私が勢いで全寮制高校の先生になった結果(教員編)
内定通知書の郵送が遅れる、内定者説明会の案内が3月上旬まで来ないなど軽微なトラブルには見舞われたものの、無事教員としての人生を歩み出すことに成功した私。周囲の心配や警告も振り切って猛進していく私に、全寮制高校の壁が立ちはだかる。
これは、落ちこぼれ大学生だった私がポンコツ教師として働き続けた全寮制高校の記録である。
①学校で一人暮らし
3月下旬のうららかな春の日、内定者説明会を無事終えた私は社会人としてのスタートを切るべくある契約書にサインしていた。『住居賃貸契約書』である。
学校があるのは地元から電車で約3時間かかる田舎であったため、私は早急に住居を決めなければならなかった。何故こんなにもギリギリになったかと言えば、恥ずかしながら家のことを深く考えていなかったからである。
言い訳をさせていただくとすれば、当時内定取り消しという言葉がメディアを騒がせ、実際に私の友人たちも被害を被っていたのだ。内定取り消しで家だけ契約している状況になったらどうしようか、研修会の連絡が届かず何度電話しても「少しお待ちください。」と言われ続けていた私も不安がよぎりアパート探しなどにも躊躇してしまったということだ。
その結果、私はギリギリまで家のことを決めず、結局内定研修会で提案された学内職員住宅を借りることととなったのである。ちなみに見学はさせてもらえなかった。ハウスクリーニングをするという理由だったが、恐らく借り手が付かない事を恐れたからであろう。
斯くして私の居住地は決まった。家賃20000円、築30年を超えた建物は畳が傷み、所々雨漏り跡が目立ち、浴槽に水を張りボイラーで湯沸かしするシャワーなし浴室、何故か泥の匂いが消えないトイレ付二階建て3LDK一軒家がその日から私の城になったのである。
ちなみにその建物はすき間から20㎝級のムカデが入ってきたり、心霊現象が数々起こったり、生徒が職員室からカギを盗んで無断で入り込んだりしたこともあり半年で退去することになる。この辺りはまた別の機会で話そうと思う。
②個性的な同期たち
内定研修会も引っ越しも済ませ、いよいよ教員生活が始まる。私の希望と喜びはピークに達していた。
話は少し変わるが、恐らく会社組織に属する際に最も気になるのが同期の存在であろう。自分と同じ立場から組織に入る仲間であり、苦楽を共にする戦友である。
同期入社したのは私を含めて6人であった。男性4人・女性2人、その内新卒は私も含めて3人だけだ。
今振り返ってみても、個性の強いメンバーであった。転職した人が3人いた事もあり、年齢もこれまでのキャリアも全く違う。親が教師で有名大学の院卒、紆余曲折な人生を歩んできた元警察官、10年近く海外で暮らしていた元日本語教師、等々話をするだけでも刺激的な人々が集まっていた。私などあまりに普通で、凡庸な人生を歩んできたと少し引け目を感じるほどに強烈な彼らの個性は、瞬く間に生徒の興味を惹く存在になっていった。
同期の存在は、私にとって励ましであると同時に強い劣等感を抱かせた。「自分には生徒に語ることのできる成功体験や人生の経歴など何もない」新しい教員を見る生徒の目は残酷なほど素直だ。
地味でおとなしく、何か強烈なインパクトがあるわけでもない、そんなつまらない新人教員に興味を持つ生徒はほとんどいなかった。初めの1ヶ月位までは、ほかの同期に比べて生徒と距離があることを異常に気にしていた。
ただ後ほど、彼らの強い個性がきっかけで生徒が私に共感を持つようになり、信頼関係を築くきっかけとなったこともある。それは教員として正しい姿であったのかは未だに答えが出ないが、彼らの存在は私の教員としての在り方に大きな影響を与えていたことは間違いないのだ。
なお、今でもその学校で働いているのは二人だけである。私も含めほとんどが3年以内に退職や解雇に至った上に、うち2人は1年で学校を去っていった。1人は学校中を巻き込んだ大トラブルを起こし、もう1人は学校を相手に裁判を起こしていたのである。
あとがき
書きたいことが沢山あり過ぎて悩みながらここまで書きました。
上記でさらっと書いたお話も、また小ネタとしてnoteにまとめるつもりです。ちなみに、私はこの学校で勤務するまで幽霊なんて全く信じていませんでした。
けれどこの学校をきっかけに、実際に不思議な出来事や怖いことに何度か遭遇した経験もあり、今となっては幽霊の存在に対して肯定も否定もできない立場にいます。
この辺のお話は賛否両論あると思うので、あくまでも当時の私が感じたことをそのまま残して行けたらなと思います。
さて、ここからは時系列で書こうと思うと更新が滞ってしまうので、思い出したことから順番に書いていきます!
もしかしたら、最初に退職したきっかけとかを書くことになるかもしれません。如何せん思い出そうとすると、記憶にフィルターが掛かってしまうこともあるので。。。
ということで、また次回以降もお付き合いいただければ嬉しいです。