霞 第二章(02)
「ねえ、熱くない?」
「あ、ごめん。水の量を増やそう。」
そう言った彼の額には、うっすらと汗が浮かんでいた。熱めのお風呂が好きな私のために、水の量を控えてたんだ。
「ふふっ。相変わらず、放っとくんだね。」
「え、いや、外をじっと眺めて感慨深げな顔をしてたから、声をかけづらくって。」
「そうじゃなくて、自分のこと。」
「ん?僕は君の背中を見て楽しんでたよ。」
「またそうやって。」
言葉を続ける代わりに、湯の中を進んで行き立膝を割り背中を預けた。そして両手をとり自分の前で交差させ