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職場がホワイトすぎて辞めたいよりも心配なこと

「職場がホワイトすぎて辞めたいと仕事のゆるさに失望し、離職する若手社会人が増えている。」と日経新聞が報じたのが2022年の年末。なぜホワイトでも辞めるのかという疑問点と、じゃあどうすればいいんだという会社側の困惑が話題になった。前者は、「転職も視野に入れる彼らには成長の機会が奪われていると感じられ」たそうで、後者は困惑を笑いに誘っているように私は受けとめた。

実際、ホワイトな会社で、上司が新人に気を使いすぎていて、「ゆるさ」というより「ぬるさ」を感じて辞めたと言っている新人を知っている。しかし、よくよく話を聞くと、他にも待遇面や人間関係などの理由があって辞めたそうである。このように、離職には多くの理由が重なった上で、何か引き金があって決断するものだと考える。多くの材料から決断して就職したはずなので、ゆるさ(ぬるさ)だけで辞めるケースは多くないと考える。したがって、「ホワイトすぎて辞めたい」は、このケースを否定しないが、センセーショナルな部分の切り抜きだと思っている。

さて、私の周囲の大学生のうち、「ゆるさやぬるさを、成長の機会が奪われる」と感じる意識高めの大学生は多く見ても1割と考える。実際、「心理的安全性の高い職場」を「ストレスのないぬるい職場」と誤って解釈し、そんな職場に就職したいと考える学生がとても多いように感じている。そんな学生は、業界関係なく、成長できる職場よりもストレスのない職場を探している。さらに、その中の一部の学生は、市役所や県庁がそんな「ストレスのないぬるい職場」の代表例だと考えている。(おいおい、そんな人たちが公務員になったら、高ストレスにやられるか、市民、県民に大きな迷惑をかけるだろう。)

では、そんな学生がたまたまホワイトすぎる職場に就職したらどうなるだろう。ホワイトすぎて辞めるごく一部以外は、ぬるま湯の中で、のんびりしてしまうのが大半だろう。最初はやる気があって就職した若者でも3年目までの成長角度が浅いと、仕事をこなすことに気持ち100%となり、防衛能力だけが高い仕事人間になりがちである。さらに、社内では、まあいいか症候群が蔓延化し、対外的な競争力が失われていくだろう。こうなると、それに気づいた上司がきつく言えば若手が辞めていくといった悪循環が心配されるのである。

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