいと思いますので、こちらをご覧ください。
この四角の真ん中に自分がいると仮定し、矢印がどちらかに心が大きく振れた場合に口コミが発生しやすくなるというイメージです。
しかし、人は皆それぞれ生きてきた体験値が違うので、どの程度心が振れたら人に喋りたくなるのかは差があると思います。
だから、一つの同じ現象を多くの方が体験しても口コミする方と、しない方がいるのではないかと推測します。
これをサービスに当てはめると、人それぞれサービスに対する期待値が違うので、口コミする方としない方がいるという意味でもあります。
誕生日に普段何ももらったことのない方は、花1輪のプレゼントでも大喜びします。しかし、普段からいろいろなプレゼントをもらっている方は、花1輪もらってもそれほど喜びません。
これは、期待値が違うからだと考えることができます。だから、口コミは同じ現象に遭遇しても、人によってする方としない方に分かれるのだと感じています。
業界という視点で考えてみても、私たちの期待値は違いますので口コミが起きやすい業界と、起きにくい業界があるというのも最近感じています。
これらの事を踏まえて考えると、商売で既存客等に口コミを発生させたいとなると、どのようにしたらよいのかという事が何となく分かってきます。
青字で書かれている「怒」は悪い口コミという事になるので、良い口コミを発生させたければ、口コミをしていただきたい方に「喜」や「楽」や「嬉」に大きく心が傾いていただければ良いという事になるのではないでしょうか。
出来れば「珍しい」という体験も一緒に提供できれば更に良い口コミが発生しやすくなるのではと思います。
・どんなタイミングで提供すれば良いのか
サービスをするタイミングですが、前もって告知してある場合はいくら良いサービスを提供しても良い口コミは発生しにくいと思います。
なぜかというと
サプライズにならないのでお客様がそれほど喜ばないからです。
自分の誕生日や記念日に、何の告知もなく突然プレゼントされるから喜ぶのと同じように、前もって受けるサービスが分かっている場合はサプライズにはならないので、口コミが発生するようなところまで心が動かないと思っています。
下記のイラストをご覧いただけると分かると思うのですが、何かを購入するときに、「こんな素晴らしいサービスがあるので購入してください」と告知され購入を決めても、それは「オンサービス」に分類されるので、口コミにはなりにくいという意味でもあると考えます。
もちろんオンサービスでも、思っていた以上に素晴らしいものであれば良い口コミは起きますが、誇大広告のような伝え方になってしまった場合には悪いイメージを与えかねないので、クレームにもなりやすいと考えた方が良いかもしれません。(私は以前これで失敗した経験があります)
ところが、イラストの右側の「オフサービス」というところでは商取引が終わった後なので、お客様はお店側からのサービスを特に期待している時期ではありません。
その為、ちょっとしたサービスでもサプライズと感じて頂ける場合があると考えています。
・オフサービスの注意点とメリット
オフサービスは、お客様が期待していないので口コミが起こりやすいと書きましたが、以前私はここで大きな間違いを起こしていて、まったく口コミが起きない時期がありました。
本来、オンサービスというのは「購入というゴールに来て頂くのが目的のサービス」そして、オフサービスというのは「お客様にサプライズとして喜んでいただくのが目的のサービス」と考えて良いと思います。
ところが昔の私は
オフサービスに、「売り込み」を入れてしまっていたので、次の商品を購入していただく為のサービスになってしまっていたのです。
その為、オフサービスのつもりが「オンサービス」になっていたのです。これでは、口コミが起きるはずがありません。
この事に気付いてからは
私はオフサービスには一切見返りを求めないようにしました。
1つ例を出すと「誕生日おめでとうございます」というハガキは誰でももらったことはあると思います。
思い出していただきたいのですが、そのほとんどのハガキには売り込み言葉が入っていたはずです。
「このハガキを持参頂くと店内1割引です」という見返りを求める言葉の事です。
けっしてこのやり方を否定しているわけではありませんが、サプライズサービスや口コミを誘発するという視点で考えると売り込み言葉は入れるべきではありません。
私は、この事に気付いてからは、オフサービスは、「お客様に喜んで頂くもの」として考えるようになり、売り込みチラシや、売り込みに付随する言葉を入れないようにしています。
その方が、お客様の反応も良いので口コミが発生しやすくなっているのではと感じています。
かといって、まったく売り込みをしていないわけではありません。売り込みとオフサービスは切り離して考えているという意味です。
それから、オフサービスのメリット(良い所)は、ライバル店にばれにくいという所です。なぜばれにくいのかというと、既存客にしか提供しないサービスだからです。
オンサービスは、多くの見込み客に発信するので、ライバル店も目に付きやすく真似されやすいのですが、オフサービスに限ってはほとんど真似されることがありません。
実際に私が考えたオンサービスは同業大型店が真似をしていますが、オフサービスに限っては、真似をされていないようなので情報はもれていないものだと考えています。
しかし、たとえ表面的な事がばれてしまっても、サービスの本質が分からないと続くものではありませんし反応もそれほど取れないので、あまり怖いとは感じていません。
これを逆手に取るとすれば
繁盛店の秘密を探りたい場合、そのお店の顧客になれば良いという事になります。もちろん繁盛店が行っているサービスの本質を見抜く目も必要です。
・口コミはストレス解消の手段
一般的な口コミを少し思い浮かべて頂きたいのですが私は、人に喋りたくなる場合、どんな心境なのかという事を考えてみました。
しゃべりたくて仕方のない心境の時にしゃべる人が近くにいない場合はどんな感じになるのでしょう。
私自身、かなりストレスが溜まるということが分かりました。しゃべりたくて仕方がないのにしゃべれない状態は、確かに何とも言えないもやもやした心境になります。
ところが、人に喋ったとたんに心がスッキリして、平常心に戻ることができます。この事を分析すると、口コミは「ストレス解消」の為に行っている行為だと感じています。
私自身、居心地の良い状態というのは「平常心」でいる時です。そんな時に、外的要因により喜怒嬉楽に大きく心が振れたときは平常心を保つことが出来ません。
つまり、ストレスが溜まった状態になるという意味です。
そのストレスを発散するために私は無意識に口コミをしているのかもしれません。良いストレスも悪いストレスも同じです。
ハイテンションで長い時間いるのも疲れますし、ローテンションではなおさら辛いので、私は様々な方法でそのストレスを解消し平常心に戻ろうとしていると分析しています。
ただ、平常心でずっといるのも別のストレスが溜まります。なぜかというと、私たちはある程度の刺激を求める習性があるからです。
その場合は、良いストレスを求めて趣味や旅行という行動に出るのではないでしょうか。
その行動により
ハイテンションになるような出来事に出合った場合は、もっとも簡単なストレス発散の口コミをして平常心に戻ろうとするのだと思います。
ローテンションの場合だと、運動やカラオケ、ショッピング、旅行等様々な方法でそのストレスを解放しようとしますので、同じ旅行でも平常心の時に行く場合と悪いストレスが溜まった時に行く場合では、その目的が違うと考えてます。
平常心の場合は、「刺激を求める為」 悪いストレスが溜まっている場合は「平常心に戻る為」という事になります。
先ほど書かせていただきました「喜」「嬉」「楽」という体験では良いストレスが溜まるので良い口コミが発生し、「怒」という体験では悪い口コミが発生するという事です。
口コミは、感情が大きく動いた時に、平常心に戻る為のストレス発散が目的だと考えると、意識的に良いストレスを与えてあげればよいという事になります。
という事は
口コミもある程度はコントロールすることができるのではないでしょうか?
この辺は、業種によって違ってきます。 そして高額のサービス品提供では逆効果になる場合があります。
それは、お客様が以前購入した商品へ支払った金額に「オフサービスで提供したサービスにかかる経費」が含まれているのではと思われてしまうからです。
「だったらもっと安くしてくれればよかったのに」と思われてしまっては元も子もありません。 だから、手作り感があるものや、お金のかからない、心のこもったものの方が喜ばれるのでしょう。
私の場合は、もともとお客様に差し上げるサービス品に対しては予算がなかったので、ほとんどが手作りのものでした。
それがかえって良かったのかもしれません。
・どんな口コミが発生しているのか
この辺は推測の域を出ませんが、およその事は分かります。
私のお店では口コミを聞いて来て下さる方がとても多いので実際に「何ておっしゃっていましたか?」と何人にも聞いているからです。
一番多いのは「アリタは良いよ」又は「親切だよ」という簡単な口コミです。 実際に色々なサービスを提供しているのですが具体的なサービスをしゃべっているわけではない事が分かっています。
たとえば、素晴らしいと思えるサービスを1つ、2つしか行っていない場合には、その事を話していると思うのですが 複合的にしている場合には、なんとなく「ストレスがない店」とか「サービスの良い店」という印象になり「アリタは良いよ」という口コミになっているのではと感じています。
もちろん「アリタの商品は丈夫だよ」とか「シルエットがきれいだよ」という口コミも起こっています。
しかしそれは、他店の商品と比べないと分からないので、子供さんが3年生になってから起こっている口コミだと思われます。
以上のような事から、私はこのような仮説を立てています。
口コミは1つの事柄で起こる場合が圧倒的に多いと考えがちですが、小さなサービスや親切、心配り等の複合的な事でも口コミは起きるという事です。
特に、私たちのような小さなお店では、たいしたことは出来ません。
しかし、視点を変えてお客様に接し続けることにより、リピーターになり、お得意様になり、口コミ客になっていくという事が良く分かります。
●口コミは狭い地域で集中的に起こすのが効果的
私のお店のテリトリーはお店を中心にして半径約3~5キロ以内にある中学校5校の学区です。 中学により生徒数は違いますが、この5校は私のお店では当時4割程度のシェア率を維持しておりました。
この5校の地域では多くの口コミが発生しているので、この数値を維持できていたのですが、ここから少し離れた地域では口コミがあまり広がりません。
その為、予約数は極端に少なくなっています。
なぜ新規客が増えないのか?この現象を、仮説を立てて分析してみました。この現象も自分に当てはめてみるとある程度想像が付きます。
★1人からの口コミでは動かない
私達は、色々な情報をもとにどんな行動をとるべきかを判断します。たとえば、友達から「○○というお店のラーメンおいしいよ」と言われたとします。
雑談の中で言われた場合は、すぐに行こうという気になる方は少ないと思います。 もちろん熱心にその理由を言われ誘われた場合は、そうでないかもしれませんが、私だったら1人から雑談的に言われても、すぐに行く気にはなれません。
ひょっとしたら、口コミをした方がそのお店に頼まれたのかもしれませんし、その方の家族が従業員だから誘っているのかもしれないからです。
ところが、同じような事を面識のない3人に言われたらどうでしょうか? その不安は払拭され、少なくともそのラーメン屋さんがとても気になります。
私も何度かこのような経験があります。そして、更に家族からも言われたら「行ってみよう」という気になります。
つまり
同じような口コミを何人にも聞かされたらその気になるという意味です。
この事を考えると、もともとの顧客数が少ない地域では、口コミ自体も発生数が少なく、たとえ一人から私のお店のことを言われてもその気にならないのではと仮説を立てました。
だからこそ
狭い地域でお客様を出来るだけ増やす努力が必要だと考えています。
この方法は、最初はチラシでも、営業でも何でも構いません。 実際に私が飛び込み営業を行っていた地域では、顧客数が増えるにしたがって口コミを聞いたというお客様も増えていくという現象が起きていたからです。
とにかく、たくさんの口コミを聞く、たくさん目にする、メディアに載せてもらう、チラシを撒きつづける等の見込み客の脳裏に焼き付けるような複合的なやり方をすれば、自然と新規客は増えていきます。
私はお金がなかったので、その中の「口コミ」という得体のしれない方法でやってきたという話です。
今回は、自分の体験をもとに口コミというものを分析してみました。
全ての方に当てはまるとは考えていませんが、実際に自分が行ってきた事です。
売り込みをしなくてもお客様が集まるようになったので、今回の情報はそれほど大きく外れている仮説ではないと思っています。
だいぶ長くなりましたが最後までご覧いただきありがとうございました。
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