たぬきの親子

~たぬきの親子見聞録~ Japanの本州の端っこあたりに生息するたぬきの親子による見聞録

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~たぬきの親子見聞録~ Japanの本州の端っこあたりに生息するたぬきの親子による見聞録

マガジン

  • タヌキの親子見聞録 ~熊野古道編~

    熊野古道中辺路をたどる熊野三山巡礼記 Jul.2024

  • タヌキの親子見聞録 ~高野山編~

    和歌山県高野山から奈良県吉野・飛鳥を巡り、姫路城へ  たぬきの親子、ハードスケジュール旅を行く Apr.2024

  • タヌキの親子見聞録 ~島根県三瓶山編~

    島根県大田市にある三瓶温泉を目的に国立公園三瓶山界隈を巡る。 Aug.2023

  • タヌキの親子見聞録 ~東北旅編~

    Jul.2023 山形県~宮城県~岩手県を巡るたぬきの親子日月抄

  • タヌキの親子見聞録 ~萩往還編~

    萩往還とは、江戸への参勤交代での御成道として開かれた、日本海に面した萩城下町(萩市)から瀬戸内海の海港・三田尻(防府市)までを結ぶ、全長約53㎞の街道。たぬきの親子による歩破記録。

最近の記事

タヌキの親子見聞録 ~熊野古道編⑨~

第1章 圧倒的な那智の大滝  熊野三山の最後の目的地である熊野那智大社で、那智の大滝を近くで見ずに帰ることができようか。蒸し暑くても、足の膝が笑っていても、那智の大滝の側で、あのマイナスイオンにじかに触れないで帰るのはあり得ない。 「よし、とにかく水分補給しながら、頑張って下まで歩こう」  自分で歩かないと、目的地までは行けないのだから、タヌキたちは力を振り絞って石段を降りて行った。 車が通る道を気をつけて渡り、大きな石段があるところまで歩いて行く途中で、兄ダヌキが

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    • タヌキの親子見聞録 ~熊野古道編⑧~

      第1章 ビュッフェ占い  ビュッフェ会場は、玄武洞があるのと同じ日昇館のレストラン「サンライズ」というところであった。タヌキ一家が予約の午後6時半の10分前に着くと、もう何組か並んでいる人がいた。受付を終えて会場に入ると、すでに午後6時から食事を始めている人があちこちで食事をとっていた。 「せっかくだから海が見える席で食べたいね」  タヌキたちは、海が見える席を探して奥へ奥へと向かった。奥から3席目あたりで空いたテーブルを見つけたので、そこに座ると、自分たちが食事中で

      • タヌキの親子見聞録 ~熊野古道編⑦~

        第1章 大門坂は暑かった  大門坂駐車場に着いたのは、午後1時40分ぐらいだった。さっきの神倉神社を登る時に買ったスポーツドリンクを飲んだが、すぐにのどが渇くような暑さで、天気はとても良かった。大門坂駐車場にあった観光案内所で、大門坂だけ往復するとどれくらい時間がかかるか聞くと、片道40分で、余裕をもって午後3時くらいにはこの駐車場に帰って来られると確認し、大門坂へ向かい歩き出した。 民家のある小道を登っていくと、石階段の向こうに小さな鳥居が現れ、朱塗りの小さな橋を渡る

        • タヌキの親子見聞録 ~熊野古道編⑥~

          第1章 鮮やかな熊野速玉大社  熊野三山の中で熊野速玉大社だけは、急な階段を上ることなくお参りできる。 小さな朱塗りの橋を渡ると、石畳の道をまっすぐ行けば拝殿があるのだろうが、その前に、左に大きな木が、石でできた柵に囲まれて立っていた。これが国指定の天然記念物にもなっている梛(なぎ)の御神木だ。樹齢およそ1000年といわれるその御神木の前でタヌキ一家は止まると、みんなで一礼をした。その御神木が、この御社のドンのような気がしたからだ。その木の側には、「世界平和を祈る梛の御

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        • タヌキの親子見聞録 ~熊野古道編~
          9本
        • タヌキの親子見聞録 ~高野山編~
          7本
        • タヌキの親子見聞録 ~島根県三瓶山編~
          2本
        • タヌキの親子見聞録 ~東北旅編~
          5本
        • タヌキの親子見聞録 ~萩往還編~
          10本
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          5本

        記事

          タヌキの親子見聞録 ~熊野古道編⑤~

          第1章 足がつってもまた歩く  『野中の清水』を飲んで、旅館のクーラーで涼みながら休んでいると、車の運転で疲れた父ダヌキが一番に眠ってしまった。母ダヌキは、汗をかきすぎて浴衣では眠れなかったので、持参したパジャマがわりの服を着て髪を扇風機で乾かしていると、テレビを見ていると思った子ダヌキたちもいつの間にか眠ってしまっていた。母ダヌキも、明日の朝食を楽しみに午後10時過ぎには眠りについたのだが、夜中に飛び起きないとならない事件が起こった。 「うぅっ‼」  川の字に並んで

          タヌキの親子見聞録 ~熊野古道編⑤~

          タヌキの親子見聞録 ~熊野古道編④~

          第1章 絶対に全部食べる  1階の夕食会場には、すでに料理が運ばれていた。畳の部屋に上がると、タヌキたちはそれぞれ席に着いた。部屋の窓からは、石橋の向こうの川沿いに世界遺産の『つぼ湯』が見えた。 「お飲み物はどうされます?」  旅館のご主人が料理の説明をしてくれた後、飲み物についても簡単に説明してくれたが、実際にどんなものがあるのか見てみないとわからなかった。 「では、玄関横の冷蔵庫にありますので、見て選んでください」  そう言われて、タヌキたちはご主人について冷

          タヌキの親子見聞録 ~熊野古道編④~

          タヌキの親子見聞録 ~熊野古道編③~

          第1章 染みわたる野中の清水  滝尻王子の駐車場でタヌキ一家が車に乗り込むと、汗のにおいがムッと鼻を突いた。 「多分、レンタカー屋さん困るね」  父ダヌキは、少しでも被害が少なくなるように、シートと背中の間に首に巻いていたタオルを挟んだ。 「仕方ないよ、めちゃくちゃ暑いんだから」  母ダヌキは、山に持っていったスポーツドリンクを飲み干すと、カバンの中に残っていた麦茶の残りを飲みながら言った。子ダヌキたちも、山歩きのために着ていた長袖を脱ぐと、冷房の風が当たるところ

          タヌキの親子見聞録 ~熊野古道編③~

          タヌキの親子見聞録 ~熊野古道編②~

          第1章 熊野古道の玄関口  「とにかく国道311号にぶつかればいいんだから」  レンタカーで滝尻王子を目指す出だしから、カーナビの案内と母ダヌキの案内が一致せず、カーナビの案内を選んで、この道でいいのか迷いだした父ダヌキに、母ダヌキは、手に持っていた道案内のメモを膝に置いて、落ち着かせるために言った。 「多分、しばらくカーナビ通りに行けば、必ず国道311号にぶつかるから。とりあえずこのままナビ通りに運転して」  知らない道で、ナビを見ながら運転すると事故に遭いそうで

          タヌキの親子見聞録 ~熊野古道編②~

          タヌキの親子見聞録 ~熊野古道編①~

          第1章 親の心 子の心 「私はみんなと旅をしない。また怒って旅を台無しにしたくないから」  今年の4月に高野山を旅して、最後に怒りに狂って、楽しいはずの旅を台無しにしてしまったことを後悔している母ダヌキは、夏休みの旅について、自ら積極的に話題にあげることをしなかった。だからといって、夏休みに何もしないわけにはいかない。 「あんたたちはどこか行きたいところない?」  以前から行こうと計画していた熊野古道のことは口にせず、子ダヌキたちの行きたいところを聞き出そうとした。

          タヌキの親子見聞録 ~熊野古道編①~

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          海は変わらずきれいなのに・・・

          海は変わらずきれいなのに・・・

          タヌキの親子見聞録 ~高野山編~ 外伝

          タヌキの親子見聞録 ~高野山編~ 外伝

          タヌキの親子見聞録 ~高野山編⑥~大阪~兵庫(姫路)

          第1章 子ダヌキたちの夢の都大阪から姫路へ  飛鳥駅から1時間半ぐらいで大阪駅に着いた。電車の乗り継ぎは、母ダヌキも子ダヌキたちもちんぷんかんぷんで、父ダヌキの背中を一生懸命追って行くしかできない。父ダヌキは、迷いなく乗り換える先の乗り場へ歩くので、その点は本当にすごいと、タヌキたちは尊敬していた。  天王寺駅で200円ぐらいしか運賃を払わないのに、あと10駅先でようやく大阪に着くと聞かされて、 「山口だったら200円じゃ2駅3駅ぐらいしか乗れないんじゃない」(そんなこと

          タヌキの親子見聞録 ~高野山編⑥~大阪~兵庫(姫路)

          タヌキの親子見聞録 ~高野山編⑤~奈良(飛鳥)

          第1章 飛鳥駅で腹ごしらえ  近鉄吉野線の吉野駅から約40分電車に揺られて飛鳥駅に到着した。天気は灰色の雲が浮かんでいて青い空が見えないが、傘はいらない空模様だった。  飛鳥に到着したのは1時半前で、そこからはレンタサイクルで古墳等を回るため、駅で手早くお昼ご飯を食べることにした。飛鳥駅は、開放的な駅で、冬だったら寒かっただろうが、4月上旬のその日は、曇り空でも温かく、駅舎のベンチに腰掛けて、さっき吉野で購入した「やっこ」の柿の葉寿司と、残っているスティックパン二本を食

          タヌキの親子見聞録 ~高野山編⑤~奈良(飛鳥)

          タヌキの親子見聞録 ~高野山編④~奈良(吉野)

          第1章 青く燃える権現様  吉野の山は、完全にお祭りムードであった。桜の見える展望台から道に出ると、さらに上の方へ道が続いていた。その道の両脇には、だんごや干し芋、焼き栗や柿の葉寿司など、様々なものが売られていた。タヌキ一家も、美味しそうなものに飛びつきたかったが、まずは金峯山寺へ、今だけ見られる金剛蔵王大権現を見に先を急いだ。道の途中、お土産物屋に貼ってあるポスターで、金剛蔵王大権現拝観割引券を販売しているとわかったので、そのお土産物屋でチケットを買った。  様々な美味

          タヌキの親子見聞録 ~高野山編④~奈良(吉野)

          タヌキの親子見聞録 ~高野山編③~和歌山(高野山)~奈良(吉野)

          第1章 メインストリートは外国人が多かった  大門から千手院橋(東)のバス停まで歩いて向かう途中で、大切なことに気が付いた。 「お父さん、宿坊にお参りするの忘れてる」  母ダヌキは、昨年の11月に行けなかったときに、キャンセル料を免除してくれた宿坊にお参りをしようと決めていたのに、雨やバスの時間で急いでいて忘れていたことに気が付いた。 「そうだった。ここからなら根本大塔を通れば近道だから」  と、父ダヌキが言うので、根本大塔に行くと、境内の向こうに、タヌキ一家が宿泊するは

          タヌキの親子見聞録 ~高野山編③~和歌山(高野山)~奈良(吉野)

          タヌキの親子見聞録 ~高野山編②~和歌山(高野山)

          第1章 何よりもだんご  高野山は、今から1200年以上前の弘仁7年(816)に、唐の国で学び、帰国した弘法大師(空海)が根本道場を開いた真言密教の聖地である。紀州半島のほぼ中央、和歌山県に位置し、1000m級の山々に囲まれた山上の盆地に形成されたこの宗教都市は、世界中から人々が訪れる祈りの地であり、世界文化遺産にも登録されている。 「ほとんど外国の人ばっかりじゃん」  高野山駅から出て、コインロッカーに荷物を預けようと探していると、我先にと、コインロッカーを求める人たち

          タヌキの親子見聞録 ~高野山編②~和歌山(高野山)