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日本の伝統食材“麩”をつくる仕事

敷島産業(株)で働く馬場さんを、もとまるが訪問!

敷島産業(株)は、日本では昔から食べられている焼き麩や生麩、麩菓子などをつくっている会社です。敷島産業では、多種多様な麩をつくって全国に出荷しており、その量は全国でもトップクラスを誇ります。今回は、もっと麩のおいしさや活用法を知ってもらうため、さまざまな情報を発信している馬場美穂さんの仕事を見学しました。


麩の魅力をたくさんの人に知ってもらいたい

クッキングディレクターを務める取締役の馬場美穂さん

馬場さんは、敷島産業に入社して麩のことを知るにつれて、「麩が持つ優れた栄養価や無限に広がる食べ方をもっと多くの人に伝えたい」という思いを強く抱くようになりました。それまで社内には、麩を使った料理を紹介していた担当者がいたため、馬場さんはその仕事を引き継いで、麩を使った料理を教える教室を始めることにしました。
 
また、より詳しく食や栄養についての知識を伝えようと、働きながら大学に通い、栄養学の勉強をスタート。45歳の時に国家試験を受験し、管理栄養士の資格を取得しました。その後も、幅広い人に麩を役立ててもらおうと、防災士や肥満予防健康管理士、和漢薬膳師、インナービューティーアドバイザーなど、さまざまな分野の勉強や資格取得にチャレンジし、現在は岐阜県内で多彩なテーマの料理教室を開催しています。

まずは麩の作り方を勉強

敷島産業でつくられる焼き麩は、小麦粉と水を混ぜ合わせて弾力のある生地をつくり、成形して焼き上げられます。昔は、長いままの状態で販売するのが一般的でしたが、運んでいるうちに折れてしまうことが課題となっていたことから、敷島産業は日本で初めて食べやすい大きさに切り分けた切り麩を販売しました。
 
現在では、各地域で伝統的に食べられてきた製品やカルシウムや乳酸菌などを加えて栄養価を高めた製品、黒糖蜜をかけた麩菓子など、100種以上の商品が敷島産業の工場でつくられています。なかには、昔ながらのレトロなパッケージで長年多くの人に愛されている製品もあります。

120~130種類もの多種多様な商品を開発
工場では1日42万食もの麩を生産


麩のイメージを変える活用法を提案

家庭にある材料で手軽にできる麩の料理を提案

小麦粉を材料とする麩には、白米の約10倍の植物性たんぱく質をはじめとした豊富な栄養素が含まれ、健康食品の1つとして注目を集めています。また、どんな料理にも合うため、アイディア次第で幅広い料理も使うことができます。そこで馬場さんは、和食だけでなく中華や洋食に使ったり、デザートやおやつを作ったりと、健康な食生活をサポートする多彩なレシピを考案し、料理教室やホームページなどを通じてPRしています。
 
また、防災士の知識や災害ボランティアへ行った経験をいかして、災害に備えて麩をはじめとした乾燥食品や缶詰めで簡単につくれる「乾・缶・簡料理」を提案。今までの麩のイメージを一新し、活用の幅を広げる活動もしています。

麩菓子アイスや麩のシフォンケーキ、スナックなど、おやつにも活用

馬場さんにとって料理教室は、「楽しかったので来月も来ます」「家族につくってみたら、おいしいと言ってもらえました」など、参加者のリアルな声を聞ける貴重な場所。多くの人が楽しんでくれる姿や、そこで生まれる人とのつながりが、馬場さんの喜びになっています。馬場さんは「ここで知った麩の魅力やレシピを他の人にも伝えたいと言ってもらえるのが、何よりもうれしいです」と、その喜びを新たなレシピづくりへのエネルギーにしています。
 
「今後は、1人1人に合ったオーダーメイドの栄養指導や、ウェブを通じて海外にも麩を広める活動など、さらに麩の食べ方を知ってもらう取り組みをしていきたい」と、馬場さんは麩の楽しみ方を伝える情報発信に情熱を注いでいます。

楽しみながら料理を学べる教室を定期的に実施


オリジナルブランドの商品づくり

「麩をもっと身近な食材として味わってもらい、健康づくりに役立ててもらいたい」と考えた馬場さんは、麩のレシピを教える料理教室に加えて、その味を知ってもらう商品開発にも注力。オリジナルブランド「ふーちゃん元氣食堂」を立ち上げ、スナック菓子やかりんとう、ケーキなどを新たな商品として売り出しています。
 
その中で、商品にできない製品を砕いて食品ロスを軽減したり、料理教室で麩の料理を学んだ人とともに、お弁当や真空パックのお惣菜をつくったりと、新たな試みにも挑戦。「うちの商品を置きたいと思った店舗には、自分で営業もしています!」と、意欲的に取り組みを進めています。

新たに開発したオリジナルブランド「ふーちゃんの元氣食堂」
スナック菓子など手軽に食べられる商品を展開


地域の人とふれあえるイベントを開催

地元の人が立ち寄れるイベントを開催

敷島産業は、岐阜市敷島町で創業した後、50年前に本巣市へ移転しました。馬場さんは「伊吹おろしによる寒暖差のおかげで、この地域は野菜も果物もとてもおいしい。自然が身近で人も穏やかであたたかいので、子育てには最適な場所でした」と、本巣市の魅力を語ります。
 
そんな本巣市の人にもっと会社を知ってもらおうと、敷島産業では地域の人が参加できるイベント開催。毎月1回、商品を購入できる販売会を行ったり、春や冬には麩を使った料理を楽しめる飲食ブースなどを設けたお祭りも実施したりしています。「イベントのおかげで、地域の人ともつながりを持てるようになりました。イベントでは、店舗では買えない商品もありますので、使い方を紹介しながら、たくさんの人に麩の良さを知ってもらいたいです」と、馬場さんは地域に愛される会社づくり・商品づくりを目指しています。

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