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「光る君へ」第41回「揺らぎ」まひろは何を思う?

行成、よく言った!

左大臣様がおかしくおわします

行成

道長の敦康親王に対する仕打ちに対し、これまでこらえていた怒りを一気に爆発させた行成。本当、その通りだよ。道長、おかしいぞ。

そもそも、父親として娘の身を案じているというより、国母としての対面を傷つけられるのではないかという政治的な恐れでしかない。
これでは彰子も可哀想だ。

若い頃から行成は道長推しで、全力で道長を支えてきた友だったというのに、

「お前は私に説教するのか」

道長

と言った時の道長の冷たい視線は、もはや仲間に対する眼差しではなかった。
権力を手にして、自分の思いのままに周囲を動かそうとする政治家の顔だった。

道長よ、敦康親王と彰子様の心配をするより、妍子きよこのことを心配しておくれ。

自ら御簾から出て敦明親王に「す❤️き」と迫っているではないか。
こちらも義理の母と息子という同じ関係性なのだから。

こんなふうに重ねてくるあたり、さすがである。


紫の上は死にました。
誰も彼もいずれは黄泉路へ旅立つと思えば早めに終わったほうが楽だと思うこともございます。道長様はそういうことはございません?

まひろ

まひろはさらりと死を口にする。
前回、いや前々回からほとんど胸の内を明かさないまひろの胸中には、死への思いがあるのだろうか。

現実世界では、惟規の死、一条天皇の死。
源氏物語の中では柏木が死に、紫の上が死ぬ。

道長が「今はまだ死ねぬ」といった時、まひろは何を思ったのだろう。
一瞬、寂しさと疑いのようなものが見えた気がしたのだが、どうだろうか。

道理を飛び越えて敦成様を東宮に立てられたのはなぜでございますか。よ
り強い力をお持ちになろうとされたのは。

まひろ

お前との約束を果たすためだ。

道長

なんだかずるいな、道長。

民のために政治をするという思いに嘘はないとしても、純粋なその思いに、権力欲とか支配欲とかいろんなものがくっついて肥大化していることに気づいてないのだろうか。いや気づかぬふりをしている?


そのことはお前にだけは伝わっておると、思っておる。

道長

こういうことを言うやつにろくな奴はいない。


さて、清少納言だが、実は、定子さまが亡くなった後の清少納言のことはよくわかっていない。
だから今回のエピソードは完全なる虚構だ。

中の関白家(藤原道隆一家)が大好きで、その輝きを枕草子に書いた清少納言。道隆の死後、息子伊周、隆家は花山院に矢を射た罪で都を追われ、道隆の妻高階貴子が死に、定子も伊周も、そして定子を寵愛した一条天皇も亡くなってしまう。最後の希望、敦康親王の東宮への望みも絶たれてしまう。

その身に全ての悲しみや恨みを引き受けて、墨染の衣を着て現れた清少納言。

光が濃ければ闇もまた濃くなる。
かつて安倍晴明が言った言葉を体現しているかのようだった。

きっと彰子の女房たちが華やかな十二単で歌を読み合っていたことに苛立ちを感じたのだろう。

まひろは日記に

清少納言こそいみじうしたり顔にはべりける人。
   清少納言は得意げな顔をしたひどい方になってしまった。

紫式部日記

と書いている。ここに繋ぐためのエピソードなのだとはわかっているが、こういう清少納言も人間らしくていいではないか。

清少納言と紫式部日記のこの段についてはこちらの記事もどうぞ。

次週予告で、チラリと映った「雲隠」の文字。

これは巻名だけが伝わる「源氏物語」の巻で、タイトルが光源氏の死を暗示している。

「この川で二人流されてみません?」というまひろ。
えっ。心中してみない?ってお誘いなの?

次週も楽しみ。

追記
この記事でコングラボードいただきました。ありがとうございました。


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