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【精神科入院】亀田製菓「揚一番」はわざわいのもと!?

1. 亀田製菓の「揚一番」



「揚一番」。
亀田製菓の「揚一番」。

みなさんは、「揚一番」、食べたことありますか?

家族で食べると、一番おいしい。一緒に食べると、笑顔が生まれる。
小腹がすいたとき。もう少し、おしゃべりしたいとき。
カラッとおいしく揚がってるから、食感が軽く食べやすい。
ハチミツの自然な甘さも心地よい。
ついつい手が出るおいしさ。いっぱいあるから、わけあえる。
家族にとって一番のおやつであるために。
家族のそばに、一番近くに。
おいしさ一番、家族の一番。
揚一番。

亀田製菓「揚一番」スペシャルサイトより引用
「揚げ一番」の外装パッケージ

↑これです、これ。見たことある方、多いのではないでしょうか?
食べたことある方、とってもおいしいですよね😊

スペシャルサイトの宣伝広告文章、

「おいしさ一番、家族の一番。揚一番。」

とありますね〜
みんながほっこりできる、素敵な商品です!

↑これ、精神科病院の入院の宣伝広告文章にも応用できるんですよ、知ってましたか?

「おいしさ一番、患者の一番。揚一番。」

たななこんぶが作りました。。

そうです。「揚一番」は、精神科病院に入院中の患者さんにも、とっても人気なんです…!
(その理由は後ほど書きますね笑)

しかし残念、おいしすぎて、ほっこりならぬ、ひやり。とさせられる、あぶない商品です…
(亀田製菓さん側に問題は何もございません)

「揚一番」をめぐって何があったのか、お話させてください。
では、よろしくお願いします。

2. たななこんぶ、精神科病院に7回も入退院する


私たななこんぶは、発達障害ASD(自閉症スペクトラム)でして、
時として死にたいくらいつらい気持ちが勝ってしまって、
それで通っている精神科病院に、気づけば7回、入院して退院して…の経験があります。

特段、内科の側面で問題はありませんから、大好きなカフェオレやチョコレート、そして「揚一番」を家から持ってきてもらっていました。

ちなみに、「揚一番」を持ってきてもらう量は、1週間で3袋です。ちょっと多いでしょ?

でも、理由があります。
①名前のわからない煮魚、など、給食でハズレの日がある→小腹がすく。
②「揚一番」、米菓だけあって食べ応えがある。
③その割には「1個ずつ個包装」になっていて、とっても便利。
④食べたら、しあわせな気分になる!

これがメリットです。



ということは、デメリットも?…あります。


体重増えるとか?
→もちろん、お米食べているので、どちらかといえば増えるでしょう。
でも、それは私の個人的な範囲内で済むから別にいいんです。



周りにご迷惑をおかけし、周りから迷惑を被ってもきました。
そう、「揚一番」病室・病棟を巻き込む騒動をもたらします。

何があったか。続けさせてください。

3. 事例A: 「揚一番」とアリ事件


時は4回目の入院です。

この時の病棟は、初めて1階でした。

それまでは、2階に位置する病棟で入院生活を送ってきました。

だから、盲点、というべきか、たななこんぶは目が悪いから気がつかない、というべきか…

何があったか。

場所は4人部屋のたななこんぶのベッドのところ。
時間は、担当看護師Kさんが様子を見にきてくれたとき。

K看護師さん: 「なにこれー! めっちゃアリおるー!!(絶叫)」
たななこんぶ: 「??? ほんとだ」
K看護師さん: 「ほんとだ、じゃないよー! たななちゃんお菓子食べすぎーー」

えっーと、「揚一番」をおいしくバリ、ポリ、バリ、ポリ、いつも食べているんですけど、
米菓の特性上、破片が床に落ちちゃうんですよね。

で、ましてや1階だから、地面にはたくさんの虫さんたちが生活していて…

アリさんもエサを探しに、たななこんぶのベッドの下、「揚一番」の破片をえっさっえっさっと運んでいました。

それをK看護師さんが一番はじめに発見して、
残念ながらK看護師さんには「アリ駆除」の仕事が増えて…

当時新型コロナで緊急事態宣言など、感染対策にピリピリしていましたから、
医療用最強クラスの消毒ウェットティッシュで床拭きをしてもらいました。

K看護師さん: 「食べるときは、ゴミ箱持って食べなー?」
たななこんぶ: 「はい、わかりました。すみませんでした…」
K看護師さん: 「もうっ、たななこんぶちゃんったらー笑笑(冗談の意味を込めてたななこんぶに激突してくる)」

退院して、他の患者さんと散歩するK看護師さんとすれ違ったときのこと。

K看護師さん: 「たななこんぶちゃん、やっほー。元気そうだね笑」
たななこんぶ: 「あ、Kさん。こんにちは。」
K看護師さん: 「(笑って)たななこんぶちゃん見たら『アリ事件』思い出したわ笑 
…『アリ事件』の話(散歩中の患者さんに)してもいい?」
たななこんぶ: 「どうぞ?笑」
2人: 「んじゃ、またー笑」

あのアリ駆除の件、そんなに覚えていてくれたんだ笑
っていうか、「アリ事件」って…笑

7回目の入院、再び「アリ事件」が発生した病棟に入り、K看護師さんとも再会しました。

K看護師さんは自分でもおしゃべり大好きと公言していて、とにかく笑って笑顔に変えるスキルをお持ちの方です。

K看護師さん: 「あんな大量のアリ、たななこんぶちゃんが最初で最後だったわ…笑笑」

K看護師さんの中では、「たななこんぶ=アリの人」、となっているようです。

Kさんにイヤミは全くないので、私も「すみませんでしたっ!」と返せる間柄です。

でも、教訓を生かし、7回目の入院中は、「揚一番」を自粛しました。

4. 事例B: 夜中に食べる「揚一番」


次は、慢性期病棟で2人部屋で過ごしていた時と、急性期病棟で出会った患者さんから聞いた話のミックスです。


◎まず、慢性期病棟。
初めての2人部屋。

同じ部屋の人Oさんは、自分の世界観にこもっている方だったので、特にコミュニケーションをとってはいませんでした。

だけど、自分の世界観は時として周囲に迷惑をかけるものです。

あまりにも耐えられなかったので、看護師さんに言いました。

だって、入院しながら、119番にかけたりしていたのですから…!

現場を確認したら注意するから、その時がやってきたら教えてくれる?、と看護師さんに言われていました。

その時がやってきました。
ナースコールを押します。
看護師さんがやってきて、注意してくれました。

けど、です。
同じ部屋のOさん、注意されて気分を損ねたついでに、たななこんぶだって迷惑かけている、という趣旨の発言をしています。

よーく聞いていると、
「せんべい、バリバリ食っていやがって!」

正確にはあられなのですが、私にもピンときました。

4人部屋の時は気を遣っていたし、なんならOさんとコミュニケーションとれていなかったから、
朝方、目が覚めたついでに「揚一番」を1個最近食べていたわ…!と気付かされました。

コミュニケーションとれていないけど、ちゃんと人との煩わしさを感じていたんだ、と初めて知りました。

それからは、どこに入院しようとも、起床時刻がやってくるまでは、物ひとつ取るにもそーっとするようにしています。


◎次、急性期病棟で出会ったOさんから聞いた話。

Oさんとは年齢こそ離れているけど、今までの患者さんの中で、一番価値観が近い方でした。

Oさんは、私以上に人間ウォッチングの精度が高く、優れている反面、
その人の行動がずれていると思ったら忘れることができずに苦しむタイプです。

いわゆる「鈍感力があれば生きやすいのにね」を、ときおり一緒に話していました。

そのうちのひとつのお話が、「揚一番」と関係しています。

Oさんによると、4人部屋で一緒の患者さんが、看護師さんから禁止されているにもかかわらずお菓子を食べていたそうです。

それも、みんなが寝ている、看護師さんが巡回で去ったあと、とのこと。

Oさん、ゴソゴソと探す音や、食べている音で度々起こされたそうです。

しかも残念な点は、一度気がついてしまったら、今晩も…?と気になってしまう点です。

これを聞いて、私もOさんと同じように思うだろうなぁ、と考えました。

でも一方で、「これって、私が『揚一番』を食べていたら騒音を立てている側じゃん!」とも気付きました。

…「揚一番」に限らず、就寝時間中は眠れなくてもおとなしくしていましょうね。

5. 事例C: 個室に侵入してまで「揚一番」


2,3,5回目の入院、つまり7回中3回は、慢性期病棟へ入院しました。

慢性期病棟では、予測不可能なことが多々起こります。

統合失調症の患者さんの症状のひとつに、水分をたくさん摂取したがる、というのがあるようで、
自分のコップをナースステーションに管理してもらう患者さんも何名か見てきました。

すごいのは、そのへんにコップがあれば、許可なくサッと手に取り、給茶機のところへ行って飲んでしまうところです。

だから、慢性期病棟の鉄則、「自分のコップから目を離さない・置きっぱなしにしない」です。

そんな感じが慢性期病棟の雰囲気です。

ここからは、統合失調症ではないけれど、何かのご病気で入院生活を共にした患者さん2名に登場していただきます。

たななこんぶ、この頃は、眠れない・聴覚過敏(音がうるさく感じる)の理由で、
個室で日々を過ごしていました。

個室というのは、中から患者さん自身が鍵をかけることができる、でも看護師さんは鍵を持っているから入ってこれるけどね、という性質があります。

たななこんぶ、手を動かす作業が心身の健康にすごく良く、折り紙をしたり、絵を描いたりして入院中は日中を過ごしていました。

そのためには、机が必要です。
なので、その日もホールへ出て、折り紙をしていました。

折り紙完成!、次おやつ「揚一番」食べよう!

個室の部屋に行くと…なぜか扉が開きません!

困ったので看護師さんを呼んで開けてもらうと…
なんとびっくり、車椅子のおじさんがいるではありませんか!

どういうこと?

より先に! あ! 「揚一番」食べてる!

看護師さんも気付き、「Yさん何してるんですか?」と尋ねました。

会話のコミュニケーションが成り立たない割合が高い慢性期病棟、
今回も例外ではなく、代わりに看護師さんが「ごめんね?」と謝ってくれたという…。



数日後。

今度は、鍵はかかっていないけど、扉を開けたら、隣の隣の個室のおばあちゃん患者さんNさんと、鉢合わせ。

自分の服を袋代わりにして、お腹の辺りには個包装の「揚一番」だらけ。

またか…。

仕方なくナースコールを押して、
この時もまた看護師さんが代わりに「ごめんね?」と言ってくれました。

どこか冷静な自分がいることにもびっくり↓

「どんだけ『揚一番』人気なの!??」

それだけ老若男女問わず愛されている「揚一番」です。

6. 結びにかえて「みんな大好き『揚一番』!」

ふーっ。
7回入院しているとはいえ、「揚一番」でこんなにも思うことが溜まっているとは…

私を含めて、みんな「揚一番」が大好きだからこそ、こんな小さな騒動が起きていること、
お伝えできましたでしょうかー?

入院中の「揚一番」の取り扱い方法をまとめておくと、
・1階では破片に要注意
・2階でも自己管理が大切
・相部屋なら食べるのは日中に
↑こんな感じですか笑

「揚一番」を通して、入院生活中に気をつけることを学べました。

「揚一番」を食べる→他の患者さんに迷惑をかけていないか?
「揚一番」を食べられる→他の患者さんから迷惑を受けていないか?

↑こんなチェック項目も作れました。

最後に、こんなに考える機会を提供してくださっている、亀田製菓さんに謝意を表し、終わりとさせていただきます。

「揚一番」大好き!


たななこんぶ






#創作大賞2024 #エッセイ部門

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