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タヌキの親子見聞録 ~高野山編~

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和歌山県高野山から奈良県吉野・飛鳥を巡り、姫路城へ  たぬきの親子、ハードスケジュール旅を行く Apr.2024
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タヌキの親子見聞録 ~高野山編~ 外伝

タヌキの親子見聞録 ~高野山編⑥~大阪~兵庫(姫路)

第1章 子ダヌキたちの夢の都大阪から姫路へ  飛鳥駅から1時間半ぐらいで大阪駅に着いた。電車の乗り継ぎは、母ダヌキも子ダヌキたちもちんぷんかんぷんで、父ダヌキの背中を一生懸命追って行くしかできない。父ダヌキは、迷いなく乗り換える先の乗り場へ歩くので、その点は本当にすごいと、タヌキたちは尊敬していた。  天王寺駅で200円ぐらいしか運賃を払わないのに、あと10駅先でようやく大阪に着くと聞かされて、 「山口だったら200円じゃ2駅3駅ぐらいしか乗れないんじゃない」(そんなこと

タヌキの親子見聞録 ~高野山編⑤~奈良(飛鳥)

第1章 飛鳥駅で腹ごしらえ  近鉄吉野線の吉野駅から約40分電車に揺られて飛鳥駅に到着した。天気は灰色の雲が浮かんでいて青い空が見えないが、傘はいらない空模様だった。  飛鳥に到着したのは1時半前で、そこからはレンタサイクルで古墳等を回るため、駅で手早くお昼ご飯を食べることにした。飛鳥駅は、開放的な駅で、冬だったら寒かっただろうが、4月上旬のその日は、曇り空でも温かく、駅舎のベンチに腰掛けて、さっき吉野で購入した「やっこ」の柿の葉寿司と、残っているスティックパン二本を食

タヌキの親子見聞録 ~高野山編④~奈良(吉野)

第1章 青く燃える権現様  吉野の山は、完全にお祭りムードであった。桜の見える展望台から道に出ると、さらに上の方へ道が続いていた。その道の両脇には、だんごや干し芋、焼き栗や柿の葉寿司など、様々なものが売られていた。タヌキ一家も、美味しそうなものに飛びつきたかったが、まずは金峯山寺へ、今だけ見られる金剛蔵王大権現を見に先を急いだ。道の途中、お土産物屋に貼ってあるポスターで、金剛蔵王大権現拝観割引券を販売しているとわかったので、そのお土産物屋でチケットを買った。  様々な美味

タヌキの親子見聞録 ~高野山編③~和歌山(高野山)~奈良(吉野)

第1章 メインストリートは外国人が多かった  大門から千手院橋(東)のバス停まで歩いて向かう途中で、大切なことに気が付いた。 「お父さん、宿坊にお参りするの忘れてる」  母ダヌキは、昨年の11月に行けなかったときに、キャンセル料を免除してくれた宿坊にお参りをしようと決めていたのに、雨やバスの時間で急いでいて忘れていたことに気が付いた。 「そうだった。ここからなら根本大塔を通れば近道だから」  と、父ダヌキが言うので、根本大塔に行くと、境内の向こうに、タヌキ一家が宿泊するは

タヌキの親子見聞録 ~高野山編②~和歌山(高野山)

第1章 何よりもだんご  高野山は、今から1200年以上前の弘仁7年(816)に、唐の国で学び、帰国した弘法大師(空海)が根本道場を開いた真言密教の聖地である。紀州半島のほぼ中央、和歌山県に位置し、1000m級の山々に囲まれた山上の盆地に形成されたこの宗教都市は、世界中から人々が訪れる祈りの地であり、世界文化遺産にも登録されている。 「ほとんど外国の人ばっかりじゃん」  高野山駅から出て、コインロッカーに荷物を預けようと探していると、我先にと、コインロッカーを求める人たち

タヌキの親子見聞録 ~高野山編①~和歌山(高野山)

第1章 タヌキの親子 紅葉を見て泣く  世の中が新型コロナウィルスの流行前に戻ろうとし、タヌキの親子たちの周辺も、以前のままとはならないが、中止されていた学校行事が復活するなど、多くの人達が集まって賑わうことが多くなってきた。タヌキ一家も、令和5年7月の東北、8月の三瓶山に続き、11月には、紅葉真っ盛りの高野山へ、土日を利用して旅する予定であった。計画は、三瓶山後の9月に思い立ち、高野山のお寺に泊まるべく、宿坊探しをおこない、紅葉シーズン真っ盛りに、運よく宿坊の予約にあり