
スッタニパータ 第1章『破滅』 Parābhavasuttaṃ(パラーバヴァ・スッタ)第104偈
原文
「Jātitthaddho dhanatthaddho, gottatthaddho ca yo naro;
Saññātiṃ atimaññeti, taṃ parābhavato mukhaṃ.」
訳
「生まれによって高慢になり、財産によって高慢になり、
家柄によって高慢になる者、
親族を見下す者、
その者は、破滅への道を歩む。」
話の背景
この偈は、「破滅の原因」として、「高慢と見下し」を挙げている。
仏陀は、「生まれ、財産、家柄に誇りを持ち、他者を見下す者」は、
「謙虚さを失い、破滅へと向かう」と説いている。
「高慢を捨て、他者を尊重すること」の重要性が強調されている。
注釈・補足(Suttanipāta-aṭṭhakathāより)
「生まれによって高慢になる(Jātitthaddho)」
「Jātitthaddho(ジャーティッタッホ)」とは、「生まれによって高慢になる者」を意味する。
「自分は高貴な家系に生まれた」と思い込み、それによって他人を見下す者を指す。
「財産によって高慢になる(Dhanatthaddho)」
「Dhanatthaddho(ダナッタッホ)」とは、「財産によって高慢になる者」を意味する。
「自分は裕福である」と誇り、貧しい者を見下す者を指す。
「家柄によって高慢になる(Gottatthaddho)」
「Gottatthaddho(ゴッタッタッホ)」とは、「家柄によって高慢になる者」を意味する。
「自分の家柄が優れている」と考え、他の家系を見下す者を指す。
「親族を見下す(Saññātiṃ atimaññeti)」
「Saññātiṃ(サンニャーティン)」は「親族、親戚」を意味し、
「Atimaññeti(アティマンニェティ)」は「見下す、軽蔑する」を意味する。
自分が優れていると考え、親族や周囲の人々を軽んじる態度を指す。