見出し画像

僕をイジるならこんなふうに

ある言葉が僕に衝撃を与えた。

ん、ヌーーーーーーーーン!ゴング、ガーーーーーン!!
 
その日、デスダイエットが始まった。
 
1日1食。毎日5kmのランニング。湯船に浸かること1時間。
 
ここ最近、「男は男らしく」のブームの勢いが止まらない。
 
年収いくら?どんな仕事している?モテなきゃ駄目だよね。
 
その一環としてのボディメイキング。
 
筋トレブームも同時並行に世の中に浸透していった。
 
僕はそんな世の中の流れに飲まれた。
 
うし、筋トレすっか。
 
僕の新卒時代の職業は「ソリューション営業」であった。
 
ある日、本屋に強烈なインパクトを残す一冊が置いてあった。
 
筋トレが最強のソリューションである
マッチョ社長が教える究極の悩み解決法 

研修中に「私のお気に入りの一冊」を紹介する機会を得た。
 
どうぞ、こちらでございます!
 
筋トレが最強のソリューションである
マッチョ社長が教える究極の悩み解決法 

 
ビバ!ボディーメイキング!

これこそが、現代社会に必要な最強のソリューションでございます!
 
筋肉大きく、心は広く、人生を変える魔法。それが筋トレなのですわ!

この本は素晴らしい。
 
筋トレが如何に医学的に体と心の健康を向上するかを説明されている。
 
また作者の迸る筋トレ愛から、笑いと哲学を享受出来る。
 
僕は、同期に筋トレ教を説く、筋トレ教祖になった。
 
常に最先端を走っていきたい。サプリ、トレーニング、食事。
 
筋肉を大きくする為に、出来ることは全てする。
 
急速に筋肉を大きくするには、沢山食べることが不可欠だった。
 
親子丼を毎朝食べて、筋トレに向かった。
 
鏡の前でポージング、よし今日も絶好調だ。
 
久しぶりに同期と飲む機会があった。
 
「どうよ、大きくなったか。最強のソリューション営業感でてるか?」
 
「あはは、太った?特に顔周り。」
 
おいおいおいおい。
 
顔は、ノーマークだ。
 
そうだ、僕は酒を飲むと、むくみやすいし、顔への反響はいつも大きい。
 
そう言われると、顔周りだけしか見えなくなった。
 
筋トレ、やっぱ辞め!人それぞれのベスト体型があるね!
 
デスダイエットのゴングが頭に鳴り響く。

72kgほどあった体重を60kgぐらいまで
2ヶ月ぐらいで落としてしまった。
 
確かに顔周りも含め、細身になった。僕はそんな僕を悪いと思っていない。
 
ただ、「太った?」の言葉を理由に、僕は変わってしまった。
 
確かに、人の目を気にすることを辞めればいい。それだけの話だ。
 
ただ、人が変わろうとしている最中にかける言葉は
細心の注意を払っていたいと思う。
 
友人が、大学デビューした。                   
友人が、ビジネス系のツイートを始めた。
友人が、小説を書き始めた。 

どんな言葉を贈ろうか?
 
人は変わる。その人の想いと共に。
 
その移り変わりに水を差すのは粋じゃない。

僕の周りに限っていうと、イジるという、
お笑いのお作法が会話に入り込む。
 
イジる。笑いを生み出す為の一般的な方法論だ。

イジリは、時に親近感の爆風を巻き起こす。

適度であれば、受け入れられる。
 
けれど、ポジティブに締めてやろう。

例えば、こんな言葉を僕は欲しかった。
 
「顔周り、太った?お前の顔が、1カラットダイヤモンドのようにシュッとするのを待っているぜ。肩メロン君。」

否定で終わるのではなく、未来に楽しみを与え、背中を押す言葉だ。

顔周り太った? ガハハじゃないんだよお。

僕はこう答えるだろう。

「おうよ、1カラットに近づけるよう、食事改善で顔面研磨するでな。」
 
僕は、定期的に筋トレ熱がマグマのように湧いてくる。
 
その度に親子丼を食べ、筋トレをする。
 
その度に、顔周りのお肉が気になり、デスダイエットをはじめる。
 
食事改善と心の筋トレも必要であるな。と薄々気づいている。

重いバーベルを上げることだけに囚われてはいけない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?