国立公立私立で違うのは学費だけではない_大学選び
「できれば国公立の大学に行きたい(行かせたい)」という高校生(その親)は多い。「どうして?」と聞くと、ほぼ全員が「学費が安いから」という。
たしかにそれもあるけど、親世代の大学時代と比べると学費の差は少なくなり、「国公立大学進学で1人暮らし」よりも、「私立大学進学で実家通い」の方がトータル費用は低いことが多い。しかも、もっといろんな面で違いがある。
ここでは、多様な視点から情報提供して、大学選びの一助になればと考えている。なお、数字は、昨年収集したデータを使ったが、変化していることと大雑把なイメージを掴むことが大切と考えていることから、概数と考えていただきたい。
1 大学数や入学定員
大学数:国立大学86,公立大学102,私立大学622,計810
入学定員:国立大学10万人,公立大学3万人,私立大学50万人,計63万人
■国立大学、公立大学、私立大学の3つを比べる前に、私立大学が8割であることを知っておくといい。
つまり、3種を均等に比較するのは適当でなく、私立大学が大半、公立大学は少数派である。ちなみに国立大学は全都道府県にあるが、公立大学や私立大学がない県もあり、私立大学は大都市圏に偏在している。
2 受験科目数
国立大学:5教科7科目が多い(次回は「情報」が加わるので6教科8科目が多い)
公立大学:国立型と私立型の両方がある
私立大学:2、3科目が多い(学力検査のない年内入試も多い)
■受験生の立場から、受験科目は大学選びの重要ポイントである。
国立大学には、苦手科目でも粘り強く頑張る学生が多い印象があるのは、受験科目も影響しているのだろう。(高校教員が生徒に、国立を目指してほしいという意図はこの点にもあると考える)
3 教員1人当たり学生数
国立大学:9人
公立大学:11人
私立大学:19人
■国公立大学は、学生に対して教員が多くいるということである。
文系か理系か、理系でも工学系か医療系か等にもよるが、3,4年時のゼミの人数にその差が出る。一般的に国公立大学のゼミの方が、少人数できめ細かい対応をしていると言えるだろう。もちろん、それを活かすか活かさないかは学生による。
一方、私立大学には、学生支援の組織やセンター等が充実していることが多い。具体的には、キャリア支援、外国語学習支援、留学支援、学修支援等であり、こちらも活かすか活かさないかは学生による。
4 長期休み
一般的に国公立大学は夏休みが長めで、私立大学は春休みが長めである。
■国公立大学より私立大学の方が一般入試の時期が早いことが関係していると思われる。
単位修得に必要な授業時間数は同じなので、どこに長期休みを置くかの違いだろう。なお、授業時間確保のため、祝日も授業を行っている大学は私立大学の方が多そう。