たなぱんだ

経済学の博士課程(Washington University)に生息している写真&読書愛好者です。 このnoteの目的は、① 写真やカメラについて僕が考えていることを言語化、② 読書論や書評の発信です。

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経済学の博士課程(Washington University)に生息している写真&読書愛好者です。 このnoteの目的は、① 写真やカメラについて僕が考えていることを言語化、② 読書論や書評の発信です。

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フィルム写真だけがエモいのか?

巷ではフィルム写真が人気だ。 令和の時代にリコーがフィルムカメラの新製品(PENTAX 17)を発売したのは、それを象徴する出来事だろう。ほかにも富士フイルムは中国でフィルムカラーネガフィルム(C200とC400)の委託生産を開始している。 フィルム写真ブームの原動力のひとつは、デジタル写真とは違う「エモさ」だと言われている。 たしかに「フィルム写真はエモい。スマホなどの最新デジタル写真はエモくない」という言説には一理ある感じがする。ただ、研究者としての職業病か、どうし

    • カラー版 kindle の完成度が高すぎる【レビュー】

      kindle colorsoft が 2024 年 10 月 31 日に発売になりました。カラー版の kindle 端末です。 これまでもスマホ・タブレットなどの kindle アプリを使えばカラーで書籍が読めましたが、kindle の専用端末としては初のカラー表示対応モデルです。 これまで白黒で味気なかった書籍の表紙も、色付きで活き活きと表示されます。白黒モデル一択だった時はとくに気になりませんでしたが、表紙がカラーで表示される喜びを味わってしまうと、白黒モデルに戻れな

      • 「解像度」というビジネス用語に覚える違和感

        ここ数年、ビジネスの場で「解像度」という言葉が広く使われるようになった。ビジネス用語としての「解像度」について解説した本によると、次のような意味で使われているらしい。 しかし、普段写真を撮っている人間からすると、このビジネス用語としての「解像度」の使われ方にモヤモヤする点があった。今日は、このモヤモヤ感を整理したいと思う。 1. 「解像度」はアウトプットの精細さを図るもの解像度は dpi という単位で表現されることが多い。dpi とは dots per inch の略で「

        • スマホでしか撮れない写真

          適材適所──カメラ選びについて、僕の考えを一言でまとめるとこの言葉になると思う。 本格的なカメラでしか撮影できないものは間違いなくあると思うし、一方でスマートフォンのカメラでしか撮れない写真もある。「だからこそ使い分けが大事だ」というのが、写真における僕の行動原則である。 本格的なカメラでしか撮影できないものは分かりやすい。例えば超望遠の世界。下の写真は、今年4月に日食を撮影したものだ。スマホのカメラでは、ここまで大きく映し出すことができない。 では逆に「スマホでしか撮

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          「良い写真」とは?

          今日の note では、「良い写真」についての僕の考えを書こうと思う。今後の note でも「良い写真」という言葉を使うと思うので、その前に僕が考えている定義を明らかにしておきたい。 はじめに断っておきたいことがある。今から書く定義が万人にとっての正解ではないということだ。僕自身にとってもファイナルアンサーではない。写真を撮り、写真を鑑賞し、常に考え方を更新している。あくまで現時点における暫定解だ。 ただ、「良い写真」を撮るための近道は、「良い写真とは何か」を自分の言葉で

          「良い写真」とは?

          カメラ系 YouTube を観るときに気をつけること

          今日は、カメラ系 YouTube を観る時に視聴者が気を付けるべきことを考えたい。 最終的な結論自体は平凡だ。しかし、結論に至るまでの過程を考えてみると実に興味深い。YouTuber・視聴者の双方が構造的な問題を抱えており、話が複雑になっているのだ。結果として、ネットリテラシーに自信がある人でも落とし穴に落ちる可能性がある。お守り感覚でご一読していただきたい。 1.カメラ系 YouTube とはここではカメラ系 YouTube を「写真や映像の撮影手法や考え方、撮影機材に

          カメラ系 YouTube を観るときに気をつけること

          なぜ焦点距離40mmを使うのか?

          あなたが好きな画角は何だろうか? 僕は最近、焦点距離40mmのレンズを多用している。具体的には Voigtlander VM Nokton 40mm f1.2 だ。レンジファインダー機でしっかりと写真を撮りたい時は、このレンズ1択になりつつある。 焦点距離40mm(や35mm判換算で40mm相当)のレンズの長所として、次の2つがよく挙げられる。 遠近感も圧縮効果も強調されず、「自然」と感じられる見え方に写る 35mm(ぼやーっと周りを見ている時に意識される画角)と50

          なぜ焦点距離40mmを使うのか?

          なぜ写真界隈でマウントの取り合いが起きるのか?

          𝕏 や Threads の写真界隈の投稿を見ていると、ある言動が頻繁に問題視されている。それはマウンティング(マウントを取ること)である。 今日の note では、なぜ写真界隈でマウントの取り合いが起きてしまうのかを、社会学の名著を頼りにしながら考察していきたい。考察を踏まえて「僕たちはどうマウンティングに向き合えばいいか」も検討しようと思う。 1. 写真界隈におけるマウンティング写真界隈におけるマウンティングの例として、一番最初に思い出されるのは機材マウントだろう。

          なぜ写真界隈でマウントの取り合いが起きるのか?

          新学年が始まった話、あるいは、ある日の僕が撮った写真たち

          note の注目記事で紹介されたこともあって、フィルム写真に関する以下の投稿が伸びました。 徐々に読んでくれる人が増えればいいなと思って note を始めたけれど、1本目の記事から初速で80回以上いいねを押していただけました。読んでいただいたみなさん、ありがとうございます。 今後もガッツリした写真・カメラ論を書いていきたいのですが、今週は本業(経済学の研究)が忙しくなっているので、しっかりと note に執筆する時間が取れません。 今日は軽めの内容ということで、普段僕が

          新学年が始まった話、あるいは、ある日の僕が撮った写真たち

          僕がチンパンジーだった頃の話

          ちょっと釣りタイトルすぎただろうか。 もちろん僕は生まれてこの方、ずっとパンダである。ヒトである。 チンパンジーというのは写真の撮影様式の話だ。 "chimping"僕は今アメリカに住んでいるが、アメリカの写真界隈には「chimping(チンパンジーする)」という言葉がある。チンパンジー(chimpanzee)の短縮表記である chimp に -ing をつけて動名詞っぽくしたものだ。 chimping とは、カメラ初心者が写真を撮るたびに背面モニターで仕上がりを確認

          僕がチンパンジーだった頃の話

          経済学的に最適なカメラ選び

          写真を仕事・趣味とする人たちの間で鉄板の話題がある。それは「どのカメラ機材を使うか」という問題だ。 𝕏 や Threads などを開けば、今日も誰かが「〜を使うべきだ」と自らのカメラ機材論を展開しているだろう。SNS などでよく見かける機材論としては次のようなものがある。 センサーサイズが大きいカメラを使うべき。 フルサイズセンサーのカメラは不要。APS-Cやマイクロフォーサーズで十分。 高画素のカメラを使うべき。 高画素なんて不要。 大口径の(開放f値の小さい)

          経済学的に最適なカメラ選び

          自己紹介|写真を愛好する限界大学院生

          はじめまして。あるいは、いつもお世話になっております。たなぱんだです。 今後 note に写真やカメラに関する記事を投稿していこうと思っています。ご興味を持っていただいた方向けに、自己紹介の記事を残しておこうと思います。 1. たなぱんだとは何者か?現在、アメリカの Washington University in St. Louis の経済学博士課程(PhD in Economics)に所属しています。経済学の研究者の卵のつもりです。 趣味として写真を嗜んでいます。父

          自己紹介|写真を愛好する限界大学院生