【創作SS】グレート トラバース
ある時期、国営放送が「日本百名山を一人で制覇する」ことに挑戦する番組を放送していて、オープニングでは主人公が
「山は最高だー!」
と叫ぶのが印象的だった。
が、朝の忙しい時間帯に、番組を観る余裕は無く、仕事に向かうことにしていた。
それに録画してまで観ようとは思わなかった。山は観るものでも語るものでもない、登るものだ。というのが僕の持論である。
福島県内のほとんどの山が「山開き」を終えた5月の昼休み、次に登る山についてスマホで情報を収集していると、鈴木さんが話かけてきた。
「今度、山に連れていってもらえませんか」
本当は一人で登るのが好きなのだけれど、職場の人間関係も考え承諾した。シーズン始めでもあるし、登りやすい山を提案し、待ち合せの時間と場所を決めた。
「お弁当、二人分作っていきますね」
鈴木さんとの打ち合わせは終了し、良く晴れた週末を迎えた。
同僚と安達太良山に登り、下道は一組の恋人になった。
「山は最高だー!」
(本文ここまで410文字)
#毎週ショートショートnote
土曜日の朝に、もう一本、滑り込みで参加します。実は昨日5ケ月振りに拙著「恋する旅人」を購入してくださった方がいらっしゃいまして、感謝を込めて軽い「恋の話」を書いてみました。
元ネタは、東京スカイツリーの「友達と登って、恋人と降りてきた」というCMのコピーなのですが、オマージュということでお赦しください。
ちなみに、まだ建設途中のスカイツリー(亀戸天神から)という、ちょっとお気に入りの写真がこちらです。
また、登山とは関係しませんが、山と言えば私の「夢見る木幡山」という作品がこちらです。さぁ、皆さん、一緒にご唱和願います。
「山は最高だー!」
この書籍を持参して「文学フリマ東京36(5月21日)」に参加予定です。
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