【読書ノート】真木悠介『自我の起原』2
『今日われわれに「見える」 生命はほとんどすべて多細胞「個体」の形態をとっている。 それはわれわれの目がこのような定住者をしか見ないからである。もちろんこのことがただちに, 多細胞 「個体」 という生のかたちの優越を示すものではない。漂泊し越境し時に仮住するこれら不羈の生命の形態たちにたいして,これら大小の共同体としての「個体」は, たしかに 「新しい」 発展形態ではあるが, それらが生命の 「本来の」 形態たちを駆逐し去ったわけでなく,ノマディックな生命たちは「個体」の集