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「探究」の産みの親? 東京コミュニティスクール初代校長・市川力さんと炭谷俊樹が、探究型を実践してきたからこそ見えたもの。

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最近、学校のカリキュラムや学習塾で耳にする「探究」という言葉。なんとなく意味はわかっているつもりでも、「探究」とは、そもそも何なのか。これからの時代に必要な力についてアンテナを張っている人なら、1度は考えた問いではないでしょうか。

この「探究」の本質を、探究賢者とQ責任編集・炭谷俊樹が話していくのが、『探究対談』です。第1回目のゲストは、探究型の学びを行うマイクロスクール・東京コミュニティスクール(TCS)の初代校長であり、『探究する力』の著者である市川力さん

ラーンネットは設立から23年、TCSは設立から15年。時代に先駆けて探究型の学びを実践してきた2人が考える「本物の探究」とはなにか。実践してきたからこそ見える、今の景色とは? 「すみさん」「リキさん」と呼び合う2人が、15年前の出会いの様子から語りつくします。

市川:今日の対談、すごく楽しみにしてきました。というのは、実はこれまで探究について炭さんとちゃんと話す機会ってなかったような気がするんで。

——『探究する力』の本を作った時にいろいろ中身は議論したけど・・。でもあれからもう10年だね。

市川:最初に山中湖で合宿したのが2008年。探究っていうものをそろそろ表に出していこうと「知の探究社」というコンソーシアム的なものをつくりましたよね。その第一弾で本を出そうということになり『探究する力』を書いて、出版されたのが2009年2月。

——2004年からTCSの初代校長を12年務めて、探究にずっと関わりつづけてきたよね。

市川:2003年にアメリカから戻って来て、探究の学びをやるとか学校を運営するとかそういうつもりはなくて、たまたま久保さん(TCS理事長)と出会い、正直、巻き込まれた感じでしたね。プロジェクトベースの学び方について知ってはいたけど、自分がやるという意識は全くなくて。2004年の7月、TCSの発足に手を貸す覚悟をしたとき、ラーンネットの炭谷さんに会ってほしいと久保さんに言われて、市ヶ谷のルノワールで会ったのが最初でしたよね。

——あれは僕も覚えてますね。

市川:でも、あの頃、京大の西村和雄先生たちの書いた「分数のできない大学生」が話題になって、学力低下論争が盛り上がり、ゆとり教育とか総合学習とかが強烈にバッシングされた時代でしたね。だから、ラーンネットやTCSのような教育スタイルに関心を持つのは、いわゆる「オピニオン層」と呼ばれる、海外に出た経験があり、新しい教育の必要性を痛感していた高学歴で高意識を持ったほんのわずかな人たちでした。

——当時は、「基礎学力に戻れ!」って、すごい圧力があったよね。

市川:TCSを開校した当時、入学を考える保護者の質問もそこに集中していたのを思い出しますね。「こういう学びはいいんですけど、九九はどうなるんですか」とかね。懐かしいな。

——そういう時代背景もあって、なんかやんないとまずいねって、久保さん、リキさん、僕と、国際バカロレア(IB)の推進に貢献されている大迫さんと話をして。当時、学力重視の教育とは違った教育のあり方を提示したくても、オルタナティブスクールがそれぞれバラバラのキーワードを使ってたんですよ。

だから、キーワードを決めるために、色々議論しましたよね。そうして出てきたのが、「探究」だった。「探究っていうキーワードで、新しい教育を推進していくべきだ」って決めたんですよね。

市川:そうでしたね。「探究」というキーワードが見つかって盛り上がった記憶があります。今では世の中のあちこちで「探究」って言われるようになったけど、「探究」って僕たちから始まったんだった。急に誇らしくなっちゃったな。

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