穂村弘『短歌ください』を読んだら生まれた短歌(7月)

・スリッパを独自のルールで履き替える我が家は誰かと暮らしてるみたい


・泡の中お湯の蛇口に手が届くのはここで一年暮らした成果


・特売の干物3枚298(にーきゅっぱ)買えないよ誰か一緒に暮らそう


・部屋の隅埃まみれの誰かの巣きれいに吸い取るわたしのために


・今日上下おそろいだったんだレアだなまあすぐ脱いでシャワー


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穂村弘さん著「短歌ください」(KADOKAWA出版)を読んだ日、いつもの生活の中でポンポンと57577のリズムが浮かんできました。とはいえ頭の中では57577のつもりでも、書き起こすと字余りばかりです。短歌の奥深い世界の片鱗を見たような気がします。穂村さんがどんどん送ってきてくださいと書いていたのに心動かされ、まずは躊躇せず短歌のようなものを生みました。素人にはこんな字余りでもいいのかからわからないけど楽しさはわかった。


はじめての夜更かしの記憶は、俳句を書いてくる国語の宿題が一向に終わらず、勉強机で悔し泣きをしたものです。

確か授業時間中に書かなかった人だけの宿題で、いつもは私が寝てからお風呂にゆく母が風呂から上がっていて、まだ終わんないの、早く寝なさいよ、とキンキンした声で怒ってきて、適当に書いて寝ちゃいたくてもどうしても書かなくて。夜が深まってゆく非日常の世界で、夏の爽やかな俳句を生み出したくて必死になっていました。どうやっても無理があります。22時過ぎた夜の世界で起きていることにすら不安だったあの頃、限界の心境になったのも数少ない経験だったかもしれません。

夜更かしはなんと楽しいか、また適当さのなかにも趣きがあると知れて、大人になるまで生きて本当に良かったです。夜更かしと適当のなかでこれからもなにかを生み出して楽しみたいと思いつつ、時々は何かに必死にもなりたいと思うような大人になりました。まだ大人(幼少期)みたいなものでしょうか。


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