
スッタニパータ 第1章『破滅』 Parābhavasuttaṃ(パラーバヴァ・スッタ)第102偈
原文
「Pahūtavitto puriso, sahirañño sabhojano;
Eko bhuñjati sādūni, taṃ parābhavato mukhaṃ.」
訳
「多くの財産を持ち、金銀に恵まれ、
豊かな食事を楽しみながら、
一人で美味を貪る者、
その者は、破滅への道を歩む。」
話の背景
この偈は、「破滅の原因」として、「貪欲と利己主義」を挙げている。
仏陀は、「多くの富を持ちながら、他者を顧みず、自己の欲望を満たすことに執着する者」は、
「孤立し、破滅へと向かう」と説いている。
「他者と分かち合い、利己主義を超えること」の重要性が強調されている。
注釈・補足(Suttanipāta-aṭṭhakathāより)
「多くの財産を持つ(Pahūtavitto)」
「Pahūtavitto(パフータヴィット)」とは、多くの財産(金銀、宝石)を持つ者を意味する。
この者は、豊かな生活を送るが、その富を他者と分かち合わない。Suttanipāta-aṭṭhakathā
「金銀に恵まれている(Sahirañño)」
「Sahirañño(サヒランヨ)」とは、金銭に恵まれている者を意味する。
ここでは、財産が豊富でありながら、利己的な行動をする者を指す。Suttanipāta-aṭṭhakathā
「豊かな食事を楽しむ(Sabhojano)」
「Sabhojano(サボージャノ)」とは、様々な料理やご馳走を楽しむ者を意味する。
この者は、贅沢な生活を送りながら、他者には施しを与えない。Suttanipāta-aṭṭhakathā
「一人で美味を貪る(Eko bhuñjati sādūni)」
「Eko(エコ)」は「一人で」、
「Bhuñjati(ブンジャティ)」は「食べる」、
「Sādūni(サードゥーニ)」は「美味を、豪華な料理を」意味する。
つまり、他者と分かち合うことなく、自分だけで贅沢を楽しむ者を指す。