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読書ノート

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【読書ノート】真木悠介『自我の起原』2

 『今日われわれに「見える」 生命はほとんどすべて多細胞「個体」の形態をとっている。 それはわれわれの目がこのような定住者をしか見ないからである。もちろんこのことがただちに, 多細胞 「個体」 という生のかたちの優越を示すものではない。漂泊し越境し時に仮住するこれら不羈の生命の形態たちにたいして,これら大小の共同体としての「個体」は, たしかに 「新しい」 発展形態ではあるが, それらが生命の 「本来の」 形態たちを駆逐し去ったわけでなく,ノマディックな生命たちは「個体」の集

【読書ノート】真木悠介『自我の起原』1

 『われわれの身体を構成する遺伝子の90%ほどが「無意味な」あるいは「無益の」遺伝子たちであることを見てきた。このことは,何が「ふつう」で何が 「ふつうでない」かについてのわれわれのものの見方を反転すべきことを示唆する.これら「無意味な」ものの存在とその一般性は,たとえば乗客というものが列車の必要部品として発明されたのではなく,列車の方が乗客のために作られたのだということをよく思い起こさせる. つまり個体のために「遺伝子」というものが存在するわけでなく,「個体」という複合体こ

【読書ノート】リチャード・ワイズマン『運のいい人の法則』1

「運のいい人」とは 運のいい人であるということは、単なる偶然ではなく、考え方や行動によって作り出されるものであると言える。研究によると、運のいい人は、一般的に楽観的で、目標達成に向けて積極的に行動し、自己肯定感も高い傾向にあることがわかっている。 ポジティブな思考と行動が運を呼び込む 運のいい人の特徴を真似るには、まず、ポジティブな思考を持つことが重要だ。毎日、良いことが起こると信じ、目標を明確にして、それを達成するために努力することで、運を引き寄せることができる。また

【読書ノート】山口 周『ニュータイプの時代』1

寿命100年時代と企業の短命化 ・個人の寿命が延びる一方、企業の寿命は短縮しており、S&P500企業の平均寿命は約60年から20年未満にまで減少している。 キャリア期間が企業寿命を上回る ・個人の働く期間が企業の寿命を上回る時代となり、一社での終身雇用が現実的ではなくなっている。 複数回のキャリアチェンジが必要 ・企業の短命化に対応するため、職種や業界を柔軟に変えながら働く必要性が増している。 「ニュータイプ」の働き方 ・変化に適応し、複数のスキルを身につける「ニュータ

【読書ノート】山口 周『ニュータイプの時代』2

これまでの社会では「問題解決者」が高く評価された ・長い間、社会は「問題を解決できる人」を高く評価してきた。これは、多くの「不安」や「不便」などの問題を解決することが、大きな富を生み出す手段だったから。 問題解決能力の供給過剰 ・MBA取得者が増加したことなどにより、ビジネスにおける問題解決能力が過剰に供給され、もはや希少性を失いつつある。 「問題解決」が価値を失う理由 ・たとえ優れた「正解」を出せても、他者と同じであれば評価されにくく、差別化が求められる時代には価値が低