規格外野菜と消費者意識
こんな情勢で全く行けてないけど、一昨年までは農業生産法人横須賀アグリファミリーの研修アメリカやスペインの農産物の製造法、管理、保管や売り方を勉強しに年に一回は研修旅行を実行していた。
5年ほど前、アメリカのオレゴン州ポートランドのスーパーに入った時、そのスケールもそうだが、オーガニックの文字と野菜の形、その売り方に度肝を抜かれた思いがある、アメリカといえば、あまり自分に知識がなかったかもしれないが、どでかい雄大な農地と大型の農業機械を駆使し、その土地の気候や土壌に最適な作物を大量に生産しているイメージがある。とにかく労働生産性を高め大規模出荷の繰り返し。農薬や化学肥料の使用、農業機械の進歩等の大規模工場並の生産体制を行なっているようなイメージだ。
しかし、意識が高い「人」が住みたい街として集まったポートランド、「全米でいちばん住みたい街」「全米で最もサステナブル(持続可能)な都市」「全米で最も環境にやさしい街」「全米で最も省エネ努力をしている都市」など、さまざまなランキングでNo.1を獲得している。
そんな街だからこそ、もあるとは思うが、各所のスーパーのほぼ全ての野菜が地元産であり、オーガニック有機農産物であった。そして毎日どこかの街角で大規模なマルシェも開催されていた。
オーガニックスーパーでもマルシェでもカラフルな野菜が目立ち一際写真映えする光景が広がるが、よおく見てみるとその一つ一つの野菜は、日本で言うところの規格外野菜、曲がっていたり、折れていたり、虫が食っていたり、、、でもそんな野菜が当たり前のように並んでいるし、特別価格を下げて売ってるわけでもなく、普通に売られている。手に取るお客様も気にする様子もなくそういった野菜をカゴへと入れていくのである。これが当たり前の光景になっている。もちろん自分たちも同じようにその野菜たちを買って料理をしていた。
考えてみればこれがごくごく普通であり、一つ一つの野菜をまっすぐに綺麗に虫食いなく育てるには生産者の時間と手間とそして選別されるロスのおかげでよりエリートな野菜たちがスーパーの並ぶのである。もちろん規格が決められているのは物流網や箱の規格、売りやすさ、加工のし易さと言う、作り手よりも買い手の都合によるところが大きい。この場合の買い手はスーパーや仲買問屋などの中間業者であり、そこを通しての販売網が大きいために消費者はそれが当たり前のように、まっすぐな綺麗な野菜たちのエリートたちが集まるその様子が当たり前になってしまっているのである。だから日本における曲がっている野菜、虫がちょっとだけ食ってる野菜、折れている野菜は普通に売ってはいけない規格外野菜になってしまっているのである。
三浦半島は大規模な生産地が続いているが、地方の大規模生産地と比べれば作付け面積等やはり小規模な生産者が多い場所である、地方の大規模農場であれば大型耕作機やハウスを使用しロスが出てもなんとか利益につながる商売ができるとは思うが、都市型小規模な生産者にとっては、この不揃いなロスが大きな痛手となってしまうのでる。もちろん大規模農場でもこのロスの問題は大きな課題ともなっている。
様々な提案、やり方等多くあるが、やはり消費者の意識がほんのちょっと変わるだけでこの問題は解決できるんではないかな、、、と思う。人間と一緒でそれぞれ様々な性格を持つ野菜達がいる、様々な個性を持った野菜達がいる、弱い子もいれば強い子もいる、濃い色の子もいれば薄い色の子もいる、大きい子や小さい子、成長時に石があったらちょっと曲がちゃう子だっている、全部自然の中で起こること、味わいや栄養はエリートもそうでない子もさほど変わりはしない、、、
こういった消費者意識の変化が、劇的に生産物やその生育環境を変えるんじゃないかなと、、、もっとオーガニックも広まるだろし、生産者の思い溢れる美味しい野菜がもっと、もっと世の中に出てくると思う。
生産者も消費者もお互いに笑顔になれる、そんな野菜達が世に出てくると思う。まずは味わってみて欲しい、そんな思いで横須賀市役所地下にある横須賀セントラルキッチンではやんちゃな個性的な野菜達を詰め放題でお客様にご提供しています。やんちゃながらも美味しいんだ!!と理解してもらうために、、、
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