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人生を豊かにするキャリアづくりは、『健康である』ことと『"観"を養う』こと。

多角的な視点で働く人と企業の健康づくりを実行支援するライフデザインファシリテーターの丹後友里です(@tanchan0630)。

4月も後半になりましたね。皆さんのお住まいではもう春爛漫な景色が広がっているのでしょうか。私の地元はまだまだ春の芽吹きは程遠く、もう少し先になりそうな雰囲気です。

今週もざっくばらんに綴る雑記noteを書いてみました。
今回は『読書感想文』ということで、最近(ようやっと)読み終わったこちらの本について、その中身と一緒に私が感じたことをお届けしていきます。


『健やかに働く』ということ

本書のテーマでもある『健やかさ』。皆さんはどんなイメージを想像しましたか?

からだが丈夫で元気なさま。心身が健全であるさま。
goo国語辞典より

辞書的な意味合いだけで取れば『健康な状態で働くこと』と捉えることができそうですが、本書での定義はこちら。

◎『健やか
  = 心身ともに強く、安定した状態
◎『健やかな仕事健やかなキャリア
  = ① 負荷と共に在る
    ② 動きの中にある
    ③ 意味のもとにある
       ⇩
心身が健やかに躍動するライフワークを持ち、
その成就に向かって負荷を楽しむことであり、
目指すゴールは意味を満たす仕事・意味に満ちた人生である。
第1章「健やかに働く」ということより抜粋

とのことです。なかなか壮大なテーマになっていると感じるかもしれませんが、端的に言えば『夢中になれる仕事で人生を楽しめるようになること』ではないかと私は思いました。

「好きなことを仕事にする」
「好きなことを仕事にしてはいけない」

こうした議論をSNSや本を通して目にすることがありますが、私からすればどちらの考えでもいいと思っています。

それよりもどんな仕事であってもその仕事からかかる負荷を楽しめるか否かではないか、と思うんです。

今の社会情勢は優しさやあたたかさ、繊細さを良しとし(強く訴えかけ)重んじるとする風潮があります。それはそれで大切するのは良いことなんですが、少なからず何かしらの形で『負荷』はかかると思うんです。それを避けていては何をしても形になることはなく、結局成せるものも成せなくなる。大切なのはその負荷を楽しめる工夫ができるかどうかではないでしょうか。

こんなこと言ったら叩かれるのかもしれませんが、ほんの少し壁にぶち当たった時「自分は○○○○だから」という理由で負荷を避けようとするのは言い訳でしかないのではないかと私は思っています。本当の意味で個性や多様性を考えるなら

自分は○○○○だから、こういう風にしていこう

こうやって考え、考えたことをちゃんと忠実に実行し、振り返る(個性・特性に対してPDCAを回す)ことが大事ではないかと私は思うんです。個性や多様性を言い訳に、負荷を回避していいことにはならないと思います。

自分が抱えているコンプレックスや個性・特性があるなら、そのデメリットをカバーできる対策を講じてこそ、本当の意味でその個性・特性が活かせるのではないかと思っています。それには降りかかる負荷には耐えなければならず、それをいかに楽しみながら負荷に耐えられるかということを考えることが大事だと思うんです。




健康経営優良法人の認定項目を満たすためだけでは人材は定着しない

昨今注目され出した『健康経営』。コロナ禍もあって経営が傾くのと同時に企業が社員の健康度合いに着目するようになり、その対策として取り組み始めた1つが『健康経営』ではないでしょうか。

2022年度の健康経営優良法人認定制度中小規模部門で認定を受けた企業は、前年度の4割増しで12,000社を超えました。また、「コロナ禍のオンライン化もあることで認定項目を満たしやすくなっているから今が取り時」などとコンサルする人もいるそうです。しかし、果たしてそれは本当の意味で社員を思いやっての健康経営になっているのでしょうか。

就労環境を整えるだけで社員のやる気やモチベーションが高まるとは思えません。確かに箱を整えることは重要ではありますが、それが必ずしも自分の仕事にやりがいを見出すきっかけになるかといえば別問題になると思うからです。

個々の働く人が働きがいをつくり出すためには、哲学的な対話の場観を醸成する教育機会相互に精神面を磨き合う組織文化が必要。
これはそれぞれの組織・職場が個別に考えて実行することが必要であり、経営者やHR部門がこうしたところに着目できるかどうかが次のフェーズに上がっていく分岐点になる。
第1章「健やかに働く」ということより抜粋

物質的に満たされたり外発的な要因に左右される人は、それが無くなった途端にやる気をなくします。そして何かしらの理由をつけて会社を去る。企業側も退職する人の本当の理由を深掘りしないまま表面的な箱が悪かったのかとその整備に明け暮れる。社員の声を聴き、全部は無理にしろ少しずつ変えれるところから変えていくことが大事だと思います。

そして、それにはまず、経営者やHR部門の担当者が自身の”観”について発信しているかが重要な鍵になる、と本書では書いてありました。これを読んだ時、私が真っ先に思い浮かべたのが『Twitter(SNS)』の使い方です。

TwitterやLinkedInなどで積極的に発信している経営者の方やHR領域の方。そうした方の企業ではこのコロナ禍においても何かしらの功を立てており、社員のTwitterアカウントも積極的に動いて発信している傾向があると感じました。

自分の想いを相手に届くように言語化して発信し続けるそれがあるから社員は経営陣の考えと照らし合わせながら自分の価値観を養っていけてその会社で働く意味を見出し、仕事に前向きに取り組むのではないかと思うんです。

「うちは健康経営優良法人の認定を取得しているから良い会社」


そんな考えはまやかしでしかなく、むしろ見方によってはリスクになるとさえ私は思います。なぜなら、その認定マークに安心感を覚えて入社してきた社員が実際の社内の実情を目の当たりにした際、少なからず幻滅すると思うからです。そして同時にそれが会社への疑念の種火となり、少しずつ不満が燻っていく。そんなネガティブな雰囲気が社内の不和を呼び、環境悪化の要因になって、せっかく入った人材の流出につながってしまうのではないでしょうか。

まずは経営者自身がしっかり自社の事業についての想い会社の経営方針それに合わせた人材への意識について、何をどう考えていて、何が良いことだと思っているのか。ここをはっきり明確にし、社内に発信することが本当の意味で健康経営のスタートラインに立つことになると私は思います。




年代ごとでキャリアとの向き合い方に違いがある

キャリア形成では働く個人の年代において考え方が変わります。本書でもそれは明記されていて、

◎20代
成長体験を成長観に変えて肚に落とす

◎30代
 気づかない内に進行する『怠惰な多忙
 そこから脱するための自己啓発
 (能力の拡張・リスクを取る・創造性の発揮)

◎40代
 会社人の皮を脱いで職業人へ
 会社員でも雇用されうる力・起業しうる力を養う

◎50代
 1人の人間としてどう生きるのが良いのか
人生観や死生観を踏まえて今後を考えた
キャリアのつくり方を考える
第3章  研修の現場からより抜粋

となるそうです。皆さんはどうでしたか?
私自身はというと、今年36歳になる中で30代も後半に。これまでの成長体験や実績からの能力拡張を粗方ひと段落させ(まだまだ研鑽は続けますが)、それを基に実績を活かした新しいものをつくっていく段階に入っていくことになるのでしょうか。

ちょうど今月リリースした『健やか経営PLUS』などはまさにその例になるのかなとも思ったりして、40代のキャリアづくりに向けて足を進めていくことになるんだろうなと思います。

20代の知見から大抵のことが当たり前にできるようになった30代だからこそ、ちょっと気を抜けばすぐに怠惰な多忙に飲まれて自分を見失ってしまう。そうならないためにも、メリハリをつけて目の前の仕事に取り組んでいこうと思いました。




『観』を育むから『自律』が育つ

これまでのキャリア教育はアタマで理解させる教育だったが、これからは仕事観・キャリア観など『観の醸成』を促すことで深まっていかなければならず、そうした働きかけが必要になる。
第4章  仕事・キャリア・人をとらえる新しい観点より抜粋

自律的に働く社員を増やしたい
そう考える経営者やHR担当者は少なくないと思いますが、そもそも『自律』という言葉にどんなイメージを持ってその言葉を使っているのでしょうか。

「能動的・主体的に動くこと」くらいの認識の方が多いのかもしれませんが、自律という言葉は『みずからの律を持ち、それによって判断・行動する状態』を指します。そして『律』とは規範やルール、基底になる理念や信条・価値観といったものです。

つまり、『自律的に働く社員』というのは、必ずしも会社のために忠実に働く社員を指すわけではないということです。むしろ自分の価値観と会社の価値観に違和が生じてしまった時は拒否的になったりすることもあります。(私はこのパターン多いな。笑)それを経営者やHR担当者が「面倒だ」と感じるのであれば『自律的に働く社員が欲しい』という要求と矛盾することになりますよね。

そうした『自律』問題に対する定義と解決策についても本書では提案があり、『自律的に働く』ことの問いかけがなされていました。私の個人的な感想ですが、どんな考えをもって働くのも自由だと思っています。ただ、自分がどんな人生を歩みたいのかを考えた時、少なからず『指針になる何か』はあった方がいいと思うんですよね。

それを考えて答えを出すのは気力・労力がかなりかかりますが、振り回されることは少なくなると思うんです。なぜなら自分にとって良し悪しの判断軸ができるので、判断に時間がかからなくなりますよね。そして判断を誤ったとしてもすぐに気づいて修正できるので余計な負荷も生じにくくなると思うんです。

観や律を養わず持とうとしないから、怠惰な多忙に飲まれて自分を見失うのではないでしょうか。以前参加していたコミュニティで毎週たくさんの著名な方のお話を聞いていても行動が変わらない人を見ていたりすると、「これだけの貴重な情報に触れているのに、なぜ何も化学反応が起きないのか」と疑問に思ったことがあります。しかし、それはその人自身の観や律が弱いか、もしくは無いからなんだろうと思いました。

どんなことでもいいと思うんです。最初は好き嫌いや快・不快から考え始めていいと思います。自分を取り巻く環境・立場・役割からジャンルごとに分別して、どんな状態の自分なら自分らしく在れるのか、それを考えてキーワードを探すのもいいのではないかと思います。

何かしらのキーワードを持つことが観や律の最初の一歩になると私は思いました。




終わりに

という感じでですね、諸々つらつら書いてみたのですが、あまりまとまっていないかもしれません。笑 まだまだおすすめしたいポイントは山のようにあるのですが、ちょっともう、いろいろ体力が限界なので、他にどんな内容があったのか気になる方はぜひお声掛けください。わかる範囲でになりますが、お答えしていきたいと思います。

個人的には、健康経営を実践している企業さん・これから健康経営を考えている企業さんの経営者の方はまずこの本を読んでいただきたいと思っています。これを読んで共感が難しいのであれば健康経営はしない方がいいと思います。それでも押し切って健康経営を実践していっても構わないのですが、社内の空気感はあまり良いものにならないと思います。

これからの時代は『人と人とのつながり』がさまざまなものを創出することになっていくと私は思います。だからこそ、その『人』を大切にできないのであれば何も成し得ないのではないかと思い、『人を大切に想う』形の1つに『健康経営』があるのだと私は考えています。

キャリアのつくり方・人生における働く意味・自社の方向性について何か思い悩むことがある方にはおすすめの1冊かと思います。機会がありましたら目を通してみてください。



最後まで長々とお付き合いいただきありがとうございました。
ゴールデンウィークまであと10日とちょっと!
明日からもうひとふんばりしましょう!