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「良い写真」とは?

今日の note では、「良い写真」についての僕の考えを書こうと思う。今後の note でも「良い写真」という言葉を使うと思うので、その前に僕が考えている定義を明らかにしておきたい。

はじめに断っておきたいことがある。今から書く定義が万人にとっての正解ではないということだ。僕自身にとってもファイナルアンサーではない。写真を撮り、写真を鑑賞し、常に考え方を更新している。あくまで現時点における暫定解だ。

ただ、「良い写真」を撮るための近道は、「良い写真とは何か」を自分の言葉で表現することだというのは強く主張したい。目的地さえ分かれば、そこまでの行き方は自ずと見えてくるものだ。

僕の考えが誰かの思考の材料になることを祈りながら、少しずつ説明していこうと思う。


1. 「良い写真」とは

僕の中では「良い写真」の次のように整理している。

良い写真とは、所期の目的を達成することができた(あるいは、達成する蓋然性が極めて高い)写真のこと

写真は撮影・現像の過程ではアウトプット(成果物)であるが、究極的には何かしらの目的を達成するために撮られている。鑑賞する人を感動させるために写真を撮ることもあれば、クライアントの商品の魅力を伝えるために写真を撮ることもある。何かの見た目の面白さをSNSでシェアしたいこともあれば、目の前に広がる絶景を将来の自分のために残しておきたいこともある。

これらの目的を達成できた写真が「良い写真」であり、その目的を達成できない写真は「良くない写真」であるというのが僕の中での整理だ。

2.「上手い写真」や「綺麗な写真」とは違うのか?

「良い写真」のほかにも、「上手い写真」や「綺麗な写真」という評価もある。僕の中では、これら3つは異なる表現として捉えている。

上手い写真とは、撮影の技術面で優れた写真。例えば、ピントが合っている、水平・垂直が意識されている、構図の取り方が優れている、ような写真を指す。

綺麗な写真とは、色彩あるいは幾何学的特徴が心地よい写真を指す

端的に言ってしまえば、

  • 良い:写真の機能的側面に着目した評価

  • 上手い:写真の技術的側面に着目した評価

  • 綺麗:写真の美的側面に着目した評価

とまとめてもいいかもしれない。

もちろん、これら3つの評価軸が完全に独立しているわけではない。何かの目的を達成する(良い写真を撮る)ために、上手さや綺麗さが必要となることもある。

3.「良い写真」を撮るために心がけていること

このように「良い写真」を整理した場合、「良い写真」を撮るために心がけるべきことは明らかである。

それは「何のために写真を撮っているのかの目的を意識する」ということだ。もちろん、適当に撮った写真がたまたま「良い写真」になる場合もある。しかし、「目的」を出発点に、

  • 何を撮るか

  • どこで撮るか

  • どういう構図で撮るか

  • どの撮影機材を使うのが適切か

などを逆算する方が効率的だろう。以前、撮影機材の選択問題を「制約条件付き関数最大化問題」として捉える note 記事を書いた。この枠組みに引きつけるならば、「撮影の目的を意識する」とは「最大化すべき関数を正しく把握する」と例えられる。正確に問題を把握しなければ、正しい答えを導けない。

4.必ずしも「本気の機材・ローケーション・編集→ 良い写真」ではない

「良い写真」を「所期の目的を達成する写真」と捉えた場合、必ずしも「本気」の機材やロケーション選定、レタッチ・編集が必要だとは言えなくなる。

一番わかりやすい例は、フリマアプリ(メリカリ等)やネットオークション(ヤフオク等)での商品写真だ。商品写真の目的は、円滑な売買につながることだ。しかし、こうしたサイトでは、高機能な機材でライティングも組んで写真を撮っても、売上につながらない(むしろ売れなくなる)ことが多い。あまりに綺麗な写真だと「実物の写真じゃないのではないか」や「商品を良く見せて、実態より高く売りつけようとしているのではないか」と疑われてしまう。個人間売買の場合には、適度に下手な感じを出す方が、買い手の信頼を得やすい「良い写真」になる。

子どもの成長記録も目的を取り違えやすい例だ。もし「子どもを可愛く撮る」ことが目的であれば、全力を出すべきである。映えるロケーションを探し、綺麗な衣装を用意し、背景がいい感じにボケる中望遠のレンズで撮ってあげれば、可愛らしいポートレートの完成だ。しかし「10年後に見返した時に懐かしくなる写真」を撮りたいのであれば、常に持ち歩いているスマホのカメラで何気ない日常を切り取る方が、「良い写真」を生む可能性は高いだろう。この場合は、あえてレタッチせずに、写真に「生感」を残すという選択もありだ。

もちろん「商品写真や子どもの成長記録に高性能な機材を使うな」と言いたいわけではない。僕だって、最先端の撮影機材で娘の成長記録を撮ることは多い。「せっかく高い機材を持っているのだから、常に全力で」ではなく「自分の目的を達成すためには何が最適か?」を意識して適材適所を考える、というのが僕が心がけていることだ。

5.最後に

 今日は、現時点で僕が考える「良い写真」についてまとめてみた。

繰り返しになるが、この考えを世間に押し付けたいなどとは思っていない。むしろ「こういう整理の仕方もあるのではないか?」といったリアクションをいただき、自分の考えを改善していきたいと考えている。

もし、みなさんが「良い写真とはなにか」について記事を書かれることがあれば、ぜひ僕にもシェアしていただきたい。その際は、楽しんで拝読させていただきます。よろしくお願いします。




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たなぱんだ
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