教育者のこころの余裕を生む”黙ってしまう子ども”への対応の仕方
こんにちは,umenoです.
「子どもが黙って何も言わなくなってしまう」ということは子育て,教育の現場ではよくある悩みの一つだと思います.
そういった場面になったとき,「冷静になれず感情的に迫ってしまう」「表現してくれないと,何を考えているかわからない・・・」と思うことも多いと思います.
そのように感じている教育者の方々は”誰よりも一生懸命に目の前の子どもと向き合おうとしている”と思います.だけど,上手くいかない・・・そういった状況ではないでしょうか.
今回は”子どもが黙ってしまう時に冷静に分析”して,上手に対応ができるようになるポイントについてお話していきます.幼児期や学齢期のお子さんをもつ親御さん,教育や療育関係者にとって少しでも参考になれば幸いです.
とにかくお子さん一人一人を分析しましょう
お子さん一人一人で黙ってしまう背景は異なります.十人十色であることだけでなく,育っている環境も様々であるからです.ただ共通する部分もあるため,分析ポイントをまとめてみました.
1)ことばの発達は十分ですか?
「なんでそんなことしたの?」幼児期のお子さんに対し,教育者がよく言う言葉ではないでしょうか.
まず,目の前にないことについて話すこと,そして中でも「WHY?」の問いは難易度がとっても高いです.そのため黙ってしまっても仕方ありません.
もし黙ってしまうことがあれば,「○○?それとも●●?」と選択肢を与えて聴いていきましょう.
また,感情に関する言葉の表現も難易度が高いです.教育者が一緒に色々な経験をして,「これは楽しいね!」「これは悲しいね・・・」「これはうれしいね!」といったように,”情緒の動きを共に言語化する”作業をしていってください.そんな風にことばを育てていきましょう.
2)対人緊張はありますか?
”喋るまで見つめて待つ”は逆効果になることが多いです.対人緊張が高い子はなおさらで,よけい喋ることが出来なくなります.
対人緊張がつよいお子さんは,横から話しかけましょう.さりげなく「調子どう?」とさらっと聴いてみたりしてください.答えられなくても,いいと思います.少し待って,「OK,大丈夫だよ」「なんかあったら言ってね」と声掛けしてみてください.喋らないからとほおっておかず,かといって構いすぎず,適度に横からさりげなく話しかけて,”気にかけている”ということを伝えていくと良いです.
ヘルプの出し方を決めておくことも良いです.手を上げたり,カードを指さしたりなど,そのお子さんなりの”緊急事態の表出手段”を保障してあげてください.
3)状況を理解する力はどうですか?
不注意さや衝動性がある場合,トラブルの状況が理解できないことが多々あります.そのため,状況理解ができないため,「なぜそうなったのか」答えることができず黙ってしまうということもあります.状況がわかっていないので当然答えることができません.そのため,迫らず周囲にいた人たちの情報も含め,状況を整理していきましょう.
ただ,”その子を悪者あつかいしない”よう注意が必要です.その子にとっては,状況が理解できなかったため,その子なりの理由があります.その理由,気持ちを一回受け止めてあげてください.そうしないと,お子さんの気持ちがひどく傷ついてしまいます.
一回「○○の気持ちだったんだね」と受け止めて,「ただこの時,こんなこともあって・・・」などと客観的に感情をいれず教えてあげてください.
4)お話して怒られたなどの経験はありませんか?
似たような状況になって教育者に話した時,”怒られた経験がある”場合は当然黙ります.まずは正直に話したことに対しては教育者は基本”感情的に怒らない”方がよいです.ただ冷静にダメなものはダメということは伝えてあげる必要はあります.感情ではなく,理屈で伝えると良いです.
5)緘黙について
外でまったく喋らなくなるなどの場面緘黙のような状況がみられる場合は,発達外来などの受診も検討することも良いと思います.お子さんのためにも一人で抱え込まず,専門家の意見を広く聴くことはとても大事なことです.
まとめ
”なぜ黙るのか”の分析をして仮説を立てて,教育に向き合うと心の余裕が生まれます.今回お話した分析方法を参考にしていただき,一人でも多くの教育者の方が”黙ってしまうお子さん”と上手に向き合うことが出来るようになると大変うれしいです.
私は他にも日々の子育ての困りごとへの対応について,色々と書いていますので,そちらも参考にして頂けたらと思います.
今回も最後まで読んでいただき,ありがとうございました.