消えた日本の貴族 「旧前田家本邸」
かつて日本には「華族」と呼ばれる
貴族階級があったことを知っていますか?
時代が明治に変わり
江戸時代に公家や武家の身分だった人達の
新たな身分として制定された特権階級です!
ちょうど現在放送中の朝ドラ「虎に翼」に
登場する桜川涼子が華族なので
ドラマを見てもらうと
どういう人達か想像できます。
この貴族階級は戦後の1947年に廃止され
今では一条や西園寺などの名字にその名残があるだけです。
その華族の現代からは想像のつかない暮らしが
想像できる邸宅をご紹介します!
見よ、これが華族の邸宅だ!
昭和4年(1929)
華族「前田家」の邸宅として
東京都目黒区駒場に建てられました。
外観のデザインはチューダー様式と呼ばれる
カントリーハウスによく用いられた様式。
カントリーハウスとは
イギリスなどで貴族が郊外に建てた邸宅のことで
16~20世紀にかけて流行しました。
思いっきり西洋の建物というわけでなく
造りは鉄筋コンクリートで
外壁にスクラッチタイルを貼るという
西洋には無い造り。
関東大震災後に建てられたので
地震に強いアレンジがされています。
入ってすぐ右側には来客をもてなす応接室が並び
どの部屋からも四季折々の広い庭が見渡せます。
晩餐会のための大食堂は
最大で26人までディナーが出来ました!
富豪の象徴銀食器
銀食器は定期的に磨かないと黒ずむので
手入れが大変なんです。
磨いてくれる使用人がいないと無理!
旧前田家本邸といえばこの階段ホール!
この階段ホールといえば旧前田家本邸!
なんとも優雅な階段!
今にも令嬢が降りてきそう・・・
柔らかな色合いのステンドグラス。
雰囲気を一気に盛り上げます!
2階は主にプライベート空間。
書斎や婦人、子供部屋が並びます!
婦人の部屋は主に家族や親類が集まる
居間として使われたそうです。
1泊何十万とする高級ホテルのような寝室。
家具はイギリスで調達したそうです!
忘れちゃいけない和館もあります!
写真には写ってないですが
洋館と渡り廊下で繋がっています。
和館は主に外国からの貴賓に
日本文化を伝える空間だったそうです。
エリート軍人 「前田利為」
この邸宅の主人は
加賀藩16代目当主「前田利為」
戦国武将「前田利家」の子孫です。
加賀藩といえば石川県なのですが
この建物があるのは東京都目黒区駒場。
江戸時代から前田家の屋敷は東京の本郷にあり
明治以降も同じ場所に住んでいましたが
関東大震災後の復興計画により
現在の駒場に移るきっかけで
この邸宅を建てることになりました。
前田利為は元は前田家の分家で
語学が堪能で外交官を目指していたようですが
15歳で本家に入り家督を継ぐこととなります。
「武家の家長たるもの武人たるべし」とのことで
軍人の道へ進みます。
明治44年、陸軍大学校で成績優秀者に送られる
恩恵の軍刀を授かり卒業。
大正2年からヨーロッパ諸国に留学し
世界情勢を肌で学び
昭和2年には日本大使館付けの武官として
イギリスに3年間赴任しました。
海外生活が長かった利為にとって
西洋式の生活が体に染み付いていたそうで
明治時代に入り西洋館を建てる人は
洋館は主に商談の場で
普段は和館で生活することが多かったのですが
利為は洋館で普段の生活もしていたのです。
陸軍中将まで登り詰めた利為でしたが
58歳の時に飛行機事故で殉職し
陸軍大将に昇格。
この屋敷には10年ほどしか住むことが
できなかったようです。
「我が国には外国の貴賓を迎える邸宅がない!」
と、ヨーロッパ諸国を見てきた利為は
残念に思っていたとのことで
この邸宅は迎賓館として使えるよう
設計されたと言われます。
洋館で園遊会やパーティーをして
貴賓をもてなし
和館では前田家伝来の
美術品や刀などの文化を伝える。
自宅でありながら
海外に日本という国を発信する施設のような
使い方だったみたいですね。
外交官を目指した利為ならではの邸宅。
納得です。
蘇った大豪邸
終戦後の昭和20年(1945)
この邸宅は連合軍に接収され
内装の一部を改変されてしまいました。
昭和32年(1957)の接収解除後は
東京都近代文化博物館として利用され
平成28年(2016)から2年かけて
接収時に失われた内装を復元し
現在の姿になりました!
これだけの大豪邸
修理も維持するのも大変だと思うのに
なんとこちら見学料が無料!!!!
どうかしてる(褒め言葉)
今では想像できない華族の生活を
肌で感じることのできる貴重な建物
ぜひ見学してみてください!
Information
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