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スッタニパータ 第1章『卑賤者』 Vasalasuttaṃ(ヴァサラ・スッタ)第118偈

原文

「Yo hanti parirundhati, gāmāni nigamāni ca;
Niggāhako samaññāto, taṃ jaññā vasalo iti.」
Suttanipāta-aṭṭhakathā

「村々や町を襲い、破壊し、
人々を制圧する者、
『暴虐な者』として知られる者、
その者を、卑賤者と知るべきである。」


話の背景

この偈では、「真に卑賤者(vasalo)とは誰か」を示すものの一つとして、
「暴力と制圧によって社会を脅かす者」 が挙げられている。
仏陀は、「権力や欲望のために村や町を襲撃し、人々を苦しめる者は、
社会に害をなす真の卑賤者である」と説いている。
これは、戦争や暴力による支配が人を破滅に導く という教えを示している。


注釈・補足(Suttanipāta-aṭṭhakathāより)

「破壊し、襲う(Yo hanti parirundhati)」

  • 「Yo(ヨ)」:「誰でも(関係代名詞)」

  • 「Hanti(ハンティ)」:「殺す、破壊する」

  • 「Parirundhati(パリルンダティ)」:「包囲する、圧迫する」

このフレーズは、暴力によって人々を制圧し、村や町を襲撃する者 を指す。
戦争や略奪、独裁による抑圧などが含まれる​

「村や町を襲う(Gāmāni nigamāni ca)」

  • 「Gāmāni(ガーマーニ)」:「村々」

  • 「Nigamāni(ニガマーニ)」:「町、市場のある小都市」

  • 「Ca(チャ)」:「そして」

これは、地方の小さな村から都市に至るまで、あらゆる場所を襲撃する行為 を意味する。
過去の歴史における侵略や、現在の社会における武力衝突をも示唆する​

「暴虐な者(Niggāhako samaññāto)」
「Niggāhako(ニッガーハコ)」:「抑圧者、暴虐な者」
・「Samaññāto(サマンニャート)」:「~として知られる」

これは、暴力と恐怖によって支配する者 を指し、
「悪名高い独裁者」や「圧制者」のような意味合いを持つ​

「卑賤者(Vasalo)」
「Vasalo(ヴァサロ)」:「卑しい者、徳のない者」

仏陀は、この偈を通じて、
生まれによって人は卑賤者になるのではなく、行いによって卑賤者となる」と説いている。
ここでは 「暴力と支配によって人々を苦しめる者こそが真の卑賤者である」 ことが強調されている

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