【読書ノート】真木悠介『自我の起原』1
『われわれの身体を構成する遺伝子の90%ほどが「無意味な」あるいは「無益の」遺伝子たちであることを見てきた。このことは,何が「ふつう」で何が 「ふつうでない」かについてのわれわれのものの見方を反転すべきことを示唆する.これら「無意味な」ものの存在とその一般性は,たとえば乗客というものが列車の必要部品として発明されたのではなく,列車の方が乗客のために作られたのだということをよく思い起こさせる. つまり個体のために「遺伝子」というものが存在するわけでなく,「個体」という複合体こそが遺伝子の時間の旅の,つまり「第4次元」を走る列車であるということを思い起こさせる。』