科学は全てを解決できるわけじゃない。むしろほとんど解決できない。
科学は万能でない。科学で解決できるのはほんの一握りのこと。
科学には本来限界があって、広い意味での「再現可能な現象」のみを抜き出し、それを究明していく方向に科学は進歩していく。
つまり、得意な方面に焦点を当てて研究を進めるのだから、その方向で成果がたくさん出るのは当たり前。
その成果が私たちのもとへたくさん届くわけだから、科学が全てを解決するように勘違いしてしまうのだ。
今回、中谷宇吉郎さんの『科学の方法』という本を読んだので、学んだことをちょっとアウトプットしていきます!
この本では、科学の本質が事細かに述べられており、どういう態度で科学に向き合ったら良いかをわかりやすく教えてくれます。
科学は苦手だ…という方でも理解しやすい内容になっているので、ぜひ一度読んでみてください!
科学の見方がガラリと変わって、好きになっちゃうかもしれませんよ…
科学の限界
科学において大切な要素は、「再現可能の原則」である。再現可能な事象でないと、科学は適応できない。
再現可能の原則が近似的にもあてはまり、例外の範囲が小さい分野で科学は進歩しやすい。逆に、そのような原則が当てはまらない分野で科学は進歩しにくい。
例えば、「小さな正方形の紙を高いところから落とす」という事象を考えてみる。
誰しも一度は試したことがあると思うが、小さな正方形の紙を高いところから落とすと、ひらひらと舞いながら地面に着地する。
では、その着地点を正確に予測することは可能だろうか。
結論から言えばできない。なぜなら、落とす寸前の状況を完全に再現することができないからである。
そもそも、時間が経過している時点で完全に再現はできない。
しかし、それ以外にも様々な条件がある。おそらく、簡単に想像できるものが重力や空気抵抗だろう。
その他にも、万有引力についても考えなくてはならない。月からの影響など微々たるもののように思えるが、受けていないとは必ずしも言い切れない。
小さな正方形の紙は、これらの影響を受けやすいのだろうか。それらの要因がはっきりしないとしても、その一つ一つの落ち方を正確に把握できないことは確かである。
一つではなく多くの紙を一度に落として、どのあたりに落ちやすいかということは統計学的に近似できる。
しかし、それは本質的な解決には至っておらず、紙がどこに落ちるかに関する理論は構築できない。
つまり、再現可能な理論を構築できないものに関して、科学は適応できないのだ。これが科学の限界である。
新しい理論は、古い理論の否定ではない
科学では、絶えず新たな理論が提唱される。
それでは、ある分野で新たな理論が提唱されたとき、以前の理論は間違いだったのだろうか。
例としては、ニュートンの万有引力と、アインシュタインの相対性原理である。
どちらも、簡単に言えば物体間の関係性を述べた理論である。
ニュートンの万有引力が先に提唱された理論であるが、アインシュタインの相対性原理が提唱された後、ニュートンの万有引力は間違いだったと否定されたのだろうか。いや、そうではないはずだ。
むしろ、現在の高校物理で学ぶ事柄は、ニュートンの万有引力を中心とした内容で、相対性原理には触れてすらいない。
実は、新たな理論が提唱されるということは、科学が適応できる範囲が広くなるということなのである。
今までの理論では説明できなかったことが、新たな理論を導入することで説明できるようになるということなのである。
簡単な事柄であれば、古い理論で考えた方が結論を導きやすいことだってある。
今見えているものは、科学の目で見えているものにすぎない。
その目が良くなること、とでも表現したらよいだろうか。
まとめ
この他にも、測定という概念や数学との関係性、観察の大切さなど、「科学とは何か」を再認識できるエッセンスがたくさん詰まっています。
科学が好きだという方はもちろんのこと、苦手だという方にも入門書としておすすめです。科学的な見方を得られるという点では、むしろ苦手意識がある方にこそ読んでもらいたいですね!
科学が自然と人間の共同作品であるとすれば、永久に変化し続け、進化し続けるだろう。科学に終わりはない。
科学って考えれば考えるほど面白いですね^_^
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