No.061 ミステリクイズ
問題文
クリスマスイブの夜、私は病室のベッドで寝ている。小学校の体育の授業で足を骨折してしまい、先週から父の知り合いが経営している病院に入院している。
(私)「サンタさん、来てくれるかな」
(父)「きっと来てくれるさ」
父の表情をじーと観察するが、にこやかな表情を全く崩さなかった。
私は今、サンタクロースの存在に疑問を抱いている、本当はサンタクロースなど存在しないのではないかと。
確証があるわけではない。しかし、一度芽生えた疑念は頭にこびりついて離れない。
(父)「もう寝なさい。サンタさんは恥ずかしがり屋だから、起きたままだと来ないよ」
(私)「うん、わかった。パパ、おやすみなさい」
(父)「おやすみ」
父は消灯して、病室から出て行った。
私は考えを巡らせる。
病室の出入り口は窓とドアの2つだけ。
サンタクロースが入ってくるとしたら、必ず病室のドアに違いない。
窓からはあり得ない、なにせここは7階の病室。窓の外には非常階段などはなく、隣の病棟の白壁が見えるばかりだ。
以上よりドアさえ見張っていればサンタクロースを目撃できるはず。
私は気を引き締めて、ドアを凝視した。
ガタンっ。
大きな音がして夢から覚めた。まだ意識はぼんやりとする。
音は窓側から聞こえた。私は目をこすりながら窓の方を向く。
そこには月夜に照らされた白い袋を担いだサンタクロースがいた。
サンタクロースは窓枠に足をかけており、次の瞬間、窓から外に飛び降りた。
私は驚きのあまり、声が出なかった。すぐに窓に駆け寄りたかったが、骨折のため、ベッドから動けなかった。
正気に戻り、枕の横を見ると、ラッピングされたプレゼントが置いてあっ
た。急いで中を見ると、欲しかったぬいぐるみがあった。
(父)「おはよう!」
父の声がして、私は起きた。目の前に父がいる。なんだ、夢か。
私は体を起こそうとベッドに両手をつく。
その時、何か紙のようなものに触れた。見るとそこには破れたラッピングがある。近くにはぬいぐるみがあった。
え、まさか…
あれは夢じゃなかったらしい。
さて、サンタはどうやって窓から脱出したのでしょうか?
(もちろん、飛び降り事故などは報告されておりません。ロープなどで降りたわけでもありません)
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ヒント
サンタクロースが窓から飛び降りたのは間違いありません。
しかし、7階から飛び降りたのならば、無事で済むわけがありません。
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解説
サンタクロースが窓から飛び降りたのは間違いない一方で、7階から飛び降りたのならば、無事で済むわけがありません。
もちろん、ロープなどを用いて降りたわけでもありません。
ではどういうことでしょうか?
考えられるのは、サンタクロースが飛び降りたのは7階の病室ではない、ということです。
つまり、どういうことか?
7階の病室に瓜二つの病室が1階に存在する、と考えれば説明が付きます。
(7階ではなく1階の病室ならば、飛び降りるのは比較的簡単です)
父親のトリックは以下の通りです。
私が寝た後、私を1階の病室に運びます。
私を1階の病室のベッドに寝かせ、プレゼントを枕元に置きます。
サンタクロースの服に着替えた後で、わざと大きな音を立てて私を起こします。
私にサンタクロースが飛び降りるところを目撃させ、その後、私が再び寝静まるまで待ちます。
私が再び寝た後は、私を7階まで運び、ベッドに寝かせばトリックの完了です。
このトリックは、病院内に協力者がいないと成り立ちませんが、この病院は父親の知り合いが経営している病院であり、その心配は必要ありません(およそ父親がその知り合いに協力を要請したのでしょう)。
サンタクロースを目撃させたときに、私が窓際に近づかれるとトリックがばれてしまいますが、私は足を骨折してベッドから自力では動けない為、その心配も必要ありません。
懸念点は、私が病室の移動中に起きてしまったり、再び寝ずに朝まで過ごしてしまった場合ですが、その時はおよそサブプランを実行していたと思われます(さすがに睡眠薬を盛るのはやりすぎな気がします)。
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