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燕子花

GTKNとのユニットで歌った時の歌詞です。

海岸線を焼き尽くす斜陽に目を細め空を睨む
紫煙を燻(くゆ)らせ赤い雲を眺めて思索に耽っている

空虚のベールが自分を包みこみ
暗く淀んだ音が頭顱(とうろ)で反響し燃える視界が刹那に溶けて吸い込まれる

優しい言葉さえも槍の雨として降り注ぎ
踏み出す一歩を突き刺し自分と世界とを切り取り
底の無い花瓶に水を注ぎ続ける鬱屈な毎日を過ごさせるんだ
今日も光すら届かぬ海底まで潜っていく

理想を追いかけ追いつけず躓き自己嫌悪
そしてまた夢を見る繰り返し重なる生傷
自暴自棄の波打ち際
漣(さざなみ)は大きくなり  うねる波に攫われる一粒の砂に見る自分
光芒を求め消失を求め膝を抱えて数える孤独の数
何万回と繰り返した自問自答
何億回と殺した自尊、理想

足掻いてまた足掻いて足掻ききって掴んだ答えは?
藻掻いてまた藻掻いて藻掻ききって掴んだ解は?
鮮やかに見えた景色は所詮幻に過ぎない
自分を騙して作り出した虚像で 初めから存在しないのと同じだ
イデアなんてものはありはせず
今踏みしめているここが
鼓膜を震わすこの音が
瞼に焼き付くこの景色が全てだ

今を見据えろ
 
下を見ていたって弱音を吐いていたって
何も変わらない そんなことぐらい分かってる
振り返ってばかりはいられない
振り返ってばかりはいられない
これまで出会った言の葉を自分の糧にし、芯にして自分の心臓に1本の楔(くさび)として打ち込み
後ろ髪引かれる思いごと突き刺して自分の影すら置き去りにして今を駆け抜ける
僕たちが駆ける道は決して優しい道じゃない
苦しさ、生き辛さ、苦難で溢れた道だ
その道すがら自分を呪い自分を嫌いになることもあるだろう
だけど自分を信じるんだ
耳を塞ぎ目を塞ぎ自分を抱きしめるんだ
僕たちはあまりにも脆くてちっぽけな存在で
その弱さを受け入れて憂鬱も後悔も哀しみも怒りも少しばかりの幸せも全てを抱えて生きている
心の底で芽吹いた種が透明な感情で育ち、葉を伸ばし花を咲かせ実をつける
生きることは死んで朽ちていくことなんだ
だから死ぬまでは死ぬまでは死ぬまでは

(こうへいちゃん) 
抱いた感情も前進への贄として
その先へ広がる 未だ見ぬ世界を見据え
白紙へ踏み締めた 刹那を認めていく
綴り連ね“己”を縁取る
時折ハンミョウが 脆さを自覚させ
共存の字面に 凭れ掛かりそうになる
ただその空虚を 知覚させたのは
自意識が齎した 本質を見抜く瞳

(自分とこうへいちゃん)
瞳の光が 儚い夢が
奈落に染る 鼓動を続ける
砕け散る心 凱風が寄り添う
描いていた理想 追い続け

波間で彷徨うボトルシップが勇み足で地平線へ向かう
迷うなよ

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