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「虎に翼」第22週「お前のことをきちんと見てくれる人間は絶対にいる」

相変わらずの発芽玄米(寝ぐせ)に加えて、ねずみ男的なうすーいひげで、
「わかる」を連発する小橋。

「先生やまわりがかまったり、優しくするのは、優等生か、こいつみたいな不良で、中途半端な俺達はいないも同然」

「できる男と比べられるのも嫌なのに、さらにできる女とも比べられる! 
頑張らなくてもいいのに頑張る女たちに無性に腹が立つ!
そう、分かる、分かるよー。
そんでお前が想像しているとおり、その苦しさはずっと続くし、お前はこの先の人生、ずっとできる奴らと比べられ続ける。
平等ってのはさ…俺たちみたいなやつにとって、確かに損なところもたくさんある。でもそのいらだちを向ける時、お前、弱そうな相手を選んでないか?」

「この先、どんな仕事をしてどんな人生を送ろうと、弱そうな相手に怒りを向けるのは何にも得がない。お前自身が平等な社会を拒む邪魔者、になる。嫌だろ?」

「ま、一番になれなくてもさ、お前のことをきちんと見てくれる人間は絶対にいるからさ」

ねずみ男小橋

法廷劇を馬鹿にして、よねさんに蹴り上げられた小橋。
父親(岡部たかし)の冤罪事件の中、大学に戻った寅子に暴言を吐き、轟に殴られた小橋。
道男(和田庵)に財布をすられ、おまけに恫喝までされた小橋。
多岐川さん(滝藤賢一)の無茶振りに振り回されながら、懸命に仕事をしてきた小橋。

冒頭の小橋の言葉で、小橋君のこれまでの人生がさあっと広がって見えた。
最初の頃は本当に嫌なやつだと思われてきた小橋だけど、そんな彼がこれまで感じてきた痛みや劣等感、喜びとか、そういうものがギュッと詰め込まれた素敵なセリフだった。
こういうのが見たかったのだ。ナイス小橋。

一方で、私の中の寅ちゃん大好き指数はダダ下がり中。
あんなに好きだったのに、どうした私?

眉間の皺が寅ちゃんの戸惑いを表しているのだなと思いつつも、星家での寅ちゃん、優未のふるまいはいただけない。

のどかちゃん(尾碕 真花)目線で一緒に苛立ってしまう。
だって、のどかちゃんは18歳。
こんな多感な時期に父親が家族のようなものを星家に連れてくる。
辛くないわけがない。
おまけに優未はのどかとは正反対のタイプ。可愛くて、人の懐にすっと入っていける。新潟時代の優未を思えば、優未なりの努力なんだろうけれど、のどかはそんなことは知らないわけで、そりゃタバコの一本も吸いたくなる。

私の家は賑やかで明るい家じゃない。
別に仲は悪くないけれど、
静かでベタベタしない、干渉しない、
そういう家族なの。

のどか

陽キャとか陰キャとか、もはや古い言葉だけど、根暗とか根明とか、世の中明るいものが絶対という空気がある。

明るい家庭のようなものが理想?

でも静かな家庭っていうのもいいと思うんだけどな。
頑張らなくていい、面白い話をしなくてもいい、ただ黙っていてもなんとなくお互いがお互いを認めているような気配。
そういう家族だっていいではないか。

まずは星家の問題を解決してください。

寅子

何でもかんでも自分が解決しようとしていた寅子が今回は航一に任せようとする。これも寅子の成長なのだろうなとは思う。(物言いは上からな感じがしたけど)

話は変わるが、地方自治体から男女共同参画の意識調査というものが届いた。
LGBTQへの理解、夫婦別姓、事実婚について、女性の社会進出etc。
んん、これって「虎に翼」?
というより「虎に翼」がこういう問題に対する啓蒙活動のために一役買っている?

NHKの朝ドラにはそういう縛りでもあるのかな?

全て大事な問題だとわかってはいる。
でも、正しいことの描き方がね、押し付けがましいというか、上から目線というか。

私の好きな詩の一節に次のような言葉がある。

正しいことを言うときは 少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは 相手を傷つけやすいものだと 気づいているほうがいい
立派でありたいとか 正しくありたいとかいう 無理な緊張には 色目をつかわず
ゆったり ゆたかに 光を浴びているほうがいい

吉野弘「祝婚歌」


声高に正義を叫ばれると疲れてしまう。

寅子も優未も、ついでに言うと直明(三山 凌輝)も、あまりに立派で良い子すぎなくてよいのに。
良い子過ぎて疲れたら、BE:FIRSTのRYOKIを見て、ギャップを楽しむ今日のこの頃。

来週からはいよいよ原爆裁判。
残すところあと1ヶ月ですね。


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