コラム「日本の未来は暗くない、ヒヤマケンタロウの妊娠を観て思った事」
今日はNetflixで「ヒヤマケンタロウの妊娠」を観た。俳優の斎藤工演じる広告代理店の広告マンヒヤマケンタロウが思いがけず妊娠する、という話である。
前置きを説明すると、ヒヤマケンタロウは決して子供を持つこと、出産後も働くこと、男性も育児に参加することに肯定的ではなく、否定的な人間だった。特定の恋人を持たず、自由気ままに恋愛している。そんな設定だ。
ところが、ある日吐き気が続き、居ても立っても居られなくなり病院で診察を受けたところ妊娠が発覚した。
そこまでを観て私は
「えー、男の人が妊娠?ないでしょ」
と言った(現実的に無理では?と思ったのだ)。
すると、高校生の息子と小学生の娘がすぐさま声を上げた。
「今の世の中は男女平等、どちらが妊娠してもいいのだから」
「男性が妊娠したら女の人は楽になるね」
「子育てに性別は関係ないよ」
そう言った。
私は、ほんの少し若いふたりに圧倒された。そして
「そうだねぇ、今は恋愛も結婚も性別は関係ないもんねぇ。出産もそうならいいかもね」
と答えた。
事あるごとに「LGBT(トランスジェンダー)」に関して、未だ偏見が多いように思う。それに「男だから、女だから」の性差が日本社会には根強く残っているように感じる。そんな風に思っていたけれど、子供たちの中では「男女」に差は無いと捉えられている。
これっていい事なんじゃないかな。日本の社会は、制度や社会の目標として表向きでは推進しているように見えて、実際は進んでないように思っていたけれど、子供たちの認識は違った。
彼らの認識ではもう既に男女という決めつけはなく、一人の人間として存在している。家庭を持つ場合も子育てや育児は男女関係なくふたりでする、そう考えられる環境で成長しているようだ。私は嬉しくなった。
私の子供たちが言うには、
「子供はふたりで育てるもの」
そういう当たり前があるらしい。
私が初めて育児休暇を取得した際は、会社で制度を利用したふたり目くらいだった。それくらい浸透していなくて、休暇を申請したら退職を勧められた。なんとか取得出来たが楽ではなかった。8年後、娘の時は進んで取得させてくれた。その時は「ダイバーシティ制度」を始めとする女性や障害者の雇用促進や推進などが企業の評価基準となっていた。8年でそこまで変わった。
それから10年後、現在は、男女どちらでも家庭に参加すること、性別による差別がない社会、それが若者達に浸透しつつある。
偏見を持つ人たちはゼロではないけれど、ここ数年で、遅れていた日本の社会は欧米各国にほんの少しだけ近づいているのかもしれない。
この意識が変わると、福祉や少子高齢化などの関心や興味が大きく前進するように思う。
小さな事だけど
「幼い頃から否定的な意識」
と
「幼い頃から肯定的な意識」
というのはだいぶ違う。
先進国として、優しい社会であってほしい。ドラマを観てそう感じた。
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