
スッタニパータ 第1章『破滅』 Parābhavasuttaṃ(パラーバヴァ・スッタ)第96偈
原文
「Niddāsīlī sabhāsīlī, anuṭṭhātā ca yo naro;
Alaso kodhapaññāṇo, taṃ parābhavato mukhaṃ.」
訳
「眠りを好み、無駄話を好み、
怠け者であり、怒りっぽく智慧のない者、
その者は、破滅への道を歩む。」
話の背景
この偈は、「破滅の原因」として、「怠惰」と「無知」を挙げている。
仏陀は、「眠りに溺れ、怠惰であり、怒りに支配される者」は、
「智慧を失い、破滅へと向かう」と説いている。
「努力を怠り、怒りに支配されることの危険性」を警告している。
注釈・補足(Suttanipāta-aṭṭhakathāより)
「眠りを好む(Niddāsīlī)」
「Niddāsīlī(ニッダーシーリー)」とは、立っていても、座っていても、横になっていても、常に眠っているような怠惰な性格を指す。
この者は、行動力がなく、成長することができない。
「無駄話を好む(Sabhāsīlī)」
「Sabhāsīlī(サバーシーリー)」とは、無駄な会話を好み、無意味な集まりを好む者を指す。
この者は、時間を無駄にし、精神的な成長を阻害する。
「怠け者である(Anuṭṭhātā)」
「Anuṭṭhātā(アヌッターター)」とは、努力を怠り、行動に移すことを避ける者を指す。
他人に促されない限り、何もせず、怠け続ける性質を持つ。
「怒りっぽく智慧のない者(Kodhapaññāṇo)」
「Kodhapaññāṇo(コーダパンニャーノ)」とは、怒りに支配され、智慧を失った者を指す。
この者は、すぐに怒り、感情に流されるため、正しい判断ができない。